知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


静電気の科学
第1158回 2012年12月22日


 冬になると気になるのが、静電気。服を脱ぎ着する時のパチパチは不快だし、ドアの取っ手や他の人とビリッてくるのも厄介なものです。
 今回は、なぜビリッとくるのかそのメカニズムとすぐにできる静電気防止法をご紹介します。
  「ビリッときやすい静電気体質ってあるの?」
  「静電気をふせぐ簡単技」
  「着合わせで静電気を防ぐ」 の3本立てです。

①ビリッときやすい静電気体質ってあるの?
 街頭で「冬の静電気、困っていませんか?」と聞いたところ、ビリビリ来て困っているという人とそんなに困ってないという人にはっきりと分かれました。困っている人の多くが、自分は静電気体質なのだといいます。
 でも、静電気体質ってホントにあるのでしょうか?確かめてみました。
 静電気で困っているというAグループ男女5人と、別に困ってないというBグループ男女5人に協力してもらって実験しました。
 まず、全員にバンデグラフという帯電装置でカラダに静電気をためてもらい、1時間後に金属のドアノブに触って、ビリッとくるかどうか調べました。
 結果は一目瞭然。静電気で困っているAグループは全員がビリッとし、困ってないというBグループは1人を除いて4人がなんともありませんでした。
 どうやら静電気体質というものがありそうです。でも何が違うのでしょうか?
 専門家によれば、その違いは肌の水分量にあるといいます。
 実際にAグループ5人の肌の水分量を測ってみると4人が乾燥肌と判定され、Bグループは全員が潤った標準肌と判定されました。
 でも、なぜ乾燥肌だとビリッとくるのか。そのメカニズムを専門家に聞いてみました。
 それによれば、「人はいろいろな形で体表面に電気を帯びるが、空気や肌が水分で潤っていれば、その水分を通して電気が空気中に放電されるので、ビリッとはこない。
 逆に乾燥していると空気中に放電されにくいため、電気はカラダに溜まったままになり金属などに触れた時にビリッとくることになる。乾燥する冬場にこの現象が多く、乾燥肌の人がビリッときやすいのもこうしたメカニズムによる。」のだといいます。
 なるほど、静電気体質とは、乾燥体質だといえそうです。ちなみに静電気で困っているAグループが保湿クリームをたっぷり塗って、同じ実験をしたところ、5人中3人は、ビリッとこず、残り2人も少しビリッときただけでした。
 冬場の保湿ケアは、いろいろな意味で重要です。

②静電気を防ぐ簡単技
 静電気を防ぐには、普段の肌ケアが大切なのは分かりましたが、それでもビリッくることはあります。特に外出から帰ってきてドアノブに触った時や車から降りる時は多くの人が経験しています。
 そんな時に覚えておくと便利な技があります。
 もうお分かりのように静電気を防ぐには、カラダに溜まった静電気を放電することです。
 そのためには、まず電気を通すものに触れ、放電してから、車のドアやドアノブに触ればビリッときません。ではどんなものが有効で、どんなものが効果がないのか、まとめてみました。
 まず、有効なのは・・・樹木や材木などの木、レンガ、コンクリートなど逆に効果がないのが・・・ガラス、プラスチック、ゴムなどの電気を通さない物質で放電がおきません。もちろんアースの原理で地面でもいいですが、手が汚れてしまいます。
 また、金属は電気を通しますが、いっぺんに電気が通るので、バチッときます。
 金属に触る前に、ゆっくり電気を通す物質を選んで触ることがポイントです。

③「着合わせで静電気を防ぐ
 静電気で困るのは服を脱ぎ着する時という声を多く聞きました。確かにパチパチして不快なものです。そもそも静電気は、物質の原子がプラスに帯電したり、マイナスに帯電したりしておこります。服も素材によって、電気的に安定した素材、プラスに帯電しやすい素材やマイナスに帯電しやすい素材に分かれます。
 専門家によれば、脱ぎ着の時におきる静電気は、着合わせる素材のプラスマイナスの電位差が大きければ、それだけ大きくなるといいます。
 例えば、ウールとアクリルの着合わせだと、静電気は大きくなりやすく、ウールとナイロンでは、静電気はほどほどにおさえられます。
 冬は着込む季節ですが、ちょっと着合わせを気にするだけで不快な静電気を防ぐことができます。



自然・電波・エネルギー・鉱物編へ人間科学編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧