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主食はお酒!? 遊牧生活
第945回 2008年8月3日


 夏休み海外特集として訪れたモンゴル。今回は佐藤アナがモンゴルの遊牧生活を体験しました。しかし、遊牧生活には様々な不思議があふれていたのです!

 首都ウランバートルから車で移動すること4時間、佐藤アナは草原をたくさんの家畜と共に歩く、今回お世話になる遊牧民のご家族と出会いました。モンゴルでは国民の1/3にあたる約80万人もの人が家畜を飼いながら、現在も昔と変わらぬ遊牧生活を送っているのです。スヘバートルさんの連れている家畜は、ウシ42頭、ラクダ2頭、ウマ28頭、ヤギ50頭、ヒツジ85頭、そしてオオカミから家畜を守る犬と、ペットのネコまでいました。総勢11名と209頭の大所帯は、一体どんなところに暮らしているのでしょうか?すると、ご主人がいきなり家を建てると言い出したのです。家となる部品は、なんとラクダに積まれていました。まずは壁の骨組みになる木材を4枚つなぎ合わせ家の壁を作り、空いた部分に住居のドアをはめ込み、中心に柱を立てて骨組が完成。完成したゲル次にヒツジの毛で出来たフェルトで屋根と側面を囲み、白い布をかぶせ、周りをロープで巻きつけると、建て方を教えてもらいながらにもかかわらず、わずか1時間で「ゲル」と呼ばれる丸い住居が完成しました!
 しかし、モンゴルは降水量が少ないため樹木が育ちにくく、風を防ぐものがありません。柱を埋めることもなく完成するゲルは、強い風が吹いても飛ばされないのでしょうか?ご主人は丸い形が風に強いと言います。そこで、同じ素材、同じ重さで作った丸いゲルの模型と三角のテントの模型が、どれ位の風速まで耐えられるのか実験してみました。すると、風速6mの時点でテントの模型は飛ばされてしまいましたが、ゲルは、風速11mでようやく動き出しました。ゲルの模型は、三角テントの模型のおよそ2倍もの風速に耐えたのです。これはなぜでしょう?そこで、模型に当たる風の動きを見てみると、三角テントの後ろは風が渦状に乱れ、抵抗を受けているのに対し、ゲルの後ろはスムーズに流れていました。ゲルは、どこから風が吹いても飛ばされないように風の抵抗を受けにくい丸い形をしていたのです。

所さんのポイント
ポイント1
簡単に完成する遊牧民の住居、ゲルは、風の抵抗を受けにくい丸い形をしているため、強い風に吹かれても大丈夫なのだ!

 ゲルの中にお邪魔した佐藤アナ。意外に広々としたゲルの中では、男女半分ずつのエリアに分かれていて、来客者は男性側に座る風習がありました。そして、お母さんが朝食としてなにやら牛乳のような白い液体をふるまってくれました。朝、昼、夜に出される馬乳酒飲んでみると、酸っぱくて野生の匂いがする厳しい味!実はこの液体は、ウマの乳から作ったアルコールおよそ2%の馬乳酒というお酒。なんと遊牧民は朝からお酒を飲んでいたのです!そんな馬乳酒の作り方を教えてもらいました。まずはウマの乳搾りから。ウマから一度に搾り出せる量は少なく、1日7回にも分けて作業をするそうです。そして搾った馬乳をポリタンクに入れ、そこへ少量の馬乳酒を加えフタをします。それをなんと7000回ほど振るように言われた佐藤アナは、2時間も振り続けクタクタに。そして苦労の末、出された昼食は、またしても馬乳酒だけでした。その後も夕方まで振り続け、ようやくありついた夕食も馬乳酒!なんと、遊牧民の食事は3食とも馬乳酒だったのです!
 しかし、馬乳酒だけで栄養が足りているのか、モンゴルの医者に聞いてみると、馬乳酒はビタミンCが豊富だと言います。調べてみると馬乳には、なんと牛乳の6倍ものビタミンCが含まれていました。畑を作らず、野菜を食べない遊牧民は栄養豊富な馬乳を発酵させ、保存性を高めるため馬乳酒にしています。乳酸菌が乳糖を分解し、乳酸を作り出して、雑菌の繁殖を防ぐのです。何度も振るのも発酵を促進させるためだったのです。そして、スタジオに登場した、佐藤アナが振って作った馬乳酒を飲んだ所さんは、「酸っぱい!くっせ〜!」とその味に大絶叫でした。

所さんのポイント
ポイント2
モンゴルの遊牧民は、ビタミンCが豊富な、馬の乳から作られた馬乳酒を夏場の主食にしているのだ!

 ところで、どの遊牧民も必ず、ラクダ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジの5種類の家畜を飼っています。ラクダは主に大きな荷物を運ぶため、馬は馬乳酒として大切な主食と人が乗る足代わりにもなります。ウシはバターやチーズなどの乳製品を作り、栄養を補助するおかずの役割。ヒツジはその毛を刈ってゲルの断熱材や冬に着る民族衣装の裏地に利用し、ヤギの毛もセーターになります。つまり、この5種類の家畜で衣食住すべてまかなえ、1種類も欠かせないのです。さて、突然外でヤギの糞を拾い始めたお母さん。なんと、森林の少ないモンゴルでは、燃やす木材がないため、家畜の糞をストーブや煮炊きの燃料として使っているのです。さらには、馬乳酒が作れない冬には家畜の貴重なお肉も食べます。その際、血液も捨てず内臓に入れて調理。そして最後に残った骨は子供のオモチャにもなるのです。広大な草原に住むモンゴルの遊牧民はそれぞれの家畜の特徴を生かし、究極の自給自足生活を送っているのです。スタジオでウシ、ヤギ、ヒツジそれぞれの乳で作ったチーズを試食した所さん。ヤギとヒツジは酸っぱいそうですが、ウシのチーズは甘く美味しかったようです。



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