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女のが武器になる訳
第1120回 2012年3月3日


 3月は卒業式や定年退職など別れの季節。悲しい別れにつきものなのが…涙。そこで今回は、街で聞いた、「泣くこと」にまつわる疑問を科学で徹底解明します!

①新説!女性の涙のニオイで男性の興奮がおさまる?
 なぜか男性は、女性の涙に弱いですよね。実は、この謎に迫る驚くべき論文が!昨年アメリカのサイエンス誌に掲載された論文によると…「女性の涙で男性の興奮がおさまるのは、涙のニオイによるもの」だというんです!街でこの説について聞いてみると、皆さん当然のように信じられない様子…。そこで、その真偽を実験で確かめてみることに!まずは、舞台などで活躍する女優さんたちに、悲しかった事を思い出してもらい、無理矢理流してもらった涙を、スタッフが容器に30ml採取。そして、専門家の指導のもと、20代男性の平常時の心拍数を測定。その直後、男性にはイライラするゲームをしてもらい、さらに仕掛人が隣から悪口で邪魔をして、興奮状態を作り、3分後…心拍数は平常時の70から、84に上昇!男性1人目の心拍数測定「3:40・心拍数69」そしてここからが本番!先ほど採取した涙を染みこませた脱脂綿を、男性の鼻の下にテープで貼り付け、元の心拍数に戻るまでの時間を測定します。もちろん男性には、涙であることは内緒。そして、涙のニオイを嗅ぎながら安静にしていると…ゲーム終了から約40秒で平常値に戻りました。比較のため、休憩を挟んだ後、今度は脱脂綿に、涙ではなく生理食塩水を染み込ませ、同じ実験を開始!結果、心拍数がスタート時の数値まで下がったのは、涙よりも36秒遅い、1分16秒後でした。他の男性2人でも同じ実験をしてみると、同様に2人とも涙の方が早く心拍数が下がったのです。
 念のため、別の3人で、生理食塩水と涙のニオイを嗅ぐ順番を入れ替えて同じ実験を行ったところ、やはり3人とも涙の方が早く心拍数が下がりました。もちろん、女性の泣いている姿や声によって、男性の興奮がおさまる可能性もありますが、今回の実験結果によると、涙のニオイも一因のようなんです。さらに、同じ論文によると、涙のニオイは心拍数だけではなく、攻撃性に関わる男性ホルモンの分泌や体温も低下して興奮がおさまるそうです。スタジオで所さんに、容器に入った涙と、生理食塩水のニオイを嗅ぎ比べてもらうと…どちらも無臭との感想。そう、涙には人が感じるほどのニオイはないのです。実は、この論文でも、涙に含まれる、どの成分が影響しているのかは未解明。今後の研究成果に期待しましょう。

②年をとると、どれぐらい涙もろくなる?
 さて、街で年配の方々に話を伺うと…年をとって涙もろくなったという声が多数。そこで、年をとるとどれくらい涙もろくなるのか、実験です!20代の男女2人と、50〜60代の中高年男女2人、計4人の方に、タマネギ半玉を同じ時間ミキサーにかけてもらい、直後にフタを開け、目を近づけて早泣きレース対決をしてもらいます!すると…開始からわずか22秒、20代女性の目に涙が!それに続いたのは20代男性!そして、1分以上遅れ、ようやく60代女性も涙を流し、50代の男性は、開始から2分半後にようやく涙が…。1番先に泣く女性、ハンカチで顔おさえる「1:39秒」念のため、もう一組でも同じ実験をしたところ、再び中高年チームは惨敗。結果、若者4人が泣くまでにかかった時間の平均は35秒だったのに対し、中高年4人の平均は2分02秒と、意外にも若者チームの圧勝!そこで今度は、同じ8人に、泣けると評判の映画版「クレヨンしんちゃん」をそれぞれ個室で鑑賞してもらい、もう一度早泣きレースを開始!およそ1時間後…最初の感動シーンで、60代女性が涙!そのわずか1分後に50代女性も涙!
 結果、映画の終了までに、中高年は3人が泣いたのに対し、若者4人は誰も泣かないまま。中高年だけが映画で泣いた理由を専門家に伺うと…「泣くという行動は自分の実体験と、他人の体験との共感が原因の1つになるため、色々な体験をしてきた、高年齢な人ほど涙もろくなると考えられる」そうです。そして、タマネギで早く泣けなかった理由を眼科医の先生に伺うと…「人は年を重ねるにつれ、痛みや刺激に対して鈍感になっていくので、涙の出方が少なかったと考えられる」そうです。

所さんのポイント
ポイント1
年をとると涙もろくなるのは、豊富な人生体験と、他人の体験が共鳴することが増え、感動しやすくなるからなのだ!

③「泣く」と「笑う」、どっちの方が、ストレス解消になる?
 泣くと、すっきりしてストレス解消になるとよく言われていますが、笑うのもストレス解消になると言いますよね。そこで、「泣く」と「笑う」、どちらがストレス解消に効果的なのか実験です!まずは、40〜50代の男女4人に、30分間計算問題を解いてもらい、ストレス状態を作ります。そして、唾液の成分でストレス具合を判定できる装置で、ストレス度をチェックすると…1人は50台、残り全員が60台の数値を記録。30を超えるとストレスを感じている状態とされているので、皆さんなかなかのストレス状態。まずは、「綾小路きみまろのDVD」を特設シアターで見てもらい、笑いによるストレス解消効果を調べます。中央には率先して笑う仕掛け人を座らせ、さらに笑いを誘い、約80分、全員思いっきり笑ってもらった後に再びストレス度チェック!すると…全員が大幅ダウン!うち3人は60%以上も下がったのです。続いては、涙の効果を調査!再度、計算問題に挑戦。判定装置で50〜60台がでるストレスを感じてもらい、今度は感涙必至の映画、「ALWAYS 三丁目の夕日」を見てもらいます。仕掛け人には率先して泣いてもらい、涙を誘います。すると…見事に全員大泣き!涙も乾かぬうちに、ストレス度をチェックすると…なんと3人が驚異の1ケタ台!最も数値が高い男性でも16と、全員が笑いの時よりもさらに大幅ダウン!念のため、同じ実験を他の4人でも行ったところ、同じく泣いた方が、数値は大きく下がったのです。なぜ、泣く方がストレス解消になるのでしょうか?専門家によると…「ストレス解消にはリラックスする必要がある。笑っている間は興奮状態にあり、興奮状態から戻る過程でリラックスするのに対し、泣いている時は副交感神経が活性化してリラックスしている状態になるため、よりストレス解消になると考えられる」そうです。だから、涙した後には本当にスッキリするんですね。

所さんのポイント
ポイント2
笑うよりも、泣くのには時間がかかるため、深いリラックス状態になるので、よりストレス解消に効果的なのだ!




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