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夏を涼しく (秘)エコ作戦
第1134回 2012年6月9日


 間もなくやってくる、暑〜い夏!電力不足に伴い、電気料金値上げもささやかれ、今年も「節電の夏」になりそうです。そこで今回は、エコ研究所第7弾、「節電に負けない暑さ対策編」!電力に頼らず夏を涼しく乗り切る方法を徹底検証します!

①「辛いものを食べると涼しくなる」って本当?
 昔からよく言われているこの話。そこで、街で聞くと…20人中12人が「辛いものを食べると涼しくなる」と回答。では実際、どれ程涼しくなるのか実験です!人工気象室の温度を32℃、湿度を50%前後、じっとしていても汗ばむ温度に設定。ファンを使って微風を送り、「窓から風が入る普通の部屋」の状態を再現します。まずは20代の男性に、人肌程度の温度の、ただの水を30秒間で飲み干してもらい、体表面温度をサーモグラフィーで見てみると…10分経過しても、特に変化はありませんでした。でも、ここからが本番!今度はただの水に、生トウガラシ2本分を芯の辛い部分も刻み込み投入!この激辛ジュースを、同様に30秒間で飲み干してもらうと…3分が経過したところで、涼しくなるどころか、「暑くなった」と言うんです!しかし、サーモグラフィーで確認すると、体表面温度には変化なし…。さらに8分後、今度は「冷えてきた」と証言!そして10分後、飲む前と比較すると、実際に体表面温度がかなり下がったのです。この他、男女各2人、計4人で同じ実験を行うと…程度に差はあるものの、ほぼ同じ結果に。この理由を専門家に伺うと…「唐辛子に含まれるカプサイシンは痛みを与え、その痛みと、熱さを感じるセンサーが近いので、脳が体温が上がったと錯覚するためと考えられる」そうです。さらに、体表面温度が下がっていった理由は…「脳が暑いと感じ、体温は上昇していないのに発汗し、放熱したため」だそうです。どうやら辛いものは、暑さ対策に効果があるようです。

所さんのポイント
ポイント1
辛いものを食べると、実際に体温は上がっていないのに、脳が暑いと錯覚し、汗を出して放熱するため、涼しくなるのだ!

②よしず VS グリーンカーテン 涼しいのはどっち?
 続いて、街でどんな暑さ対策をしているのか聞いてみると…エコな暑さ対策として、今注目を集める、ゴーヤやアサガオなどの「グリーンカーテン」を使っているという声が多数!一方、日本の夏の風物詩、昔ながらの「よしず」という回答も。そこで、どっちが涼しいと思うか質問したところ、よしずが11人、グリーンカーテンが9人と、ほぼ互角。そこで実験!実際どちらが涼しいのか?よしずVSグリーンカーテンの新旧日よけ対決です!人工気象室の中に、180cm四方の小部屋を建て、気温を猛暑日の35℃、湿度50%に設定。部屋の中央に気温計を設置し、扇風機で微風を送って、「風が入る普通の部屋」の状態を作ります。そして、真夏の太陽を再現できるライトを点灯し、準備完了!まずは、日よけなしで室内の温度の変化を観察すると…スタートと同時に温度はどんどん上昇。実は、直射日光が正面から照らし続けるため、時間と共に日差しが変化する自然状態よりも熱くなってしまうんです。そして1時間後、室温を確認すると…なんと54.9℃!そして、いよいよ実験本番!一旦気温を元の35℃に戻し、先攻はよしずから。部屋の入口に、よしずを設置。人工の日光を照らし続け、1時間後、室温は45.7℃と、入口に遮るものが何も無い時より、約9℃も低かったんです。そして後攻はグリーンカーテン!専門家の指導のもと、葉の量を調節して部屋に入る光の量を、よしずとほぼ同じにします。すると…1時間後の室温は43.4℃と、2℃以上の差でグリーンカーテンの勝利!でも、色の違いも影響したのかもしれないので、よしずを緑に塗って実験したところ、結果は普通のよしずとほぼ同じ。どうやら色は関係ないようです。よしず:グリーンカーテン 表面温度2面比較「約−10℃」では、一体何が原因で差が出たのか、専門家に伺うと…「植物は、身に含む水分が蒸発する『蒸散』という現象によって放熱しているため、太陽光を受けても熱くなりにくいので、室温に影響したと考えられる」そうです。つまり、グリーンカーテンそのものの温度が低いので、部屋の温度上昇も少なかったと言うんです。そこで、実験開始1時間後の、それぞれの表面温度を見比べると…グリーンカーテンの方が10℃度近くも温度が低かったのです。しかし、よしずも霧吹きなどで水をかけたりすれば、グリーンカーテンに近い効果が得られるそうなんです。

③風鈴の音を聴くと、本当に涼しくなるのか?
 風鈴の「ちり〜ん」という音を聞くと、涼しげな感じはしますが、街で20人に聞いてみると…17人が、「実際には涼しくならないと思う」と回答。でも本当に気休めなのか?実験です!協力してもらうのは、20〜60代の幅広い年齢層の4人。1人ずつ目隠しをして、27℃に設定した部屋に入ってもらい、部屋の温度を伝えずに実験スタート。まずは、60代の男性に、部屋の温度を何℃だと思うか尋ねると、20℃と回答。そして、目隠ししたまま風鈴の音を10分間聞いてもらい、「先程と温度設定を変えた」とウソの説明をし、「今何℃だと思いますか?」と聞くと…17℃と、先程より3度も下がったと感じたようです。さらに3人で同じ実験を行った結果、30代女性は24℃から20℃に、40代女性は、26℃から24℃、20代男性は20℃から19℃と、全員、涼しくなったと感じたようです。念のため、サーモグラフィーで腕の体表面温度の変化を見てみると…風鈴の音を聴き始めた途端、なんと20代の男性を除く3人が、実際に下がっていったんです。この理由を専門家に尋ねると…風鈴ごしのナイジェリア人「脳は、思い込みによって末梢神経の活動に変化を与えるため、体表面温度が下がったと考えられる」そうです。なんと、脳が風鈴の音を聴き、「涼しい」とイメージすることで、実際に体まで涼しい時と同じ状態になるというんです。ただしこれは、「脳が涼しいとイメージできなければ、起こらない現象」だそうです。ならば、日本に来て間もない、風鈴を知らないナイジェリア、スペイン、ブラジル出身の外国人3人で実験!すると…3人は涼しいとイメージできず、体表面温度の変化を見てみると…風鈴の音を聴いて、逆に2人は体表面温度が上がり、1人は変化なしという結果に。
 つまり、先程、日本人の実験で20代の男性だけ体表面温度が下がらなかったのも、若いので、風鈴にあまり馴染みがなかったから、なのかもしれません。

所さんのポイント
ポイント2
風鈴に馴染みのある世代は、風鈴の音を聴くと、脳が「涼しい」とイメージし、末梢神経に命令が行き、実際に体温が下がるのだ!




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