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行列を楽しむ(秘)裏ワザ
第1149回 2012年9月29日


 秋の行楽シーズン到来!東京スカイツリーを始め、日本中の人気スポットが賑わう季節。そんな「人が多く集まる場所」に必ずできるのが…行列!そこで今回は、行列に関する疑問を科学で徹底解明します!

①人はなぜ行列に並んでしまうのか?
 街で行列に並んでしまう理由を聞くと、魅力的なものに並ぶと言う声だけでなく、並ぶことで、よりおいしく感じたり、楽しみが増すと言う声も。でも、本当に行列で魅力が増すのか?実験です!用意したのは、ラーメン作りのプロが作ったラーメンと、ラーメン調理経験ゼロの番組スタッフが、プロに教わりながら作った2つのラーメン。材料は全く同じです。そして、商店街の店舗内にそれぞれの屋台を並べ、まずは街の人たち10人に食べ比べてもらい、単純にどちらが美味しいか答えてもらうと…結果は当然のように、9対1でプロのラーメンが圧勝。でも、ここからが本番!今度は、素人のラーメン屋台だけに、番組が用意した行列を作り、街行く人に無料で食べ比べを行っていると伝え、素人の店では行列に並んだあとに食べてもらいます。すると…10人中4人が、素人のラーメンの方が美味しいと回答!この2つをスタジオで所さんに食べ比べてもらいましたが、素人のラーメンはやっぱりマズイとのこと。なのに、なぜ行列に並ぶと、美味しく感じたのか?専門家に伺うと…「行列は、美味しいという情報を発信しているため、『行列ができているから美味しい』という思い込みが、実際の味覚を上回ったためと考えられる」そうです。さらに、「並んで買った物ほど、価値をより高く感じるという効果もある」そうです。

所さんのポイント
ポイント1
人は、「行列ができているなら、美味しいはず」と思い込み、より美味しいと感じてしまう。これが行列パワーなのだ!

②行列の形で並ぶ体感時間は変わるのか?
 さて、行列と言っても、真っ直ぐの行列だけではなく、左右にくねくね曲がった行列もよく見かけますよね?でも、なぜ曲がった行列の形にしているのでしょう?専門家によると、「ただ真っ直ぐ並ぶより、待ち時間の気分がまぎれるからと考えられる」そうです。そこで、行列の形によって、並び時間の感じ方は変わるのか?実験です!まずは、番組で用意した方々で行列を作り、その後ろに、何も知らされていない被験者7人に並んでもらいます。気が紛れないよう、会話は禁止し、時間がわかる携帯電話なども預かり、窓口に到達するまでの30分間を、体感でどれぐらい待ったと感じたか答えてもらいます。まずは、真っ直ぐな行列の場合…7人中4人が実際よりも待ち時間を長く感じました。続いては、曲がった行列を作って、同じく30分、行列に並んでもらうと…なんと全員が真っ直ぐの行列の時よりも、曲がった行列の方が短く感じ、その平均は6分以上も短かったんです。この理由を専門家に伺うと…「曲がる事によって、他人の顔が見えたり、景色が変わったりと、色々な情報によって気がまぎれ、時間が短く感じられると思われる」そうです。Wコロンのなぞかけが書かれた看板では、真っ直ぐな行列でも、気がまぎれる情報を増やせば、時間を短く感じるのか? こんな実験です!行列の横に、Wコロンのなぞかけが書かれた看板を置き、前に進む毎に、なぞかけの内容が徐々にわかるという仕掛けをして、同じく30分、並んでもらいます。この仕掛けを見て、思わず笑ってしまう人も。そして、結果は…なんと7人中5人が真っ直ぐの時よりも短く感じたのです。実はこの手法、スカイツリーでも、行列の横にモニターで東京の街並みのアニメーションを流して退屈しないようにするなど、街でも活用されているんです。

所さんのポイント
ポイント2
くねくねと曲がった行列は、真っ直ぐな行列に比べ、他人の顔や景色など、色々な情報で気がまぎれるので、待ち時間を短く感じやすい!

③検証! 行列の待ち時間がわかるという公式は本当か?
リトルの公式計算例「10人÷2人=5分」  行列に並ぶ人誰もが知りたい、「あとどれくらい待つのか?」。実は今、行列の待ち時間が簡単に計算できるという、公式が話題になっているんです。それがこちら!「待ち時間=行列の総人数÷1分間に加わった人数」 これは、アメリカの数学者ジョン・リトルの研究を元にしたもので、例えば、あなたが10人待っている行列に並び、1分間で後ろに2人並んだら、10÷2で待ち時間は、5分になるというもの。
 でも、本当にこんな単純な計算で待ち時間がわかるのか?ユージさんが街の行列で実際に徹底検証!向かったのは、原宿で大人気のパンケーキのお店。並んでいる人数は98人。そして、ユージさんの後ろには1分間で4人の方が並びました。これを、リトルの公式に当てはめて計算すると、24分30秒でお店に入れるはず。ところが…お店にたどりついた時間は、1時間2分43秒と、誤差38分以上の大ハズレ!この理由を専門家に伺うと…「リトルの公式には、『行列の長さが自分が並んでいる間で急に変化しない事』など、色々な前提条件がある」そうです。そこで、行列の長さが変わらないお店を調査した結果、行列の長さがほぼ一定というアイスクリーム店を発見!最後尾に並んだ女性2人組を基準に、公式に当てはめて計算すると…待ち時間は11分30秒。そこで、2人にストップウォッチを渡し、レジを済ませたところで、止めてもらうと…10分42秒と、誤差は48秒。かなり近づきました!ところが、もう1組の女性2人組で計測すると…公式の予測と、誤差は1分40秒に開いてしまいました。一体なぜなのでしょう?もう一度専門家に確かめてみると…「この公式を使うには、ある程度の時間統計を取り、1分あたりの平均人数を割り出す必要がある」そうです。そこで、30分間、並んだ人数を数えたところ、このアイスクリーム店に、1分あたりで並ぶ平均人数は2.5人でした。そして、この数値で再び計算すると…予測との誤差は26秒に縮まったのです!さらにユージさんが並んだパンケーキ店の、1分あたりに並ぶ平均人数を調べてみると、1.4人。そこで再び計算すると…98÷1.4=70分となり、実際に並んだ62分43秒にグンと近づきました!そもそも、この公式は本来、長い時間で平均データをとって、お店でのレジの台数や、高速道路の料金所の数などを計算する時に使われてきた公式なのです。でも、行列に並びながら、自分の並んでいる行列でこの公式があたるかどうか計算してみたりしていれば、行列の待ち時間もあっという間に過ぎていくかもしれませんね。



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