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万能調味料!?塩こうじ
第1126回 2012年4月14日


 今、大ブームの調味料、塩麹!スーパーでは塩麹コーナーが作られ、書店では塩麹関連の料理本が山積み!さらに、塩麹ドレッシングや塩麹アイスなど、たくさんの商品も登場!そこで今回は、塩麹の人気の秘密を科学で徹底解明します!

①塩麹をかけるだけで、どんな料理も美味しくなる?
 なぜ今、塩麹が大人気なのか?街で、塩麹を使っているという方に聞いてみると…「塩麹をつけるだけで、どんな料理も美味しくなる」という声が多数!そこで、色々な料理に塩麹をつけて、本当に美味しくなるのか実験です!まずは、野菜に合うのか、ほうれん草のおひたしで検証!料理研究家の方に、基本通りのレシピで、あえて薄味に作ってもらったおひたしを、2つの皿に分けます。そして、街で声をかけた、一般の方に試食してもらいます。皆さんにはアイマスクをしてもらい、食べる直前に、片方にはおよそ0.2gの塩を、もう片方には、同じ塩分濃度に量を調整した塩麹をかけます。そして、どちらが美味しいか判定してもらうと…なんと20人中14人が塩麹をかけたおひたしを選び、圧勝!続いては、肉で検証!先程と同様、薄味で調理した、豚肉の生姜焼きを2つに分け、片方には塩、もう一方には塩麹をかけ、食べ比べてもらった結果…20人中15人が塩麹を選び、肉でも圧勝!ならば、味噌汁には合うんでしょうか?片方には塩、もう一方には塩麹を入れて、飲み比べてもらうと…20人中13人が塩麹入りを美味しいと判定!
 続いて、洋食でも実験してみます。まずは、エビのマリネ。やはり…20人中16人が塩麹を選択!魚料理、タラのムニエルでも20人中12人が、さらにコーンポタージュスープも、20人中11人が美味しいと判定し完全勝利!どうやら塩麹は、洋食にも合うようなんです!ならば、甘いプリンはどうでしょう?すると…20人中14人が塩麹がけプリンを選択!しかも、美味しいと選んだ人に感想を聞くと、「甘さが増した」と言うのです!結果、塩麹をかけた料理は、無傷の7連勝!でも、なぜどんな料理も美味しくなるんでしょう?その答えを探るため、ユージさんは塩麹を作っているお店を訪ね、塩麹の作り方を見せてもらいました。塩麹は、原料の麹に塩を入れ、よく混ぜた後に、水を加えて、10日間ほど熟成させるだけで完成。そしてご主人に、料理にかけるだけで美味しくなる理由を伺うと…「塩麹自体が美味しいから」とのこと。そこで、塩を入れる前の麹を、直接食べさせてもらうと…口の中に甘味と旨味が広がったんです。おにぎりをつかめない所さん「崩れちゃう」実は、麹はカビの一種である「麹菌」を米に繁殖させたもの。この麹菌が、米のでんぷんをブドウ糖に、タンパク質をうまみ成分・グルタミン酸などの、アミノ酸に分解します。つまり、麹は自ら甘味と旨味を作り出しているため、料理につけるだけで、美味しく感じるのです。塩麹とは、この麹に、保存のため塩を混ぜたものなんです。さて、万能ぶりを発揮した塩麹ですが、思わぬ弱点が!スタジオで所さんに、塩麹で握った塩麹むすびを食べてもらうと…ボロボロに崩れ、つかむ事すらできませんでした。

 実際に、調理学校に通う20人の生徒さんたちに、普通の塩むすびと、塩麹を使ったおむすび、どちらが美味しいか判定してもらうと…塩麹むすびは、ボロボロになり、食感も悪く、20人中12人が普通の塩むすびを選択。ついに塩麹が負けてしまいました。さらに、ポテトサラダの味付けに塩麹を使って、塩で味付けしたポテトサラダと食べ比べてもらうと…塩麹のポテトサラダはベチャベチャになってしまい、20人中13人が、普通のポテトサラダを選択。この理由を専門家に伺うと…「塩麹にはでんぷんを分解するアミラーゼという酵素が含まれているため」だそうです。実は、ご飯とポテトサラダは、塩麹が持つ酵素の働きで、でんぷんが分解され、水っぽくなってしまっていたのです。この他にも、お好み焼きや春雨サラダなどは、塩麹を混ぜて10分以上放置すると、美味しくなくなってしまうんです。ただし、塩麹を入れた直後や、すぐに加熱した場合は酵素が十分に働かないので、ベチャベチャにはなりません。

所さんのポイント
ポイント1
塩麹は、色々な料理に合うが、米やジャガイモなど、でんぷんを多く含むものに混ぜて放置すると、水っぽくなり、不味くなってしまうのだ!

②検証!塩麹は、超固い肉を柔らかくできるのか?
 でんぷんだけではなく、タンパク質も分解する塩麹。試しに、先ほどの生徒さんたちに、塩味で焼いた鶏肉と、塩麹に4時間漬けて焼いた鶏肉を食べ比べてもらい、どちらが美味しいか判定してもらうと…20人中14人が、塩麹の方が美味しいと回答。さらに、サケでも試してみると、20人中15人が、塩麹に漬け込んで焼いたサケの方が美味しいと判定!塩麹を選んだ人に感想を聞くと…柔らかくて美味しいという声が多かったんです。そこで、塩麹はどれくらい肉を柔らかくできるのか、実験です!珍しい肉を扱うお店で、最も固いという熊の肩肉を購入!熊肉を噛みきろうとして、箸折れた瞬間この熊肉を厚さおよそ1cmにスライスし、噛み切れるか、健康な歯を持つ20代の若者5人にチャレンジしてもらいました。まずは比較のため、熊肉と同じ厚さの牛のサーロイン肉で試してみると…いとも簡単に噛み切れました。そして、いよいよ熊の肩肉に挑戦!すると…1人目の男性は必死に噛み切ろうとしますが、全く歯が立たず…。10分過ぎにまさかのギブアップ!2人目は、手の力で引っ張りながら噛み切ろうとしますが、割り箸がポキリ!ついには無念のギブアップ。さらに他の人も大苦戦!

 結局、熊の肩肉を噛み切ることができたのは、5人中、たったの2人だけ。さて、この固〜い熊の肩肉を、たっぷりの塩麹に漬け、冷蔵庫で3日間熟成!どれだけ柔らかくなるのか?スタジオで所さんに試してもらいました。まずは、普通に焼いた熊肉を食べてもらうと…やはり噛みちぎれず。続けて、塩麹に漬けた熊肉を食べてもらうと…なんとあっさり噛み切ることができ、所さんもビックリ!実際に、食品の固さを計測する試験機で測ったところ、塩麹に漬けた熊の肩肉は、牛サーロインとほぼ同じ固さにまで柔らかくなったのです。塩麹はすごいパワーを秘めていました!

所さんのポイント
ポイント2
塩麹に肉や魚を漬け込むと、タンパク質を分解し、本当に柔らかくなるのだ!




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