知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


日本勝利へ(秘)シュート
第1039回 2010年6月19日


 ついに幕を開けた、4年に1度のサッカーの祭典、2010FIFAワールドカップ南アフリカ大会!しかし、年々選手だけではなくサッカー道具も進化しているんです!そこで今回は、サッカー道具の進化に科学で迫ります!

 サッカーボールには定番の白黒模様をはじめいろんな模様がついています。でも実は、昔は模様がなかったんです。では、模様にはどんな意味があるんでしょうか?そこで実験!名門筑波大学サッカー部員が、白一色、黒一色、お馴染みの白黒ボールを使い、往復50mのジグザグコースでのドリブル走破タイムを比較します。すると…白や黒のボールではミスも目立ち、6人の平均タイムは、白黒ボール38秒06、白ボール39秒50、黒ボールは40秒45と、黒ボールは白黒ボールより2秒以上も遅いという結果に。選手に聞くと、白一色は光の反射でボールの回転がわかりづらく、黒一色も回転がわかりづらい上に、目の錯覚で小さく見えてしまったと言います。通常、ブレ球シュートの軌跡 上下二面比較さらに、今大会の公式球ジャブラニは、回転のわかりやすい模様だけではなくすごい進化を遂げています。従来のボールは32枚のパネルで出来ていたんですが、ジャブラニはわずか8枚!その結果、ある必殺シュートが生まれました。そこで大検証!空気中の水蒸気と反応して煙を出す、特殊な薬品をジャブラニにつけ、選手に普通のシュートと必殺シュートを打ってもらい、煙で軌跡を比較します。すると、通常のシュートは当然キレイな放物線を描いたものの、必殺シュートは上がったり下がったりと波打つような信じられない軌道を描いたのです!
 そこで、それぞれのシュートを蹴る瞬間をスローで見ると、回転する普通のシュートとは違い、必殺シュートはほとんど無回転だったのです。実は、ジャブラニは野球のナックルボールのような動きの読めないシュートが打つことが可能で、これが今大会大旋風を巻き起こしている魔球、「ブレ球」なのです!ジャブラニは縫い目が極端に少なく、不均一になったため空中を無回転で進むことができ、風洞実験でもジャブラニの後ろには細かな乱気流が発生。だから、真っ直ぐ飛ばないんです。

所さんのポイント
ポイント1
今大会の公式球、「ジャブラニ」は、縫い目が少なく不均一なので、無回転の必殺ブレ球シュートが打てるのだ!

 さて、ボールだけではなく、近年はゴールネットも網目が四角形から進化した六角形ネットが多く使われています。もしや、四角形ネットは破れやすいんでしょうか?そこで、FC東京のエースストライカー、重松選手に至近距離で四角形ネットに強烈なシュートを打ち込んでもらいます。そのスピードは時速117km!しかし、ネットは破れません。そこで、サッカー少年達にゴール脇から四角形ネットと六角形ネットでのシュートの様子を観察してもらいます。憧れの現役Jリーガーのシュートにみんな感動の様子でしたが、六角形ネットへのシュートにはさらに良い反応を示したのです。話を聞くと、六角形はボールがネットに吸い付くように感じたそうです。そこで、ボールが突き刺さる瞬間のスロー映像を見ると、六角形ネットはボールを中心にきれいに伸びていました。実は、六角形ネットは四角形のネットよりも、形が変化して大きく伸び、ゴールの瞬間がより美しく見えるように進化していたのです。

 そしてさらに、試合で審判が吹く笛も、簡単に大きな音が出せるように進化しています。日本サッカー協会の1級審判員の岡田さんに伺うと、試合をコントロールするために、審判にとって笛は大切な道具だそうで、1試合で約40回も笛を吹くといわれているそうです。しかし、なぜ笛が使われるんでしょうか?そこでこんな実験!保育園の教室の真ん中にお菓子を置いておき、園児達がお菓子を食べようとした瞬間に、モニターで観察する矢野さんが「拍子木」、「ゴング」、「笛」の3つを鳴らし園児達の様子を見ます。園児達にはお菓子を食べていいとも悪いとも言っていません。すると、拍子木とゴングでは、音に驚きはしたものの、それぞれ5人全員がお菓子を食べてしまいました。しかし、最後に笛で実験したところ、なんと5人全員が食べるのをやめたのです!笛だけに反応した理由を専門家に伺うと、人間が猿だった頃、警戒音として使われていた鳴き声に似ているからだと考えられるそうです。そこで実験!動物園の猿山の中にテーブルを設置。好物のバナナを置いて、食べようとした瞬間にスタッフが強く笛を吹きます。サルと対峙するスタッフすると…サルたちは手を伸ばそうとした瞬間に鳴らされる笛の音に驚き、バナナをとることができませんでした。審判が笛を使うのは、人間が笛の音に本能的に反応してしまうからだったのです。実際に、サルの出す警戒音と笛の周波数はグラフで見てもソックリ。ちなみに、この全世界の審判が愛用している笛も、六角形ネットも日本の会社が作っているんです。まだまだ進化中の日本サッカーですが、日本の製品はすでに世界の舞台で大活躍!是非、選手のプレー以外にも注目してW杯観戦をもっと楽しんでください。

所さんのポイント
ポイント2
笛の音は、サルの出す警戒音に似ているので、人間は本能で反応してしまうのだ!




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