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なぜ? 京都 3つのナゾ
第1137回 2012年6月30日


 7月、京都に夏を告げる風物詩、祇園祭りがスタート!これからの季節、さらに盛り上がる古都・京都。でも、実は街のあちこちにちょっと不思議なスポットが。そこで今回は、日本を代表する観光地、京都の様々な不思議を科学で検証します!

①鴨川のカップルたちが、等間隔に座るワケとは?
 夏は、涼を求め多くの人が訪れる、鴨川。その鴨川で、連日不思議な現象が起こっているというウワサが。スタッフが向かうと…カップルたちは、川沿いに、なぜか等間隔に座っているんです。観察を続けると…1つ場所が空いても別のカップルが同じ所に座り、等間隔をキープ。なぜこんな現象が起こるのか?そこで実験!12人の学生さんに、6組のカップル役になってもらい、普段見られる状況より、かなり狭い間隔で川沿いに座ってもらいます。そして、そこにやってきた本物のカップルを観察すると…なんと、仕掛け人のカップルたちと同じ狭い間隔を守って座るカップルが続出!中には、離れて座るカップルもいましたが…後から来たカップルがその真ん中に座ることで、再び等間隔の列が完成!結果、10組中7組が狭い間隔を保ち座ったのです。カップルたちに理由を聞くと…「その場の状況を見て、周りの人に合わせてしまった」と言います。後ろ向きで座るカップル7組「等間隔」そこで、さらに実験!今度は、仕掛け人のカップルたちに、川に背を向けて座ってもらいます。明らかに不自然な状況ですが…1組目のカップルは、不思議そうに周りを見回し、仕掛け人たちに合わせ、川と逆向きに座ったのです!しかも、きっちり等間隔もキープ。一旦後ろを向いて座り、すぐに向きを変えたカップルを含めると、6組中4組が後ろを向いて座るという結果に!
 理由を専門家に伺うと…「人は慣れない環境に入った時、自分でその場のルールを解釈して、従ってしまうという、同調効果によるものと思われる」そうです。そこで、再び鴨川で観察してみると…2組のカップルが座っていると、後から来たカップルは、そのルールに従うかのように同じ間隔で座りました。そのルールに従わず、1組目と2組目の真ん中にカップルが座ると…この距離が新ルールとなり、続くカップルはそれに合わせて座り、等間隔の列が完成!さらに、1組が帰り、間隔が広がると、次に来たカップルは、前のカップルと同じ場所に座り、再び等間隔に!例えば、エスカレーターで皆が同じ側に立つのも、この同調効果によるものだそうです。

所さんのポイント
ポイント1
鴨川でカップルが等間隔に座る理由は、人が慣れない環境では、周囲のルールに合わせようとする心理、同調効果によるものだった!

②なぜ天橋立は不思議な景色が見えるの?
 京都北部の宮津市にある、日本三景の一つ、天橋立。不思議な景色が見られるという山頂へ向かうと…なぜか皆さん絶景に背をむけ、股の下から景色を眺めているのです。実はこれ、股のぞきと言われる、天橋立特有の見物法。天橋立 2面比較・普通&股のぞきなぜこんな格好で景色を見るのか?試しに、股のぞきで景色を見てみると…普通に眺めるよりも、奥行き感が無くなって、平面的に見え、空に橋が架かっているように感じます。
 でも、なぜ股のぞきをすると奥行き感が無くなるのか?実験です!三角、丸、四角の3つのパネルを、順に奥行きを付けて設置。これを10人の学生さんに、20m離れた所から、15秒間見てもらい、どれが1番奥にあるか答えてもらいます。まずは、普通に立った状態で見てもらうと…あっさりと10人全員が「四角」と答え正解。でも、ここからが本番!別の10人に、今度は股のぞきで、15秒間同じパネルを見てもらいます。すると…なぜか不正解者が続出!なんと正解したのはわずか1人だけでした。一体、彼らに何が起こったのか?理由を専門家に伺うと…「股のぞきをすると、見える光景の上下が逆転し、脳がもともと想定している見え方と違う見え方になってしまい、奥行き感がわからず平面的に見え、間違えてしまったと考えられる」そうです。つまり、天橋立を股のぞきで見る理由は、遠近感を失い、奥にある山が手前に見え、まるで空に橋がかかったような不思議な景色が楽しめるからなのです。

③京都弁が、魅力的に聞こえる秘密とは?
 実は京都弁は、男性からの人気NO.1の方言と言われています。そこで、その魅力の秘密を探ることに!まずは東京で京都弁の魅力を聞いてみると…「ゆっくりで、おっとりとした喋り方」という声が多数!では実際、どれほどゆっくりなんでしょうか?まずは早口なイメージの大阪弁と比較!大阪の街で、10人の方に30秒間自由に喋ってもらい、その文字数を計測すると…10人が喋った文字数の平均は、184文字。一方、京都の商店街で、30秒間喋ってもらうと…10人の平均文字数は181文字。なんとわずか3文字しか変わりませんでした。喋るスピードが変わらないのに、ゆっくりと聞こえる理由を専門家に伺うと…「京都弁は同じ事を伝えるにしても、大阪弁に比べ文字数が増えてしまう」そうです。そこで、実験!まずはニュース原稿を日テレの森富美アナに標準語で読んでもらうと…標準語の場合の文字数は487文字。これを京都と大阪の方に、文字数をそれぞれの方言に直してもらうと何文字になるのか、比較します。まずは大阪で10人に、自分で直した原稿を読んでもらうと…平均文字数は470文字。標準語に比べ17文字の減少。続いて京都弁で同じ実験を行うと…10人の平均は、499文字。標準語に比べ11文字、大阪弁と比べると、なんと29文字も多かったんです!大きな差が出た理由を専門家に聞くと…「京都弁には、元の原稿にはなかった遠まわしな表現や敬語表現が多く見られるため、文字数が増えたと考えられる」そうです。そこで、原稿を見直してみると…一例で、標準語では「ジョギングで汗を流しました」というフレーズが、大阪弁では「ジョギングで汗を流したんや」と、くだけた表現で終わり、文字数は増えないのに対し、京都弁では「ジョギングで汗を流してはりました」と、丁寧な表現を使ったため文字数が増えていたのです。その他のフレーズでも同じ傾向が見られました。つまり、京都弁がゆっくり聞こえるのは、同じ内容を伝えるのに、多くの言葉が必要で、時間がかかるからだったんです。そもそも、京都は歴史の古い街なので、隣近所との長い付き合いの中で、対立を避けるための知恵として、丁寧な言葉づかいが根付いたと言われているそうです。

所さんのポイント
ポイント2
京都弁がゆっくりと聞こえるのは、内容を伝えるのに、多くの敬語や丁寧な言葉を必要とするため、時間がかかってしまうからだった!




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