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究極の鶏からあげ作り
第1103回 2011年10月29日


 家庭で定番のおかず「鶏のから揚げ」。しかし、最近は南青山や渋谷など、オシャレな若者の町に、から揚げ専門店が続々登場!そこで今回は、今やファーストフードに大変身した、大人気の「鶏のから揚げ」にまつわる疑問を科学します!

①なぜ今、から揚げは人気なの?
 から揚げの人気はどれほどのものなのかを探るため、早速こんな実験です!朝食抜きで空腹の、同じような体格の20代男性6人に、くじで3つのグループに分かれてもらいます。そして、それぞれに「から揚げ」、「フライ」、「天ぷら」と、同じ鶏肉を同じ180℃の油で調理した揚げ料理を、1皿100gに揃え、満腹になるまで食べてもらいます。ただし、天ぷらとフライはそのままだと食べにくいので、天つゆやソースをつけてもOK。すると…天ぷらチームは計11皿、フライチームは計9皿、から揚げチームは計7皿と、なんと大人気なのに最下位という結果に!そこで翌日、同じ6人に集まってもらい、チームもそのままで、同じ食べ放題実験をしてもらいます。すると…なぜか天ぷら、フライチームともに浮かない表情で、計6皿でリタイア。一方、昨日最下位だった、から揚げチームは計10皿をたいらげ大逆転!実は、昨日とは、実験の条件を1つだけ変えていたんです。それは…温度!1日目の料理は70〜80℃とアツアツの状態でしたが、2日目は20〜30℃に冷めた状態だったのです!から揚げだけ、冷めても食べる量が減らなかった理由を専門家に伺うと…「天ぷらやフライは下味を付けずに揚げるため、冷めて肉が固くなると、衣と肉の一体感がなくなってマズくなってしまう」そうです。一方、「から揚げはしっかり下味を付けているため、冷えて肉が固くなっても、肉から味が染み出てくるので美味しく感じる」そうです。弁当のおかずにもよく入っているから揚げは、下味が付いているおかげで、いつ食べても美味しいから人気だったんですね。

所さんのポイント
ポイント1
から揚げはしっかりと下味を付けてから油で揚げるため、冷めても美味しく食べられるので、人気なのだ!

②どの鶏肉を使えば、究極に美味しいから揚げができるの?
 最も美味しい究極のから揚げを作ろうと、精肉店で100g440円という最高級の「東京軍鶏」、さらに100g300円の「さつま地鶏」、比較のため、100g130円の一般的な「ブロイラー」を購入。それぞれ同じ部位を同じようにから揚げにして、実験内容を知らない、街行く20人の方に、3つの中から一番おいしいと感じたものを選んでもらいました。その結果…なんと13人もの方が最も安いブロイラーと答えたのです!軍鶏、地鶏、ブロイラー3択実験「やっぱりAがいいな」皆さんにネタバラシをした後、感想を聞くと…「ブロイラーは柔らかく、軍鶏や地鶏は肉が固かった」と言うのです。その理由を専門家に伺うと…「軍鶏や地鶏は、ふ化日から80日以上飼育してから出荷されるのに対し、ブロイラーは生後2ヶ月以内のヒナの段階で出荷されるので、肉が柔らかい」そうです。実は、軍鶏などの地鶏には、肉本来の旨みを味わうため、筋肉が発達した親鳥にならないと出荷できない規定があるため、から揚げでは本領を発揮できないようです。

所さんのポイント
ポイント2
高級地鶏は筋肉が発達してから出荷されるのに対し、ブロイラーはヒナの状態で出荷されるので、肉が柔らかく、から揚げに最適なのだ!

③なぜから揚げにはレモンなの?
 から揚げにレモンという、定番の組み合わせ。でも、揚げ物全般にもレモンが添えられていますよね?街では、「揚げ物にレモンがつくと、さっぱりしてたくさん食べられる」という声が多く聞かれました。そこで、レモンがあると、どれだけ揚げ物をたくさん食べられるのか実験です!油っぽいもの代表、「あげ玉」をボウル一杯の500g用意し、20代の男性4人に、何も調味料を付けずに、時間無制限で食べてもらいます。本気で食べてもらうため、一番多く食べた人には賞金を進呈すると伝え、実験スタート!すると…皆さん辛そうな表情で、必死にあげ玉を口に運びますが、全員が完食できずにギブアップ。食べた量は、一番多く食べた人でも280gでした。そして翌日、同じ4人に集まってもらい、ここからが実験本番!揚げ玉実験 レモンの男性「ギブアップで」昨日食べた量の順位が書かれたゼッケンを付け、再びあげ玉500gに挑んでもらいます。しかし今回は、前日の1位は「塩」、2位は「砂糖」、3位は「レモン」、4位は「唐辛子」と、それぞれに調味料を用意。大本命のレモンはどれだけ食べる量が増えるのでしょうか?実験スタートと共に、昨日と打って変わって快調に食べ進める4人。それでも、限界が訪れ、まずは唐辛子がギブアップ、砂糖もこれ続き、レモンはどれだけ他を上回るのか?と思いきや、なんと塩より先にギブアップしてしまいました。
 実際に食べた量を計測してみると…唐辛子は233g、レモンは352gと大躍進!ところが、砂糖はレモンを超える389g!さらに、最後まで食べ続けた塩はなんと405g!砂糖と塩がレモンを上回り、レモンは特別に揚げ物と相性が抜群というわけではないようです。念のため、翌日、それぞれの調味料を変えて実験した結果、やはりレモンが特別に記録を伸ばすということはありませんでした。つまり、レモンは、味を変えるという意味では塩などと同じで、特別な意味はなく、あえて言うなら、パセリのように色どりを加えて、見た目のおいしさを演出しているのかも知れません。



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