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絶対安全(秘) 熱中症 対策
第1046回 2010年8月7日


 夏真っ盛り!しかし、暑い日が続くと起こりやすいのが、熱中症
そこで今回は、4種類の熱中症それぞれの対策を科学で解明します!

① 熱失神
 夏の朝礼中、倒れてしまう生徒…これは「熱失神」の症状。なぜ暑いと倒れてしまうんでしょう?そこで実験!男性3人に、水温17℃の水風呂に20秒間入った後、90℃のサウナに5分入ってもらいます。これで、涼しい室内から炎天下に出てきた状態を再現し、すぐに長さ3mの平均台渡りに挑戦してもらい平衡感覚をテストします。すると…サウナ前には全員難なくクリアできたのに、今度は全員がスタートからフラフラして半分も渡れませんでした。「目を閉じての片足立ち」でもチェックしたところ、サウナ前は2分間をクリアできたのに、サウナ後は、全員数秒でリタイア。専門家によると、暑くなり体温が上昇すると、身体の熱を発散しようとして、皮膚表面の血流量が増え、脳への血流が減少し平衡感覚が失われるのだそうです。これが熱失神の原因。予防法は、立ちっぱなしを避け、こまめに座ることだそうです。

所さんのポイント
ポイント1
体温が上昇すると、皮膚表面の血流量が増え、脳への血流が減って、平衡感覚を失ってしまうのだ!

② 熱疲労
 気温が高い場所に長い間いると身体がだるくなり、集中力が低下する、「熱疲労」。なぜ暑いと頭がボーっとするのでしょう?専門家によると、長い間汗をかくことで身体から水分が減少してしまうのが原因だそうです。そこで、強豪のフットサルチームに30℃の室内で前後半合わせて20分間の試合をしてもらいます。ただし、片方のチームは水分補給OKで、もう一方は水を一切飲まないでプレーしてもらいます。すると…意外にも水を飲まなかったチームが勝利。そこで、制限時間1分で、箸で大豆をつかみ、順番にくぼみに入れていく「大豆運び」で集中力検査です。その結果、水を飲んだチームは試合前より後の方が平均で約2粒増え、水禁止チームは、手が震え、平均で約4粒も減ったのです。確かに、水禁止チームは後半になると簡単なパスミスが続出。試合後の体重測定でも、平均900ccもの水分を失っていました。やはり水を飲まないと集中力が落ちるようです。専門家によると、長い間汗をかき続けることで血液の水分が減少し、脳の血流が減り、集中力が低くなるそうです。熱疲労の一番の対策はもちろん水分補給ですが、吸収には時間がかかるので、運動する1時間ほど前からこまめに水を飲んでおくのが効果的だそうです。
赤チームの大豆運び  暑くなくとも熱疲労が起きると聞き、こんな実験!学生2人に、東京の8月の平均最高気温31℃に設定した室内でエアロバイクを15分間、一定の速度でこいでもらいます。そして、終了後に大豆運びで集中力検査!すると…実験前より2人とも記録ダウン。翌日、今度は27℃に設定して再び実験。ところが、大豆運びの結果は、なぜか31℃の時よりダウン。その理由は湿度にありました。実は31℃の時は、湿度35%の乾燥状態で、気温27℃の時は、湿度が74%もあったのです。乾燥していると、少ない汗で体温が調節できるため、汗をかく量も少なくて済みますが、湿度が高いと、汗が蒸発しにくいので汗をかいてもあまり体温が下がらず、さらに大量の汗をかいてしまいます。暑くなくても湿度が高い時は水分補給を忘れずに!

③ 熱けいれん
 水分補給に気を使っていても、脚のつりや、筋肉がけいれんしてしまうことがあります。その原因は、大量に汗をかくと血液中の塩分が失われるからだそうです。では、汗で塩分が失われると、運動能力にどれほど影響があるのでしょうか?そこでこんな実験!運動の1時間前から十分水を飲んだ男性2人にランニングマシーンで15分間、できるだけ速く走ってもらいます。ランニング中も水分補給は自由。そして、1時間の休憩を挟み、次は血中塩分濃度と同じ、約0.9%の食塩水を飲みながら同じく15分ランニング。その結果、2人とも食塩水を補給した方が記録アップ。もう一組でも行った結果、4人の平均は約200mもアップしたのです!実は、塩分は筋肉を動かす神経伝達物質として機能しています。そのため、塩分が減ると、筋肉が動きづらくなって運動能力が下がり、熱けいれんが起こるのです。これを防ぐには、ただの水より、スポーツドリンクなど塩分を含んだ飲み物をとるのが有効です。
水と食塩水の減り比べ実験  人間の体には、塩分不足を予防するメカニズムがあるというので、こんな実験!2人の男性にエアロバイクを一定の速度で30分こいでもらい、一方には水、もう一方には食塩水を用意し、喉が乾いたらチューブで好きなだけ飲んでもらいます。すると、水よりも食塩水が多く減り、人を入れ替えて再度実験しても、水は食塩水の半分以下しか減りませんでした。実は、水を飲むと血中の塩分濃度が下がるので、喉が乾いても、身体が水を飲む量を自然とセーブするのです。

所さんのポイント
ポイント2
人間の身体には、血中の塩分濃度が下がらないよう、大量の水を飲めないようにセーブする驚異の能力が備わっているのだ!

④ 熱射病
 死亡の危険性が最も高い熱射病。熱疲労の状態を放置して、体から水分が一定以上失われると、それ以上汗をかけなくなり、体温を下げられず危険な状態になってしまいます。こうなると自分で対処は不可能。すみやかに病院へ行きましょう。



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