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東京スカイツリーの謎
第1132回 2012年5月26日


 ついにオープンした東京スカイツリー!自立式電波塔としては世界一の高さ、634mを誇る新たな日本のシンボル。展望台は予約が殺到し、さらに周辺も観光客で大にぎわい!そこで今回は、東京スカイツリーの人気の秘密を科学します!

①大捜索! スカイツリーは、どれくらい遠くから見えるのか?
 333mの東京タワーの倍近い高さならば、その姿が見える範囲も広いはず。そこで、スカイツリーが見える一番遠い場所を大捜索!まずは、専門家の田代先生にアドバイスしていただくことに。先生は、富士山が日本一遠くから見える場所を研究、現在は、スカイツリーが見える範囲のマップを作成している方。すると…重要なポイントは「地球の丸さ」、「障害物」、「高さ」の3点だそうです。地球は丸いので、高さに応じて見える距離には限界があり、間に障害となる地形があれば、距離はさらに短くなりますが、その向こうに、より高い山などがあれば、逆に見える距離は伸びます。そうして計算された地点は…福島と山形の県境、およそ229km離れた、吾妻連峰!しかも、まだ誰も肉眼で確認していないという幻のポイントと聞き、スタッフが吾妻連峰へ出発!遠くからの写真を撮る達人と合流し、深い雪をかきわけ、ついに標高2035mの西吾妻山の山頂に到着!しかし、東京方面は分厚い雲に覆われ何も見えず…。仮に雲がなくても、空気がよほど澄んでないと難しいそうなので、ここからの確認は断念。そこで、再びマップを確認し、向かった次なるポイントは、関東平野の一番外側、群馬県の榛名山。期待を胸に、険しい山道を登り、東京方面が見渡せるポイントに到着!しかし、ここでも、スカイツリーは濃いモヤの向こう…。すると、田代先生から情報が!空気の澄んだ冬に、同じポイントからスカイツリーを撮影した方がいるとのこと。早速写真を確認すると…確かにスカイツリーの姿が!…と思いきや、写真には東京タワーや、都庁まで写っていたのです。さらに、赤城山や筑波山から撮られた写真にも、東京タワーの姿が!そこで、東京タワーとスカイツリーが見える場所のシミュレーションマップを比べてみると…その範囲は、ほとんど一緒だったんです!実は、関東平野は、周りを山に囲まれているため、東京から遠ざかるほど、高い位置から見下ろす形になります。その間に東京タワー以上の高い建物や地形の起伏もないので、東京タワーも見られるんです。

所さんのポイント
ポイント1
関東平野は、高い山に囲まれているため、同じ平野部に建つスカイツリーと東京タワーの見える範囲は、ほとんど変わらないのだ!

 さらに、スカイツリーからの電波が届くエリアも東京タワーのエリアとほぼ同じだそうです。専門家によると、「スカイツリーが建てられた最大の目的は、より遠くへ電波を飛ばす事よりも、ビル陰によって電波がうまく届かなくなってしまう地域を減らすため」だそうです。つまり、都心の東京タワーは、周囲を高層ビルに囲まれてしまったため、ビル陰ができにくい、高いスカイツリーが建てられたのです。

②人はなぜ高い所に登りたがるのか?
 2ヶ月先まで予約で一杯というスカイツリーの入場券。なぜそれほど人気なんでしょう?スカイツリー観光に来た方々に話を聞くと…中でも、「高い所に行っただけで偉くなった気分になる」と言う声が多数!そこで、こんな実験!頂点のレッド「3位」予想5人の男性に、互いに先入観を持たぬよう、色違いのマスクをつけてもらい、会話も禁じます。そして、勘で答えるしかないような、超難問の5択テストを受けてもらいます。ただし、中央の席だけは、一段高い位置に設置。まずはレッドマスクが高い席に座りテストを開始。そして終了後、ここからが本番!1人ずつ別室に呼び出し、自分の順位を予想してもらいます。すると…普通の席に座っていた4人全員が、最下位の5位と予想。ところが、1人だけ高い席に座っていたレッドマスクは3位と予想!
 その後も問題を変え、高い席に1人ずつ交代で座り、合計5回テストを行い、自分の順位を予想してもらうと…高い席に座った時は、全員が同率を含め一番高い順位を予想したのです!そして、実際の順位の平均は、低い席では2.7位だったのに対し、高い席の時は2.8位。なんと高い席の方が成績は悪かったんです。この理由を専門家に伺うと…「人は高い所にいるだけで、自然と下にいる人たちより優越感を感じると考えられる」そうです。高さには、不思議な働きがあるようですね。

所さんのポイント
ポイント2
人が高い所が好きな理由の1つは、自分より低い場所にいる人に対して、自然と優越感を感じるからなのだ!

③人は高い所に上ると、なぜ恐いと感じるのか?
 さて、高い所が好きな人もいれば、もちろん苦手な人も。街で30人に聞いたところ、18人が恐いと回答。理由を聞くと、「足場のしっかりした展望台でも、なぜか落ちてしまいそうな感覚になる」そうです。110mバーチャルリアリティ映像「あー!怖い!」そこで、ユージさんがバーチャルリアリティ映像を体験出来る会社を訪れ、頭部に特殊なディスプレイを装着。0mの地面の高さと、およそ110mのビルの上の高さを体験してみると…高さ0mでは普通に歩けたものの、バーチャルのエレベーターに乗り、110mの高さを再現した映像が目の前に広がった途端、足がすくんで歩けなくなってしまったのです。足場は同じ平坦な床なのに、突如不安定に感じ、ふらついてしまう有様…。ユージさんは、平衡感覚を失うような感じがしたそうですが、実際にどんな変化が起こっていたのでしょう?
 そこで実験!4人の方に、ユージさんと同じ2つの映像を、立ったままそれぞれ30秒間ずつ見てもらい、重心の変動を調べると…1人目は、0mの時は50cmほどだったのに対し、110mの時は、およそ1.5倍の78cmも重心が動いたのです。他の3人も同様に、高い所の映像を見るだけで、重心が大きく動き、姿勢が不安定に。この理由を専門家に伺うと…「人は姿勢を保つために、視覚の情報に頼っていて、無意識に柱や壁など、真っすぐ立っている物を参考にしている」そうです。ところが、「高所から見る景色では、真っすぐなガイドが少なくなるので、バランス感覚が不安定になりやすくなると考えられる」そうです。そこで実験!4人の方にピンポン球を2つに割った特製メガネをかけてもらい、視界一面を覆い、高い所にいる状態を再現。重心の変化を調べると…4人中3人が、何もつけない時より、重心が大きく変動したのです。高い所が苦手な人は、スカイツリーなどに行ったら、窓に近づきすぎず、窓枠が視界に入るように離れて景色を見ると、怖さが軽減されるかもしれません。



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