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ゲリラ豪雨 (秘)防水対策
第1048回 2010年8月21日


 今年の夏、100年に一度の大熱波がロシアを襲い、中国では大洪水が発生!日本でもここ数年、局地的に強烈な量の雨が降る「ゲリラ豪雨」が頻繁に発生しました。そこで今回は、ゲリラ豪雨をはじめとする異常気象を科学します。

 ゲリラ豪雨の実態を探るため、日本気象協会を訪ね、気象予報士の方に、ゲリラ豪雨を発生から撮影したい!と伝えると…協会では、降雨予想は約80%の的中率を誇るものの、ゲリラ豪雨の予測は出来ないそうです。そこで、都内が一望できる高層ビルの展望室から空の様子を目で見張り、雨雲の動きがリアルタイムで分かるレーダーも使い、怪しい雲が発生したらすぐに別働隊が駆けつけ、総雨量を量るという作戦に!しかし、怪しい雲を発見しても、スタッフが現場に着くと、雲は消えてしまっていたり、タッチの差で降り止んでいたりの連続で、5日間に渡る取材の結果、東京で17回も発生したゲリラ豪雨に遭遇することは出来ませんでした。ゲリラ豪雨は、大量の雨が、短時間の内に狭い範囲で降るので予測は難しいのです。ちなみに、夕立もゲリラ豪雨も、日差しで地面が温められて起こる強い上昇気流によって作られた積乱雲が原因です。しかし、近年都会はアスファルトが増え、ヒートアイランド現象と呼ばれる、空気が温められやすい状態になっているため、より大きな積乱雲となり、夕立がゲリラ豪雨に変化し、大きな被害を起こしてしまうのです。

所さんのポイント
ポイント1
ゲリラ豪雨は、狭い範囲に短時間で大量の雨が降るので、事前の予測が難しいのだ!

 さて、ゲリラ豪雨によって引き起こされるのが、ニュースなどでよく見かける、道路が川のようになってしまう冠水被害。一体なぜこんな被害が起きるのでしょう?専門家に伺うと、東京都の下水管は、1時間に50mmの雨量まで対応可能で、それを超える降雨に見舞われると、道路が冠水してしまうのだそうです。しかし、冠水被害は、雨が降らなかった場所でも発生する危険があるといいます。矢野さんはその状態が再現できるという研究所を訪ね、実際に見せてもらうと…重いマンホールの蓋がいきなり吹っ飛び、水があふれ出てきたのです!さらに、東京の下水管と同じ処理能力を持つ水理シミュレーターで、実際にゲリラ豪雨と同じレベルの水を流してもらいます。実験施設のマンホールから吹き出る水すると…直径30cmの下水管はあっという間に満水になり、さらにそこへ別の下水管から水が流れこみ、2本の下水管の合流地点では、グングン水が登り、次の瞬間、すごい勢いでマンホールから水が吹き出しました。実は、下水管は上流から下流に向けて合流していくため、上流側でゲリラ豪雨が起こると、雨が降らなかった下流でも、流しきれない水が合流ポイントのマンホールから溢れる危険があるのです。さらに、下水が排水される川などが増水し、下水管の出口が塞がれた場合にも、水が逆流してマンホールから吹き上がることもあるそうです。

所さんのポイント
ポイント2
下水管の上流側でゲリラ豪雨が起こった場合、下流側では雨が降らなくても、下水管の処理能力を超えて冠水してしまうことがあるのだ!

 さて、ゲリラ豪雨の中でも、外を歩かなければならない場合もありますよね。では、豪雨の時、一番濡れない雨具は何なのでしょう?降雨実験ができる施設で、1時間に100mmという豪雨を再現した部屋に5分間入り、その効果を比較します。被験者の上半身と両腕には、水が付くと赤く変色する特殊用紙を巻きつけます。まずは新聞紙。結果、やはり豪雨はしのげずに全身真っ赤に…。雨に打たれる蓑続いては雨具の王道、傘ですが…前も後ろもほぼ真っ赤になってしまいました。続いては、安価なビニール製のカッパ。すると、前面はボタンの隙間から雨が入り、少し赤くなりましたが、背中はほぼ無事と、なかなかの効果。そして最後は日本古来の雨具・蓑が登場!すると…前面は開きっぱなしなので真っ赤になりましたが、なんと背中側はほとんど濡れていなかったのです!実は、蓑はワラが外側に向って何重にも重ねて作られているので、豪雨でも外側へ水を流し、内側には染み込んでこないのです。

 昨年、石川県でオタマジャクシや小魚が空から降ってくるという謎の事件が発生!一説には、竜巻によって空に巻き上げられて降ってきたのではないかと言われています。凄まじい威力を持つ竜巻の仕業だとしたら、なぜ小さな生き物は粉々にならずに降ってきたのでしょう?そこで、竜巻研究の先生を訪ね、こんな実験!底に切り込み加工をしたペットボトルと、掃除機を使い、地上付近の気流が強力に発達した積乱雲に巻き上げられ発生する竜巻をミニチュアで再現!この、ミニチュア竜巻の直径はおよそ1cm。本物の巨大竜巻の約1万分の1という規模です。そこで、オタマジャクシのおよそ1万分の1の重さのアリで実験です!掃除機のスイッチを入れると…アリは吸い込まれることなく、ペットボトル内をグルグルと回り、1分後、スイッチを切ると無事に生還!続いては、小魚の代わりに釜揚げシラスで実験です。シラスを、一気に20匹入れて開始すると、アリと同じく、ボトルの上方でグルグル回り、スイッチを止めてもそのままの姿でした!小さな動物は、建物などとは違い、踏ん張らずに強力な気流に身を任せたおかげで、粉々にならなかったと考えられるそうです。



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