神秘
月光
虹&
月光
発電
第1002回 2009年9月19日
アポロが
月
に降りてから今年で40年。そして、ススキとお団子を飾って、縁側で満月を見上げる秋の風物詩、
お月見
。ところが、中秋の名月、つまり「十五夜」は9月15日だと思っている方が多いのですが、実は毎年日にちが変わり、今年は10月3日です。そこで、今回は人類にとって一番身近な星である、月を科学します。
狼男の伝説など、昔から月の光には特別な力があると言われていますが、月の光は、太陽の光と違って何か特別な光なのでしょうか?専門家の方に聞いてみると、
月の光はかなり弱いものの、太陽の光と同じだというのです。
ならば、月の光でも虹ができるはず!というわけで矢野さんは
満月の光の下、園芸用のポンプで霧を噴出し、人工的に月光虹を作ってみました。
すると、確かに虹らしきものが矢野さんの肉眼では見えたのですが、カメラには映りませんでした。実はこれは
月暈(つきがさ)
と言って、月光虹とよく似た別の現象。しかし
アフリカのビクトリアの滝では、月の光が滝の水しぶきに反射して本当に月光虹ができるのです。
ならば、太陽光発電ならぬ月光発電はできるのでしょうか?そこで矢野さんは
満月の夜、専門家の協力で、太陽電池パネルを使い、月光発電にチャレンジ!
単三乾電池1本でも作動する電子オルゴールにパネルを繋ぐと、なんとか「ジ、ジジジ・・・」と音が出て、なんとか成功!発生した電圧・電流を測定してみると、電圧は0.8V前後、電流は1マイクロアンペア。
単三電池の4万分の1ほどではありますが確かに発電できました。
そして、太陽の光と月の光の波長を分析したグラフを見ると、光の強さに大きな差はありますが、グラフの波長はほぼ同じ形でした。
実は、そもそも月の光は太陽の光を反射したものなので、特別な力はないのです。
さて、月に浮かぶ模様を、日本では昔からうさぎが餅つきをしている姿として伝えられてきましたが、世界各国で撮影された月の模様を比べてみると、なんと角度の違いはあれ、
月は地球上のどこから見ても同じ模様がある側を地球に向けていたのです。
それでは
地球の反対側にある月の裏側は、どんな模様なのでしょうか?
人工衛星で撮影された
月の裏側を見てみると、なんと模様はほとんどなく、ほぼ真っ白!
専門家に伺ってみると、実は、
黒い部分は月の中から噴き出した溶岩が固まった玄武岩で、周りの白い部分は斜長石だそうです。
でも、なぜ地球に向いている表側にしか模様がないのでしょうか?そこで、同じ大きさの玄武岩と斜長石を天秤に載せてみると、玄武岩の方が重く、その比率はほぼ7対5の割合だそうです。そこで、1cm四方に切った黒と白のテープをそれぞれ7枚重ね、5枚重ねにし、玄武岩と斜長石に見立てます。これを月球儀に実際の月の模様と同じように貼っていき、完成した“目がテン特製ミニチュアお月様“を机の上に置いてみると…黒い模様のある側が下を向いてしまいました。
実は、月は重い玄武岩が黒い模様を作っている表側に重心が偏っているため、表側が地球の引力に引かれて常に地球の方を向いているのです。
月の黒い模様は重い玄武岩で、地球の引力によって常に地球の方を向いている。だから世界中どこから見ても月の模様は同じなのだ!
本来十五夜のお月見は、秋の収穫祭で行われる儀式でした。でも、美しい月を眺めるのはなぜ秋なのでしょうか?そこで、
それぞれの季節に同じ時間、同じ場所で撮影した月の写真を見比べてみました。すると、春と秋の月の位置に比べ、夏はずっと低い位置で、冬はかなり高い位置にあったのです。
そこで、さらにプラネタリウムで、それぞれの季節の月の動きを見ると、やはり夏は低く、冬は高い位置に、秋と春はその中間の位置で、つまり太陽と逆の軌道を描いていたのです。
でもこれが「お月見」をするのにそんなに影響するのでしょうか?そこで4人の男女にそれぞれの季節の月の位置でお月見をしてもらいました。
塀の向こうからスタッフが上げる電灯を月に見立て、午後8時の高さの時に20分ほど見続けてもらいます。
さらには月を見ながらお団子と飲み物も食べてもらいました。まずは中秋の名月の高さでお月見を楽しんでもらうと、皆さん和やかに月を見上げ、飲んだり食べたり楽しそうです。しかし、次に冬の月でお月見してもらうと、先程より遥かに高い位置の月を見上げながらの飲食はとても辛そうでした。最後に夏の月を鑑賞してもらいます。すると…いくら待っても月は見えません。そう、
夏の月は午後8時でおよそ20度前後。低すぎて塀に遮られ、見ることができなかったのです。
結局、冬は月が高すぎて疲れるのでダメ。夏は低すぎて見えないのでダメ。春の月は同じ高さでも、黄砂などの影響で大気が汚れているため月がキレイに見えることが少ないのでダメ。ということで、お月見に一番いい季節はやっぱり秋だったのです!
冬の月の位置は高すぎ、夏の月は低すぎ、春の月はぼんやりと見えることが多い。やっぱり秋はお月見に一番いい季節だったのだ!