知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


さよなら矢野さんSP
第1124回 2012年3月31日


 「目がテン!」レポーターとして、15年間活躍してきた矢野明仁さんが、今回で番組をご卒業されます!さらに、この時期は、年度の変わり目として、多くのサラリーマンが定年を迎え、第2の人生をスタートします。そこで今回は、定年退職にまつわる疑問を科学します!

①定年後の生活は、自由気ままでバラ色?
 街で若手サラリーマンに定年後のイメージを聞いてみると…多くの若者が、朝からお酒を飲んだり、夜ふかしをしたり、自由気ままな生活だと思っているようです。そこで、定年後はどれだけ自由なのか?5年前に定年退職した方の生活をウォッチングさせてもらいました。すると…1日目の朝は7時に起床。その後、身だしなみを整えますが、出かける予定はないといいます。そして、朝8時に奥様と朝食。その後、新聞を読んだり、パソコンをしているうちに12時半となり、昼食。午後は再びパソコンに向かいゆっくりと過ごし…夕食の準備を夫婦で行い、夜7時過ぎには晩御飯。そして、夕食後はまたしてもパソコンに没頭し、就寝は深夜1時と、かなり遅め。ところが、2日目の朝も、昨日と同じく朝7時に起床!その後も昨日とほぼ同じ暮らしぶりで、外出先でとった昼食の時間は、昨日とほぼ同じ12時半。そして、帰宅後は、夕飯、食後の過ごし方、就寝時間も昨日とほぼ変わらず。3日目も、同じく7時過ぎに起床し、その後も生活サイクルは、ほぼ同じ。なんと、3日間ほぼ変わらない、かなり規則正しい生活を送っていたのです!他にも、2人の定年退職を迎えた方の生活を、3日間ウォッチングしたところ、2人とも同じように、起床、食事、就寝の時間はほぼ同じでした!そこで、3人の現役時代のスケジュールを見てみると、定年後の現在と、ほぼ変わらぬスケジュールだったのです!この理由を専門家に伺うと…「長年のキャリアで身についた習慣がなくなると、不安に感じるため」と言います。「コマネチ!」と平均台の上で叫ぶ女性そこでこんな実験!若い男女6人に、長さ5m、幅わずか3cmという特製の平均台を渡ってもらいます。ただし、毎回、必ず「コマネチ!」と叫び、ポーズを取るのがルール。意味の分からぬまま、6人は練習を開始。実はこれ、「平均台を渡る前にコマネチをする」という習慣を作り出すためのものなんです。
 およそ2時間経過し、計50回の練習を重ね、6人は、コマネチの習慣と共に、細い平均台も楽々渡れるようになりました。しかし、ここからが本番!6人にはコマネチ無しで3回渡ってもらい、その平均タイムを計ります。まずは1人目の男性から。比較のため、コマネチ有りで3回渡ってもらったところ…危なげなく渡り、平均タイムは5秒04でした。そして、習慣となったコマネチを封印して渡ってもらうと…いきなりの落下!その後、渡りきれた3回の平均タイムは6秒17と、コマネチ有りよりも、1秒以上遅くなってしまったのです。他の人でも同じ実験を行った結果、1人を除き、6人中5人がコマネチ無しだと、タイムが落ちてしまったんです!本当に人は習慣がなくなると、不安になって普段できた事もできなくなってしまうようです。

所さんのポイント
ポイント1
定年退職後も、多くの人が規則正しい生活を送っている。これは、長年の生活習慣をやめると不安になってしまうからなのだ!

②名刺や肩書きがなくなるとどうなる?
 定年退職された方に、定年後に変わったことを聞くと…皆さん、肩書きがなくなることが大きな変化だと言います。そこで、肩書きがなくなるとどうなるのか?実験です!用意したのは、市販のホワイトカレーに、青い食用色素を混ぜた、見た目の悪い番組特製「ブルーカレー」。そして、スーツを着た男性が、街の人に声をかけ、試食をお願いします。まずは、「代表取締役社長」という、肩書きありの名刺を配りながら、声をかけると…もちろん断る方もいましたが、思いのほか立ち止まって話を聞いてくれる人が多く、計40人に声をかけた結果…15人もの方が試食してくれました。そして、ここからが本番!今度は肩書きなしの名刺を用意して、新入社員と名乗り、声をかけると…先ほどとは違い、あっさりと断られることが多く、試食してくれたのは、40人中6人だけ。社長の肩書きありの半分以下という結果に…。この理由を専門家に伺うと…「人は、肩書きによって社会的信用や責任があると無意識に感じ、それに左右されてしまうことが多い」そうです。さらに、定年後は、肩書きだけではなく、会社組織にも属さなくなってしまうので、より影響が大きいようです。

③定年退職は、なぜ60歳が多い?
 さて、定年退職の多くが60歳以上ですよね?そこで、60代になると、何が変わるのか、実際に聞いてみると…多くの方が、体力や集中力の衰えを感じていると言います。そこで実験!同じ人材派遣会社に勤める、20代と60代の男性各4人がチームを組み、体力と集中力が必要とされるドミノの、早並べ対決です!黄色と青色の2色のドミノで、目がテンという文字をイラストに沿って並べ、さらに導線部分まで作ってもらいます。すると…20代チームは特に作戦もなく、いきなりドミノを立てていくのに対し、60代チームは、ドミノを寝かせた状態で、敷き詰めてから立てるという慎重な作戦をとります。さて、どんどん進めていく20代チームでしたが、並べたドミノを途中で倒してしまう、痛恨のミスを連発!一方、60代チームは集中力が切れたり、疲れがくるたびに全員で休憩。20代チームは失敗しても、持ち前の集中力で急いで修復しますが、完成間近に再びミスで全てのドミノを倒してしまい、振り出しに…。20代、60代 倒した後のドミノ比較最後は、マイペースでコツコツと丁寧に並べていく60代チームとデッドヒートに!そして、2時間が経とうとした直前に、60代チームのドミノが完成し、勝利!一方、20代チームは2時間6分32秒で完成。両チーム、ドミノを倒す緊張の一瞬!すると…20代に比べ、60代の方が、文字がキレイに浮き出て、完成度でも勝利!
 60代チームが勝てた理由を専門家に伺うと…「長い経験によって培われた判断力・計画性・丁寧さが、衰えてしまった体力や集中力を補ったと考えられる」そうです。実際に、定年退職された多くの方が、経験を活かし、第2の人生でも、お仕事やボランティアなどで活躍されているんです。
 そして、15年間「目がテン!」を盛り上げてくれた矢野さん、本当に長い間お疲れ様でした!

所さんのポイント
ポイント2
60代になると、体力や集中力は衰えるが、長年培った経験や判断力、計画性を活かし、まだまだ社会で活躍できるのだ!




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