知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


徒競走 必勝法教えます
第1145回 2012年9月1日


 いよいよ、秋の運動会シーズン!そこで子供たちに運動会で苦手な種目を聞いてみると…なんと、20人中14人が「徒競走」と回答!そこで、科学の力で苦手な科目を克服する「目がテン学院」、第2弾は「かけっこで一番になりた〜い編」です!

 まずは、小学3年生の子供たち、5人ずつに50mを走ってもらい、タイムを計測、順位をつけました。すると、5位の平均タイムは11秒1で、1位の平均タイムより2秒以上も遅かったのです。そこで!目がテン学院では、1位になりたいと願う、5位の子供たちの足を速くするプロジェクトをスタート!特別講師をお願いしたのは、短距離の元日本記録保持者で、オリンピックにも2度出場した走りのスペシャリスト、井上悟先生!先生は「1週間で必ず足が速くなります!」と宣言。早速、第1のトレーニング場へ。ところがそこは、カヌーの練習所。徒競走と何の関係があるのか、意味も分からぬまま、子供たちは両手でパドルの漕ぎ方を1時間みっちり練習。重いパドルを回し続け、肩周辺が疲れたと言う子供たち。そして、いよいよ川に出るのかと思いきや、なんと先生は、学校に戻って再び50mを走ってもらうというんです!まずは、12秒4と、学年で一番遅かった男子が走ってみると…タイムは10秒6。なんと1.8秒も短縮!中には、カヌーの疲れが影響したのか、遅くなった子もいましたが、6人中5人が速くなっていたんです!

 カヌーの練習で足が速くなった理由を井上先生に聞くと、「練習前後の腕の動きを見たらわかる」とのこと。そこで、実際に見比べてみると…最初は小さかった腕の振りが、カヌーの練習後はしっかりと大きく振られていました。先生によると、「陸上競技は腕をしっかり振るのが重要で、そのためには肩甲骨周りが大事」なんだそうです。つまり、肩甲骨を中心とした筋肉を動かす、カヌー漕ぎの動きを練習する事で、肩甲骨の周りの筋肉が柔らかくなり、腕がしっかりと振れるようになったんです。

 でも、なぜ腕を振ると足が速くなるのか?腕を振った場合と、腕があまり振れないように、固定して走った場合の、体の動きを3Dで解析してみると…腕を振った場合は、肩甲骨周辺の筋肉が大きく動き、その動きが反対側の腰や太もも周りの筋肉に伝わり、腕を固定した場合より、ももが上がり、歩幅が伸びていました。そこで、実際にアスリートで検証します。50mコースの途中に石灰を敷き、足跡で歩幅を計測。すると、腕を振って走った場合の方が、一歩の距離が16cmも伸びていたのです。ちなみに、カヌー練習の後で1.8秒も上がった子は、歩幅が大きくなり、50mで4歩も歩数が減っていました。ということで、徒競走が速くなる秘策その①は「腕を大きく振る」です!

所さんのポイント
ポイント1
走る時に、腕を大きく振ると、肩甲骨周辺の筋肉の動きが足に伝わり、より太ももを引き上げる。結果、歩幅が大きくなり、速くなるのだ!

 さて、井上先生が次なる秘策として用意したのは…なんと、かかとのない奇妙なサンダル。サンダル履きトレーニングそして、先生からは「このサンダルを1日5時間必ず履くようにと」宿題が。立っているだけで大変なこのサンダルを、子供たちは出かける時も、遊ぶ時も履き続け、中には家でゲームをしながら履くという熱心な子も。
 井上先生にこのサンダルの効果を聞くと…「足の親指の下部分である、拇指球(ぼしきゅう)に体重を乗せ、地面を押す事で推進力が生まれ、前に進みやすくなる」と言います。そこで、サンダル生活3日目に、機械で、走っている時に地面を蹴る力を測定すると…確かに拇指球の部分が、1日目より強い力で地面を蹴っているのが分かります。数値で見ても、6人全員が拇指球で地面を押す力が強くなっていました!中には、たった3日で、地面を蹴る力が1.5倍になった女の子も!ということで、徒競走が速くなる秘策その②は「母指球でしっかり地面を蹴る」です!

 さあ、短距離走で、大切なもう一つの要素が、スタートダッシュ!スタートでいかにスピードに乗るかが、勝敗を大きく左右します。そこで、スタートダッシュを速くする秘策を、スポーツ科学の専門家に伺うと…「スタートダッシュの時は内股でスタートした方が、よりスピードに乗れ、速く走れる」との事。内股のプロと言えば…オネエの皆様!そこで、オネエ VS 同世代の男性でスタートダッシュ対決です!すると、オネエの方はスタート直後からリードを奪いそのまま逃げ切り、なんとオネエが男性相手に2連勝!オネエ、子供たちに内股練習でも一体なぜなんでしょうか?先生によると…「内股になることで重心が前にきて、前傾姿勢を取りやすく蹴りだしが強くなる」そうなんです。そこで、内股で立った場合と外股で立った場合で足にかかる力を比較してみると…確かに、内股で立った場合の方がつま先に体重がかかり重心も前にきていました。ということで、オネエの皆さんを臨時コーチに招集し、子供たちに内股歩きを伝授!
 実は、この内股走りは、なでしこJAPANの鮫島選手や、サッカー日本代表の長友選手もトレーニングに取り入れるなど、一流アスリートも実践しているんです。そこで、徒競走が速くなる秘策その③は「内股でスタートダッシュ」 です!

 そして、迎えた最終レース当日。「足が速くなりたい!」その一心で、1週間、3つの秘策を元に練習を重ねた6人。それぞれ、特訓前と同じメンバーでもう一度50mレースに挑みます。すると…ビリから3位に大躍進した子が2人。順位はそのままだった子もいましたが、全員が1週間前よりもタイムを縮め、なんと学年で一番遅かった男の子は、2.3秒もタイムがアップしたのです!これは、距離にすると、9.3mに相当します。足を速くしようプロジェクトは、見事に大成功でした!さあ、次はどんな苦手科目を克服するのか、次回の目がテン学院をお楽しみに!

所さんのポイント
ポイント2
内股でスタートダッシュをすると、重心が前に移動し、自然と前傾姿勢になるため、蹴り出しが強くなり、速く走れるのだ!




スポーツ編へ人間科学編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧