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食える!?古い即席めん
第1083回 2011年5月21日


 今や私たちの生活に欠かせない、長期間保存でき、手軽に食べられるカップ麺や缶詰。街行く人に、そんな保存食品をどんな場所にしまっているかと尋ねると、「ガスコンロや電子レンジの近くなど高温の場所」、もしくは「水周りなど湿気の多い場所に置いている」という方が多数!そんなところに置いていて大丈夫?そこで今回は、保存食品の気になる疑問について、科学で徹底解明します!

①保存食品を高温の場所に置いておくと、どうなる?
常温、90℃ 平たい麺のかやく 比較  まずは佐藤アナが、細長い容器と、平たい容器のカップ麺、そして袋麺それぞれ3種類、9商品を研究所に持ち込み、実験装置をサウナとほぼ同じ90℃に設定、72時間放置してみました。短期間で変化を見るため、極端の設定にしたのですが…3日後、食品の専門家を訪ね、中身を開封してみると? 麺からチェックすると、常温の麺に比べて、どの麺も多少黒く変色していました。さらに粉末スープは板チョコのように黒く固まり、かやくは全体が真っ黒になっていました。
 インスタント麺は、高温の場所では程度の差こそあるものの、麺、かやく、スープ共に黒く変色が見られました。カップ麺の容器や袋にとって厳しい環境だったようですが、今度はより固い容器で密閉保存されている缶詰で同じ高温実験をしてみました。90℃の装置に放置したのは、モモ缶、イワシの味噌煮缶、カニ缶の3種類。そして3日後、スタジオで所さんが90℃で放置したモモ缶を開けると…3種類でそれぞれ差はあるものの、全ての中身が黒く変色していました。続いて、カニ缶とイワシの味噌煮缶も開封したところ、モモ缶ほどではありませんが、同様に黒みがかっていました。では、これらの缶詰は本当に食べられるのでしょうか?そこで実験!20代の男性9人に、中身は内緒にして、味の評価をしてもらいます。すると、モモ缶は全員が「問題なく食べられる」と答え、イワシの味噌煮缶は9人中8人がOK。最後のカニ缶は、「多少の匂いが気になった」という人が見られましたが、9人中5人と、過半数が「問題ない」と答えました。皆さんに実験後、ネタバラシをすると、90℃で72時間放置した缶詰であったことに全員ビックリの様子でした。所さんにも、スタジオで同じ条件で放置した、平たいカップ麺を食べてもらったところ、「何とか食べられる」との評価。でも、本当に食べても大丈夫なんでしょうか?実は、あらかじめ実験前に、高温で放置した缶詰に微生物が発生してないか、専門家に調べてもらっていました。専門家によると「微生物の繁殖は一切見られず、食べても問題がない」そうです。このように、大半のものが黒く変色してしまった原因は…「タンパク質やアミノ酸が、糖と反応して起こる、アミノカルボニル反応が起きたと考えられる」そうです。実は醤油や、炒ったコーヒー豆などが黒いのも、この反応によるもの。そもそもこれは全ての食品にゆっくりと起こっている反応なので、別に腐ったり傷んだりしているわけではないのです。しかし、過度な高温など、過酷な条件であるほど反応が早くなるので、パッケージに「直射日光を避けてください」と書いてあるものは、高温による変色を防ぐ意味もあったんですね。

所さんのポイント
ポイント1
保存食品は、高温の場所に放置しておくと、衛生上はほとんど問題ないが、黒い変色が早く発生してしまうので要注意!

②保存食品を湿度が高い場所に置いておくと、どうなる?
菌が繁殖したシャーレ 9個並び  さて、今度は湿度が高い場所で放置して、状態の変化を確かめます。先ほどの研究所で、温度は常温の25℃に、湿度を100%に設定して、同じく3種類のインスタント麺、それぞれ3つずつを装置に入れ、72時間放置してみます。そして、スタジオで所さんにインスタント麺を開けてもらうと…見た目にはさほど変化は見られず、多少黒みがかった程度。そこで再び食品の専門家に、湿度100%で3日間放置したインスタント麺の微生物検査をしてもらうと…なんと全ての中身に菌が繁殖!「衛生上、食べないほうがいい」とのことでした。
 ちなみに、同じ条件で放置した缶詰には微生物は繁殖していませんでした。通常はカップ麺や袋麺では微生物は繁殖しませんが、湿度100%という極端な条件だと、包装が缶詰に比べて頑丈ではないため、中の麺などが水分を吸収、菌が繁殖しやすくなるようです。ということで、インスタント麺は直射日光を避け、湿度の低い場所に保管しましょう。梅雨などジメジメの季節には、特にご注意ください。

所さんのポイント
ポイント2
湿度が極端に高い場所では、インスタント麺の容器内に湿気が入り込み、雑菌が繁殖してしまうことがあるのだ!




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