知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


お守りで成績上がるか
第1114回 2012年1月21日


 新年が幕を明け、今年も多くの人で賑わった初詣。でも、なぜ毎年おみくじを引いたり、お守りを買ったりするのでしょう?そこで今回は、初詣で定番の神頼みの風習を科学で検証します!

①なぜ毎年、「おみくじ」を引いてしまうの?
 初詣で賑わうお寺で、おみくじを引いた方に話を聞くと…大吉や凶など悲喜こもごもでしたが、悪い運勢が出るかもしれないのに、なぜか皆さん毎年引いてしまうそうです。一体なぜなのか?こんな実験です!箱の中に、スタッフが神社を廻り集めた、全て「凶」の5種類のおみくじを入れます。そして、凶と書かれた部分をシールで隠し、街行く人に、おみくじを引いてもらい、「待人、きません」など、厳しい言葉が並ぶ中身をしっかり読んだ上で、大吉から凶の内、どれに当たるか予想してもらうと…なんと25人中、ほぼ全員の24人が末吉以上と予想!実は凶であることをネタバラシをすると、当然驚きの様子。この理由を専門家に聞くと…「凶のおみくじでも、良い事も書いてあるため、凶を引いた人は、悪い情報を無視して良い情報だけを取りこむ傾向がある」そうです。そこで実験!10人の若者をクジ引きでA、Bのグループに分け、1人ずつ呼び出し、向こう1週間の運勢を占ったと、10秒ずつ占いの内容が書かれたフリップを10枚見せます。おみくじの文字「待人きません。しかしたよりがあります」しかし、その内容は全くのウソ。Aグループには良い結果だけを、Bグループには悪い結果だけを伝えます。そして翌日、再び全員に集まってもらい、占いの結果をどれくらい覚えているか筆記テストで確認すると…Aグループの平均は7.8点。Bグループは4.2点と、良い結果だけを見たAグループは2倍近くの好成績!やはり良い事の方が印象に残るようです。実際に、実験で使った凶のおみくじにも、「待人来ません」の後に、「しかし、たよりがあります」とフォローするように、良い事も書かれていました。

所さんのポイント
ポイント1
たとえ「凶」のおみくじでも、良い事も書かれている。人は良い印象の方が頭に残りやすいので、おみくじを毎年買ってしまうのだ!

②「お守り」にはどんな効果があるの?
 さて、初詣のもう1つの定番といえば、お守り。買った人に話を聞くと、交通安全や合格祈願など、皆さんそれぞれに良い事があると期待しているそうです。では、お守りは心理的にどれぐらいプラスになるのか?小学生の男女6人で実験です!まずは全員初体験のダーツに挑戦してもらいます。10投の合計得点を出したところで、ダーツの日本チャンピオン、長谷川さんが登場し、10点満点を3連発。ダーツの神様の技に感激した6人に、神様から「使うと上手くなるというダーツの矢」をプレゼント。実は色が違うだけの普通のダーツですが、心強いお守りをもらって6人は再びダーツに挑戦!ところが…3人は得点が上がったものの、3人はダウン。はっきりと心理的な効果がみられないという結果に…。そこで、今度は別の6人が鉄棒に挑戦。まずは全員に限界までぶら下がってもらい、落下するまでのタイムを計測。そこへ、今度は体操のスペシャリスト、川原さんが登場し、大車輪など豪快な技を披露。鉄棒の神様から、大興奮の6人に渡されたのは、「鉄棒が上手くなるリストバンド」。そして実は何の変哲もないリストバンドをつけた6人に、再び限界まで鉄棒にぶら下がってもらうと…なんと6人中5人が、最初の記録から大幅に記録アップ!子供たちも「お守りのおかげで頑張れた」と効果を実感している様子。でも、なぜダーツは効果がなかったのに、鉄棒は記録アップしたのでしょう?理由を専門家に伺うと…「鉄棒は、お守りの効果で、やればできるという暗示がかかり、持っている実力をほぼ100%発揮できた一方、ダーツは、高い技術が必要なので、暗示がかかっても、実力そのものは伸ばせないので、成績が上がらなかったと考えられる」そうです。受験で言うと、お守りで自分が覚えた知識を引き出すことができても、そもそも覚えてなければ、思い出せないので、努力は大前提なのです。

所さんのポイント
ポイント2
お守りは、持つことで暗示がかかり、元々の実力をフルに発揮しやすくなるのだ!

③なぜ「さい銭」で高いお金を出す人がいるの?
 さて、初詣で、誰もが投じる「さい銭」。お参りした人にいくら出したのか聞いてみると…小銭を出す人が多い中、千円などのお札を出す人も。さぞかし良い事があったのかと思い、理由を聞くと…「悪い事があったから高い金額を出した」と言うのです。では、良い事があった場合と悪い事があった場合、さい銭の額に違いは出るのか?こんな実験!就職活動中の学生10人を2つのグループに分け、各グループからペアで3回、10分間の模擬面接を受けてもらいます。でも、実は面接官は仕掛け人で、面接内容と関係なく、片方のグループだけを採用するようにしています。つまり、採用されたグループは良い事があった状態。一方は3連敗と、悪い事があった状態に。でも実験はここからが本番!さい銭を箱ごとぶちまける男性面接後、10人が向かったのは神田明神。ここで、全員にお小遣いとして100円玉で3000円分ずつ渡し、仕事運の神様に1人ずつ就職祈願してもらいます。果たして金額に違いは出るのでしょうか?まずは面接に合格したグループの様子をみると…お小遣いが減らないように、たいした金額は出さず、5人中4人が500円未満。一方、面接に落ち続けたグループは、5人中4人が500円以上を投じたのです!中には、面接がうまくいかなかったので、「ご利益があれば」と思いを込めて3000円全部出した人も。専門家によると…「面接が悪い結果に終わったグループは、自分の実力が通じないと判断し、この先の就職活動の成功のために、さい銭を多く出したと考えられる」そうです。つまり、高額のさい銭を出す理由は、良い事のお礼という人もいますが、自分では解決できない、悪い状況を良くしたいという願いが込められていることが多いようです。



人間科学編へ物・その他編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧