知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


バーゲン!! 値札のワナ
第1018回 2010年1月23日


 この冬もやってきましたバーゲンのシーズン!しかし、なぜ人はバーゲンセールに惹き付けられるのでしょうか?今回は科学の力でその真実に迫ります!

「バーゲンの値札に隠された秘密とは?」
 バーゲン商品には割引価格と一緒に、必ず元の値段も表示してありますよね。では、人はどれほど元値に左右されるのでしょうか?そこで、こんな実験!本物の洋服屋さんに特別セールコーナーを設置し、デザインも品質もほとんど同じダウンジャケットに、ウソの値札をつけます。片方は9800円が2800円、もう一方は6800円が2200円と、割引率はどちらもおよそ70%OFFの超激安価格!6着並べ、どちらが早く売れるか観察します。すると…先に完売したのは元値が高いジャケットでした。さらに、値札を入れ替えて再び観察しても、元値が高い方のジャケットがたくさん売れたのです。お客さんにウソの値札だったことを説明し、なぜ元値が高い方を選んだのか聞いてみると、「元値が高い方がいい物で、お得だと思った」というのです。確かに割引率は同じでも、元値から割り引かれた金額は7000円と4600円。元値が高い商品の方が得だと感じ、安さが強調されるようです。実は、お店のショーウィンドウに高価な商品が飾られていることが多いのも、店内の商品が安くてお買い得だと感じさせる戦略なんだそうです。

所さんのポイント
ポイント1
割引率が同じ商品でも、人は元値が高い商品の方がお得だと感じてしまうのだ!

 なんと、人は値札だけではなく、数字そのものに感覚が左右されてしまうといいます。そこで、こんな実験です。リサイクルショップにきたお客さんに1〜10までの数字が書かれた的にダーツを投げてもらった後に、木製バットの定価を予想してもらいます。ちなみに本当の定価は23100円。すると、ダーツの数字が大きい人は、回答も高額に、数字が小さい人は低額になるという傾向がありました。40人の結果をまとめると、1〜5まで数字を当てた人より6〜10までの数字を当てた人のほうが平均で6000円以上も高かったのです。同じ実験を、値段が予想しやすい定価2360円のティーポットで行っても、同じ傾向が見られました。専門家によると、これはアンカリング効果と言って、最初に見た数字が、その後の判断の基準となる現象。例えば、スーパーで買い物する時は10円でも気になりますが、住宅展示場では10円の差が気にならないのも、この効果によるものだそうです。

「バーゲンの混雑に意外な効果?」
 バーゲンセールの唯一の難点といえば、大混雑!もしも、一人でゆっくり選んだらもっとたくさん欲しいものが買えるのでしょうか?そこで、行列ができるスーパーを開店前に貸し切って、目がテン!夢の特別バーゲンを開催!主婦8人の中からくじ引きで当たった半分の4人だけに、一人きりで思う存分買い物を楽しんでもらいます。15分の制限時間内で、普段の特売セールと同じ商品、同じ価格で好きなだけ選んだ4人。貸切と混雑の商品平均比較 2面買った商品の数をチェックしてみると…平均は14点、使った金額は4569円でした。続いてハズレを引いた4人に、スーパーの開店後、他のお客さんと一緒に特売セールに参加してもらいます。店内は大混雑で商品を探すのも一苦労。そして15分後、4人の買い物袋をチェックすると…なんと、商品数の平均は24点、金額は6644円と、1人で買うよりもたくさん買ってしまっていたのです。専門家によると、皆が殺到している商品はお買い得に思え、買わなければチャンスを逃してしまうという思いがショッピングに駆り立てるのだそうです。

 そもそも、人間は数の少なさそのものにも感覚が左右されてしまうんだとか。そこでこんな実験!同じワインを6つの青いグラスと2つの赤いグラスに注ぎ、お盆の上に並べ、居酒屋のお客さんにどちらが美味しいか答えてもらいます。すると、中身は同じなのに、多くの人が赤いグラスの方がおいしいと回答したのです。数が少ないだけで、いいものだと錯覚してしまったのです。だから、バーゲンでも売れて少なくなっていく商品はよく見えて、つい必要ない物まで買ってしまうようです。

所さんのポイント
ポイント2
人はどんどん売れて数が少なくなった商品をいいものだと錯覚してしまい、必要なくてもついつい買ってしまうのだ!

「買い逃しの後悔と記憶の関係」
 バーゲンで誰もが持つ苦い経験、買い逃しのショックは記憶に残るのでしょうか?一人だけ海鮮汁そばを食べられず悔しがる学生そこで、食べ盛りの大学生4人に高級中華料理店に集まってもらい、絶品料理をかけ1品ごとにイスとりゲーム対決を実施!その都度負けた人は食べられないという、強制的に買い逃しに似た状況を作ってどれだけ記憶に残るのか検証します。料理が運ばれてくるのと同時に値段も発表し、敗者は皆が食べる姿を眺めるだけの苦しい時間を味わいました。そして3日後、再び4人に集まってもらい、前回食べた料理の値段を当ててもらいます。すると…それぞれが食べ逃した料理の値段をほぼ正確に答えられたのです。悔しさのおかげで、値段がしっかりと記憶に刻まれていたようです。同じように、買い逃しの悔しさを1度でも経験すると、2度とあんな思いはしたくない!とまた次のバーゲンでたくさん買ってしまうわけなんです。



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