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超てきめん 緊張 解消法
第977回 2009年3月22日


 春といえば、入学式や入社式など、新しい出会いのシーズンですよね。しかし、慣れない環境でよく起きてしまうのが緊張。今回はそんな緊張の正体に迫ります。

 人は緊張すると、交感神経が刺激を受け、ノルアドレナリンという物質が分泌されることで、心拍数が上昇します。では、そもそもなぜ人は緊張するのでしょうか?そこで、自称・緊張しない女、佐藤アナが、有名楽器店でバイオリン演奏会を行い、その心拍数を測定してみました。すると、演奏前の心拍数は64でしたが、開演時間が迫るにつれどんどん上昇。演奏直前には120に達し、本番は手馴れた曲にもかかわらず、大きなミスをして悲惨な結果に…。そこで、ミスとは無縁のプロのバイオリニストの心拍数も測ってみると、なんと演奏中の心拍数は90を超えていました。プロでも緊張していたんです。実はプロの95程度の心拍数は、血液の循環が良くなり酸素やブドウ糖が脳に多く運ばれて、より正確な状況判断ができるようになる、良い緊張状態なのです。ところが、佐藤アナのように心拍数が120を超えてしまうのは、「過緊張」という状態で、脳が非常事態と判断し、的確な指令を身体に出せなくなってしまうのです。

50mのクレーン見上げる矢野さん  過緊張になると人の身体にどんな変化が起きるのでしょうか?そこで大実験!高い場所が苦手な矢野さんに地上50mの高所作業車に乗ってもらいました。
 高さと共に矢野さんの心拍数はみるみる上昇。50m上空では足が震え、声も出ません。しかし、不思議なことに心拍数は25m地点の120をピークに低下していたのです。さらに呼吸データを見ると、50mでは一時的に息をしていない無呼吸状態になっていました。心拍数が下がっていたのは、呼吸が一時的に止まっていたからだったのです。では、なぜ過緊張になると呼吸が止まってしまうのでしょうか?試しに、アームレスラーに息を止めた状態で100kgのウェイトを持ち上げてもらうと見事成功。しかし、次に息を吐きながら同じ100kgに挑戦したところ、どんなに頑張っても持ち上がらなかったのです。どうやら呼吸を止めるとパワーが出るようです。実は、高い場所で矢野さんの息が止まったのも無意識のうちに筋力を高めるためだったのです。適度な緊張では、呼吸が早くなり体内に酸素を大量に取り込んで危険を回避する準備をします。ところが危険を前にして過緊張になると、一瞬で逃げられるように呼吸を止めて、瞬間的に筋力を高めているのです。
 そんな過緊張は日常生活においてデメリットばかり。そこで、過緊張の時に呼吸が止まってしまうというのを逆手にとった緊張解消法に挑戦します。その舞台は、カラオケ。歌が下手で順番待ちではいつも緊張してしまうという男性2人に協力してもらいました。歌の上手い女性の次に歌うことになった男性の心拍数はなんと120オーバーで完全に過緊張状態。こんな彼の前に現れたのが、耳鼻科のドクター!リラックスのためドクターが伝授したのは、ゆっくりとした腹式呼吸でした。目をつぶり、お腹に手を当てて。1.2.3.4拍で鼻から息を吸い、同じく1.2.3.4拍で鼻から息を吐きます。これを4回繰り返すだけ。すると、心拍数はわずか1分で20以上も下がり、さらには、リラックスすると活発になる副交感神経の数値も上がったのです。もう一人の男性もこの方法で見事緊張をやわらげることに成功しました。

所さんのポイント
ポイント1
4拍で鼻から息を吸い、同じく4拍で鼻から息を吐く、ゆっくりとした腹式呼吸を4回繰り返せば心拍数が下がり、緊張がやわらぐのだ!

 さて、緊張するとよく「血の気が引く」と言います。それを確かめるため、2人の女子大生にお化け屋敷に入ってもらい、心拍数と指先の温度を測定しました。すると、入る時の心拍数は75でしたが、キャーっと驚いたとたん、心拍数は一気に122に跳ね上がりました。さらに、恐怖で緊張が高ぶり、「寒気がする」と言いはじめたのです。なんと、指先の温度は恐怖で驚いた瞬間5℃以上も下がっていました。人は過緊張になると手の温度が下がり、まさに「血の気が引いた状態」になるようです。そこで今度は矢野さんで実験。いつ割れるか分からない風船を近くで膨らまし強制的に過緊張状態を作ります。風船が膨らんでいくと心拍数は急激に上昇し、手の表面温度は、指先からどんどん下がっていったのです。実は、過緊張状態では交感神経が優位に働き、手の毛細血管を収縮させます。その結果、血流量が減少し、手の表面温度は低くなるのです。これは、身体の中心部にある大きな筋肉に血液を回すことでより力を発揮できる状態にする本能的な防衛手段なのです。
太ももに手を置く所さん  では、逆に手を温かくすればリラックスできるのでは?なんと、温かくて楽しいイメージを心に思い浮かべるだけで手の温度が上がるというのです。実験に協力してもらった男性は、温泉に入っているのをイメージしただけで、手のひらの温度が上がり心拍数も下がったのです。そして、さらに簡単な方法は、なんと太ももの上に手のひらを置くだけ。身体の中でも、温かい太ももに手を置くと、手の温度が上がり緊張がやわらぐのです。スタジオで所さんもやってみると、2℃も上がりビックリしていました。皆さんもいざという時、この簡単な緊張解消法を試してみては?

所さんのポイント
ポイント2
太ももに手のひらを置き、体温で手を温めるだけで、心拍数が下がりリラックスできるのだ!




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