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白き珍獣 ミラバケッソ
第984回 2009年5月9日


 最近「ミラバケッソ」としゃべるCMがきっかけでブームを巻き起こしている動物界の新たなスター、アルパカ。そこで今回は、謎多きアルパカの正体に迫ります。

 モコモコの毛に長い首、つぶらな瞳のアルパカについて、道行く人に聞いてみると、その不思議な姿に架空の動物だと思っている人さえいるほどでした。ではアルパカとは一体何者でしょう?と聞いてみると「ヒツジ」と答えた人と「ウマ」と答えた人と大きく2つの意見に分かれたのです。
アルパカの毛刈り前と毛刈り後 比較  その答えを出すべく、アルパカはヒツジだと思う派の代表、佐藤アナが「那須アルパカ牧場」を訪れました。するとそこにはおなじみの白だけではなく、茶色や黒いアルパカの姿も。その中に、CMに出ていたはなこちゃんを発見!体毛を触らせてもらうと、フサフサしていて気持ちよく、まさにヒツジのよう。地肌を見ようと毛をかき分けてみても、たどり着かないほどの毛の量です。すると、4人がかりでアルパカを床に寝かせ毛刈りがスタート!アルパカは温かい季節になると、ヒツジと同じように毛を刈るのです。徐々に地肌があらわになっていくと、分厚い毛の下はかなりの細身だと判明!
 刈った毛を広げてみると、なんと畳二畳分にもなり、これはヒツジ一頭分の毛とほとんど同じです。そこで、ウールとアルパカの毛で、編み方とサイズが同じセーターを作り、比較してみることに。まずはセーターの本領である保温力対決です。気温0℃前後に保った室内にセーターを着せたマネキンを設置。その中に50℃のお湯を入れ、保温力を比較します。1時間後、お湯の温度は両者とも2.3℃しか下がらず、保温力は引き分けでした。続いては軽さ対決!両セーターの重さを測ってみると、アルパカのセーターの方がわずかに、約5g軽かったのです。アルパカの毛を顕微鏡で見てみると、中心に芯である髄があり、そこに空気が通る穴があるのが分かります。この穴の分だけウールより軽いのです。最後は手触り対決です。街頭で実際に2種類のセーターを触り、素材は明かさずどちらのセーターを着たいか選んでもらいました。すると、20人中16人がアルパカを選んだのです。理由は柔らかくて滑らかな肌触りだからだそうですが、なぜウールに比べ肌触りが良いのでしょう?実は、ウールはスケールというウロコ状の表皮が深く、ギザギザ状態。一方アルパカはこのスケールがとても浅いため、手触りが滑らかだったのです。ウールを触るとチクチクすることがありますが、アルパカにはそれがないというわけ。アルパカの毛は、羊毛に匹敵どころか、それ以上に優れた素材だったのです。実際にアルパカの毛は高級素材で、ウールのおよそ4倍近くもの値段が付くのだそうです。

所さんのポイント
ポイント1
アルパカの毛は、ウール以上に軽く、手触りも滑らかな高級素材なのだ!

 今度は、アルパカはウマであると主張する矢野さんが、1歳のアルパカにニンジンを与えてみると、なんと美味しそうに食べたのです。ちなみにヒツジにニンジンを与えてもそっぽを向いてしまいます。これはウマの証拠でしょうか?さらに、アルパカは走り出すとスタッフも追いつけないほど、ウマのように速く走るのです。そこで、体格の近いポニーVSアルパカで50mガチンコレース対決を行いました。すると、アルパカはわずか2馬身差で破れ、ウマには及びませんでしたが、大健闘!体型・走り方・スピードを見る限り、やはりアルパカはウマなのでしょうか?
 さて、一体アルパカはウマなのかヒツジなのか?白黒つけるため、アルパカを研究している大学教授にお話を伺ったところ、なんとアルパカはウマでもヒツジでもないというのです。それはエサを食べているところを見るとわかるというので、アルパカにスタッフが好物の牧草を与えてみると…なんといきなりアルパカがスタッフに「ペッ!」とツバを吐きかけたのです!しかもアルパカのツバは唾液と胃の内容物が混ざってとても臭いのです。でもなんでツバを吐きかけるんでしょうか?実はこれ、アルパカの威嚇行動。ツバはアルパカ唯一の武器で、エサの時間を邪魔されたと思い、怒ったようなのです。ツバを飛ばすアルパカでは、他の動物はどうでしょう?試しに、食事中のヒツジ、ウマ、ヤギに息を吹きかけて、食事を邪魔してみても決してツバは吐きませんでした。しかし、ラクダに息を吹きかけてみると…なんとアルパカと同じようにツバを吐いたのです! 
 実は、威嚇行動でツバを吐くのはラクダ科の動物の特徴!確かにアルパカは顔もラクダに似ていますよね。さらに胃の数も、ウマやブタは1つ、ヒツジ・ウシ・ヤギは4つですが、アルパカとラクダは3つと共通しています。つまりアルパカはラクダの仲間だったのです!
 でも、ヒツジのような毛と、足の速い部分はラクダに似ていませんよね。実はモコモコした毛はアンデスの寒い地域に適応するためで、足が速いのは天敵のピューマやキツネから逃れるためだといいます。このようにアルパカは生き抜くためにヒツジやウマのような性質を持った、いわば「進化したラクダ」なのです。

所さんのポイント
ポイント2
アルパカは、ウマのように足が速く、ヒツジのように毛がモコモコしているが、実はラクダの仲間だったのだ!




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