知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


簡単 潜水!!耳ヌキの訳
第943回 2008年7月20日


 夏もいよいよ本番!マリンスポーツの季節到来です!その代表格、優雅で楽しそうなスキューバダイビングは、実はオモシロ科学の宝庫だったのです!

 この夏、スキューバダイビングに挑戦したい!と思い立った佐藤アナがやってきたのは、関東近郊でも特に水がきれいな人気ダイビングスポットの静岡県西伊豆。早速ダイビングショップへ向かうと、Cカードというダイビングの団体が発行している認定証を持っていないと自由に潜ることができないことが判明。しかし、比較的水深の浅い体験ダイビングなら認定証なしで出来ると聞き、挑戦することに。ダイビングの基礎について講習を受け、厚さ5mm程のウェットスーツに着替えてみると…体は締め付けで痛み、さらにとても暑かったのです。そもそもこの暑い時期に、ウェットスーツを着る必要があるのでしょうか?そこでこんな実験を行いました。赤チームと青チーム3名ずつに分かれ、青チームには水温28度の温水プールに頭まで浸かってもらい、一方、赤チームは気温28度の部屋で過ごしてもらいます。すると、実験開始からわずか10分で水に浸かっていた青チーム全員が寒さのあまりリタイア!体表面温度をサーモグラフィーで見てみるとなんと実験前より5℃も下がっていました。一方、赤チームは何事もなかったように部屋で過ごしています。なぜこんな違いが出たのでしょうか?実は、気体である空気は、分子と分子の間が離れているため、熱が伝わりにくく、一方、液体である水は、分子の密度が高いので、熱が伝わりやすく、早く熱を奪うのです。さらに海の中は深いほど水温が下がるといいます。そこで、水深と温度が分かる機械を10メートル間隔で紐に取り付け、おもりを付けて海に沈め、水深ごとの温度の変化を見てみました。数分後、水面に近い水深20cmの温度は22℃でしたが、水深20m近くでは19℃にまで下がっていました。実はウェットスーツは、スーツと肌の間に少しだけ入り込む水を閉じ込め、その水を体温で温めてお湯の膜を着たような形にし、保温に利用しているため、冷たい水の中でも体温が奪われるのを防いでいるのです。

所さんのポイント
ポイント1
ウェットスーツは、スーツと肌の間に入った水を温め保温し、冷たい水の中でも体温が奪われるのを防いでいるのだ!

 さて、ダイビングには欠かせないボンベ。実は、ボンベには酸素ではなくタダの空気が機械で圧縮され詰められていたのです。なぜ、酸素ではなく空気なのでしょうか?実は、空気中に含まれる酸素の濃度はおよそ20%で、もし100%の酸素だけを吸い続けると、あまり酸素を取り込みすぎないように血管が収縮し、脳に血液が回らなくなり、めまいを起こしたり、死に至るケースもあるのです。タンクの空気で膨らんだ、91個のビーチボールそこで、通常の1気圧なら10リットルの空気しか入らないタンクに、どれだけの空気が圧縮されて入っているのか、22リットルのビーチボールを膨らませてみることにしました。すると、91個ものビーチボールが完成。なんとタンクにはおよそ2000リットルもの膨大な空気が入っていたのです!これほど大量の空気が詰まっている理由は、水中での呼吸は陸上での呼吸より多量の空気を消費するからだそうです。
 そこで、プロのダイバーに水深20メートル地点まで潜ってもらい、タンクの空気が満タンの200から半分の100になるまでの時間を測ってみました。比較のため、地上でも同じ量の空気が入ったタンクで半分に減るまで呼吸してみます。すると、わずか19分30秒でダイバーの空気は半分になってしまいました。一方、地上ではその4倍、1時間20分もかかりました。この理由は肺にあるといいます。そこで、肺を風船で、横隔膜をゴムで表した模型を水中に沈め様子を見てみます。模型を沈めると横隔膜が上にあがり、風船が縮んでいきます。そして水深10メートルでは、肺が半分以下の大きさになりました。実は海に深く潜ると、横隔膜が水圧を受け、肺が押されて縮んでしまいます。水中では、人間は水圧を押し返すだけの大量の空気を肺に取り込んでいつも通りに肺を膨らませる必要があったのです。

 さあ、いよいよ念願の海へ!佐藤アナは必要な機材一式を装着すると、なんと21kgという機材の重さに、普通に歩くことすらできません。しかし、水中では浮力があるので重さを感じませんでした。まずは海中でトラブルがあった時、パニックに陥らないよう様々な訓練を行い、いざ深い海へ。素晴らしい海の中の光景に感動し、快調にダイビングを楽しんでいたその時、佐藤アナの耳に激痛が走るという緊急事態発生!耳抜きする佐藤アナ実は、これは飛行機に乗ったりすると、気圧の影響で耳がおかしくなるのと同じ現象。通常人間の耳は、鼓膜の内側と外側の圧力は均等ですが、水に潜ると外側から水圧をうけ、鼓膜が内側に押し込まれ耳に激痛が走っていたのです。この痛みを解決する方法が、鼻をつまんで耳に息を吹き込む耳抜きという技です。実は人間の鼻の奥には耳に繋がる耳管(じかん)の入り口があり、耳抜きをすると普段は閉じている耳管の入り口が開き、ポンプのように空気を送り込んで、鼓膜を外へと押し出し、痛みが取れるのです。この耳抜きのおかげで快適な海中散歩を楽しむことができ、佐藤アナのマーメイドになる夢は見事に叶ったようでした。

所さんのポイント
ポイント2
耳抜きをすると鼻の奥にある耳管の入り口が開き、空気が送り込まれ、鼓膜が外へと押し出され痛みが取れるのだ!




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