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築地 潜入!!セリ声通訳
第1011回 2009年11月28日


 魚が美味しい冬本番の到来!そこで、今回は世界中から新鮮な魚が集まる日本の台所、築地市場の秘密に迫ります!

 東京ドーム五個分の広さを誇る築地市場に、午前一時を過ぎる頃、主役のマグロが登場!しかし、超高級魚なのに、生のまま床の上を引きずられ、ずいぶんと乱暴な扱いです。ところが、マグロは皮が硬いので大丈夫だといいます。そこで実験!その日築地に入ってきた新鮮なマグロ、サケ、サメの皮を機械につけたヤスリで400回こすって耐久性を比較します。結果は、サケとサメの皮は深く削られましたが、マグロの皮はわずかに表面の部分が破れた程度でした。マグロは泳ぐスピードが速く、常に群れで回遊するため、他のマグロとぶつかることが多いので、衝撃から身を守るために皮が硬くなっていると考えられているのです。
 午前5時30分。いよいよ運びこまれた魚がセリにかけられ、威勢のいい声が響き渡ります。しかし、独特の変わった声に加え、とても早口で一体何を言っているか全然聞き取れません。しかし、その内容には、魚の番号、魚の名前、重さ、値段、仲卸業者の屋号まで含まれていました。実は、築地は約1時間の間に実に600回もの魚が落札されるので、早口でセリを進めるのだそうです。しかし、独特の高い声にはどんな秘密があるのでしょう?そこでこんな実験です。セリ人の方に普段の声とセリの時の声で『隣の部屋におやつがあるよ!食べてください』と言ってもらい録音。これを保育園児達が聞き取れるのか試して見ます。みんなの前に2つのラジカセを並べ、片方から工事現場の騒音を流し、もう一方から「普段の声」を流してみると…全く反応はなし。次に片方のラジカセから「セリの声」を流してみても、同じく反応はありませんでした。そこで、園児を入れ替え、今度は「セリ場」の騒音を一緒に流してみます。すると「普段の声」では2人が軽く反応しましたが、「セリの声」で流してみると、今度は大勢の園児たちが反応し、しかもおやつが置いてある隣の部屋へ大移動したのです。そこで、専門家にこのセリ声を分析してもらうと、普段人がしゃべっている声には含まれない、2000Hz以上の高い周波数成分が含まれていることが判りました。つまり人の声でザワザワしているセリ場では、周波数の高いセリ声が通りやすかったのです。しかし、工事現場の騒音にも高い周波数が含まれているため、一緒に流したときは両方の声がかき消されてしまったのです。

所さんのポイント
ポイント1
市場に響く独特のセリ声は、大勢の声の中でも通りやすい、高い周波数を持っていた!

 さて、セリで買われた魚は、お店に引き取られていく際、たくさんの氷と共に箱に詰められます。この氷、夏場のピーク時には、築地全体で240トンも使われるそうなんです。矢野さんは、専門の製氷工場を訪ね、氷が作られる様子を見せてもらいました。まずは鉄の型に水道水を流し込み、それをマイナス11℃で外側からゆっくり冷やし、凍らせます。そして24時間後、周りから半分ほど凍ったところで、掃除機のような吸引機でまだ凍っていない中心部の水を吸い取り、新鮮な水に替えます。キレイな氷が完成するまでなんと48時間。凍ったコーヒーなぜこんなに時間と手間をかけるのでしょうか?その答えは色のついた液体を凍らせればわかるというので、こんな実験をしました。20cm四方のアクリルボックスにコーヒーを入れ、先ほどと同じ方法で24時間かけ半分だけ凍らせます。すると、なんと凍った部分は無色透明で、凍っていない中心部だけがコーヒー色になるという不思議な現象が起こりました。
 実は、液体は早く凍らせると、不純物が氷の結晶の隙間に入ってしまいますが、周りからゆっくり凍らすと、この隙間がなくなり不純物が中心に集まるのです。築地の氷は、不純物の集まった水を入れ替えて作られた、衛生的な氷だったのです。

所さんのポイント
ポイント2
築地市場で使われる氷は、時間をかけて水の不純物を取り除いて作られた、衛生的な氷なのだ!

 市場内の狭い道路で魚運びに活躍する、電気で動くターレットという車。しかし、最高時速はわずか15km。荷物運びには、もっと他にいい車はないのでしょうか?そこで、「ターレット」、「軽トラ」、「カート」、「三輪バイク」で、築地市場の1ブロックを再現したコースを使い、駐車スペースのゴールに入るまでのタイムを競います。まずは軽トラからスタート。ターレットの入場ところが、車体が大きすぎて曲がりきれずまさかのリタイヤ。続いて三輪バイクは、車体を器用に傾けながらカーブをこなし、20秒24でゴール!カートも15秒85の好記録!そしていよいよターレットの登場!慣れた狭い道を順調に進んだものの、記録は25秒92と惨敗…。しかし、ターレットのお家芸は、狭い通路でのすれ違いに不可欠なバック。そこで、今度は2回バックが必要なコースに変更して再度チャレンジです!すると、バイクとカートが手押しでのバックに苦戦するなか、ターレットは楽々とバックを駆使。結果は、カートに1秒半遅れの2位と大善戦!そもそも戦前、築地では主に手押しの台車が使われていたため、いまだに道幅が1.8mと狭く、ターレットはそんな築地市場に合わせて作られた、まさに築地のための車なのです。



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