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夏休みの宿題ためる訳
第1096回 2011年8月27日


 楽しい夏休みも終わりを迎えました。そこで今回は、街の皆さんに聞いた、夏休みの思い出に関する、気になる疑問を徹底解明します!

①夏休みの宿題は、なぜギリギリまでためてしまうの?
 子どもにとって夏休み最大の悩み、宿題!そこで、夏休みが始まったばかりの7月末、小学生たちに宿題をいつまでに終わらせたいか聞いてみると…21人中14人が「早めに終わらせたい」と答え、残りの7人は「毎日少しずつやる」と回答。「後半にまとめて終わらせる」という子は1人もいませんでした。しかし、夏休みも残り2週間を切った8月19日、再び子供たちに集まってもらい、それぞれの進み具合を聞いてみると…「早めに終わらせたい」と言っていた14人中、12人がまだ終わっていなかったのです。理由を聞くと、「まとめてたくさんの宿題が出されるから」と言います。そこで、まとめて出すのと少しずつ出すのでは、どんな違いがあるのか実験です!小学校4年生の男子生徒に、自分の部屋で宿題をやってもらい、その様子をウォッチング。まずは、朝9時から30分ごとに1教科のプリントを3枚ずつ渡した場合。受け取るごとにあっさりと終わらせ、残った時間はリビングでテレビを見て過ごす余裕っぷり!4教科、合計12枚の宿題を、見事2時間で終わらせることができました。そして、4時間の休憩を挟み、ここからが本番!今度は夏休みの宿題のように、最初にまとめて全ての宿題を渡し、午後3時から同じ2時間の様子を見ます。宿題は先ほどより少ない8枚なので楽勝のはずですが…開始早々漫画を読み始め、その後はテレビを見にリビングへ。ようやく部屋に戻り宿題を始めたと思いきや、またすぐにリビングへ戻りの繰り返しで、結局2時間で終わったのは8枚中5枚。少しずつ渡した時の半分以下という結果に。さらに別の子ども2人で同じ実験をしてみると…1人は渡し方に関わらず宿題を終わらせることができたものの、もう1人は、小分けの場合、12枚全て終わらせたのに、まとめて渡すと、6枚しか終わらず…。でも、午前中で疲れてしまったのかもしれません。そこで、別の2人の子供で、午前中にまとめて渡し、午後に少しずつ渡すという、逆のパターンで実験したところ、やはり、2人とも、少しずつ渡した時の方が、宿題を多く消化できたのです。この理由を専門家に伺うと…「子どもはペース配分が苦手なため、まとめて渡すと、すぐにできると思い、遊んでしまうのに対し、小分けに渡した場合、宿題のペースが掴めるので、集中して計画的に終わらせることができる」と考えられるそうです。

所さんのポイント
ポイント1
子どもはペース配分が苦手なので、夏休みの宿題のようにまとめて渡されると、コツコツと計画的に終わらせることができないのだ!

②読書感想文がうまく書けないのはどうして?
 今回の宿題調査で、一番後回しにされていた課題が、読書感想文。なぜ子どもたちは感想文が苦手なんでしょう?専門家に理由を伺うと…「本を読んだ直後に書くから書きにくい」と言います。そこで実験!10人の小学生を5人ずつの2チームに分け、実験内容を知らせず、それぞれ同じ本を読んでもらいます。まずはAチームに読み終わった直後、感想文を書いてもらうことを告げ、400字詰め原稿用紙の最後の行まで埋めるというルールで、書き終わるまでの時間を測定。すると、みんなは本を読み返し、なかなかペンが進まず、5人全員が30分近くもかかってしまいました。読書感想文、Bチームの一人目終了「はい」と挙手そして、今度はBチームに同じ本を読んでもらい、この日はそのまま帰宅してもらいます。そして翌日再び集まってもらい、感想文を書いてもらうことを伝えると…みんなは一斉に書き始め、なんと一人目は開始からわずか10分半で終了。5人中4人が10分台と、平均でもAチームに比べ、12分26秒も早かったのです。
 念のため、別の本でAチームとBチームを入れ替えて同じ実験を行った結果、今度は翌日に書いたAチームの平均時間の方が早くなりました。理由を専門家に伺うと…「読んだ直後はいろんな感情が浮かび、感想がうまく整理できないが、一晩眠ると、強く心に残ったことだけが頭に残り書きやすくなる」と考えられるそうです。

所さんのポイント
ポイント2
読書感想文は、読んだ直後に書くよりも、一晩眠り、自然と頭の中で内容が整理されるのを待ったほうが、スラスラと書きやすくなるのだ!

③ラジオ体操にはどんな効果があるの?
 誰もが早起きして通った、夏休み恒例のラジオ体操。でも、一体どんな意味があるのかを専門家に尋ねると…「一日の活動を行うための準備運動になる」そうです。そこで、運動前にやると、どれほど効果があるのか実験です!40代の男性4人に50m走を3回走ってもらい、その平均タイムで順位をつけます。4人は、一晩旅館に泊まり、翌日の早朝6時に無理矢理起こされ、グラウンドへ。体操する男性二人(3位と4位だけラジオ体操をする)前日の平均タイム3位と4位の2人だけにラジオ体操をしてもらい、上位2名は何もせずに見学です。
 そして、4人に再び50mを走ってもらうと…なんと前日4位の人が1位と言う驚きの結果に。3位の人もタイムが上がったのに対し、ラジオ体操をしなかった2人は記録ダウン。ラジオ体操にはウォーミングアップ効果があるようです。そして、小学生でも同じ実験を行ってみると…なんと前日と順位は変わらずタイムもほぼ同じ。この理由を専門家に伺うと…「大人は、寝起きは筋肉が硬いため、ラジオ体操の効果を得られたものの、子どもは元々筋肉が柔らかいので効果が薄い」と考えられるそうです。実際に、大人の筋肉の硬さをラジオ体操の前後で計ってみると、体操後は柔らかくなりましたが、子どもはラジオ体操をしても硬さは変わらず。そもそも暑い夏は体が固くなりにくく、子どもには肉体的な効果は薄いようなんです。とはいえ、毎朝早起きすることで、長い夏休み中でも規則正しい生活を送れるという効果はちゃんとあるようです。



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