知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


回転寿司の科学
第1159回 2013年1月5日


 子どもの好きな食べ物のトップが寿司だってことをご存じでしたか?
 カレーでもラーメンでもなく、寿司。その原因は間違いなく回転寿司の普及にあります。だれでも一度は行ったことがあるのではないでしょうか。
 2013年最初の目がテンは、大人気、回転寿司の科学です。
  ①回転寿司が廻っている訳
  ②回転寿司・回転の法則
  ③初デートには回転寿司がオススメ!?

①回転寿司が廻っている訳
 回転寿司は、なぜ廻っているのでしょう?
 回転寿司なんだから当たり前じゃないかと言われそうですが、実は回転させると、売上げアップにつながるのです。
 そんなバカなとも思いますが、こんな実験をしてみたのです。
 まず、寿司大好きという4人の大学生に回転寿司屋さんで好きなものを好きなだけ食べてもらいます。ただし制限時間は40分。寿司は廻わさず、注文して握ってもらったものだけを食べてもらいます。
 4人が食べた寿司の合計は、34皿でした。別の日、今度は同じ4人に回転している寿司だけを選んで、好きなだけ食べてもらうと4人で合計50皿も食べていました。およそ1.5倍です。
 なぜ、多く食べられたのか、心理学の専門家の分析では、「廻っているといろんなお寿司が見られて、これも食べたい、あれも食べたかったと食欲が刺激され、結果として、最初より多く食べられた」のではないかという話でした。
 さらに欲しいものを目で追い、思わず手にとってしまうという狩猟本能を刺激する要素も回転寿司には備わっているという指摘もありました。
 回転寿司は廻ることで、お客さんの食欲が刺激され、あれが欲しい、もっと食べたいという効果を産んでいるようです。
 さらにお客さんが回転レーンに向い、並んで座ることで、思わず食べちゃうすごい効果もあるといいます。
 それが、競争本能の喚起で、隣の人がいっぱい食べていると負けずに食べなきゃと感じたり、他の人にとられる前にとらなきゃと無意識の不安感から、つい食べちゃうというのです。
 本当なのでしょうか?そこでまたまた寿司好きの4人の大学生を呼んで実験してみました。
 今度は、お客さん一人を挟んで、2人ずつ座ってもらい、両脇には番組が仕込んだ大食漢のプロレスラーを配置しました。4人には40分間で好きなものを好きなだけ食べて下さいとだけ言ってその様子をウォッチングしました。すると真ん中のお客さんに寿司を横取りされたり、両端のレスラーの食べっぷりにあおられたりと、前回と違ってどこか落ち着かない4人。それでも制限時間終了後4人が食べた合計を集計してみると、さらにお皿の枚数が増えていたのです。恐るべし回転寿司です。

②回転寿司・回転の法則
 回転寿司屋さんには、お客さんのための工夫がいっぱい。
 回転レーンの速度はお客さんが目で寿司を確認して、余裕をもって取れるように秒速4センチが一般的になっています。
 廻るネタの前に見やすいポップを置いて、次に何が回ってくるのかお客さんに分かりやすいようにしているのも工夫の一つ。
 そして回転の法則とも言える工夫がありました。それが、同じネタは3〜5皿ずつまとめて流すというものです。なぜこのようなことをするのでしょうか?
 回転寿司屋さんによれば、お客さんが寿司を取りやすくなるというのですが・・・。
 検証してみました。お願いしたのは、2組の母子。皆さんには、あらかじめ食べたい寿司を5種類選んでもらい、それをとり終るまでの時間を計ります。母子には、時間を計測していることは伝えず、回転レーンには、全部で15種類のお寿司を廻わします。
 最初は同じネタを3皿ずつまとめて流して、選び終わるまでの時間を計測。次にネタをバラバラに流して、時間をはかりました。するとネタをまとめて流した場合、それぞれ選んだ5種類をとり終えるのに11分20秒かかったのに対して、バラバラに流した場合は、見逃したり、とり損ねることが多くなり、結局選んだものを全部とり終わるまで14分6秒かかっていました。
 
③初デートは回転寿司がオススメ!?
 今回、回転寿司を取材して一番感じたことは、お客さんが皆実に楽しそうにしていることでした。カップルも家族連れも笑顔があふれ、わいわいと賑やかです。
 もしかしたら回転寿司には、人を和ませ、仲良くさせる何かがあるのではないか・・・そう思って、専門家の意見を聞いたところ、「鍋もそうですが、家族やグループで一つ料理を囲むと仲間意識が高まって、話がし易くなります。回転寿司は、何を食べるかという選択肢が多かったり、流れてくる寿司を協力して取り合ったりして、話のタネはいっぱいあるので、より仲良くなれる環境にあるのかもしれません。」ということで、こんな実験をしてみました。
 回転寿司屋さんと普通のレストランではどちらがより仲良くなれるか大実験。
 参加してもらったのは、男女各3人の計6人。みな初対面です。
 それぞれがカップルとなって、40分間食事をしてもらい、どのくらい会話ができたかを時間で測ってみました。するとどのカップルも回転寿司で食事をした時の方が、会話時間は大幅に増え、楽しそうな雰囲気を作ることができました。しかし、なぜ回転寿司では会話時間が延びたのでしょうか?専門家の分析によれば、「回転寿司の場合は、一皿一皿注文しますので、その分相手の好みがたくさん分かったり、それをもとに会話をする機会が増えたりしてよりお互いを知る機会が増えます。心理学では“自己開示”といいますが、お互いがお互いの情報を得て、親しくなる機会が増えているんだと思います。」
 なるほど、初デートなら回転寿司。これがこれからの新定番になるかも知れません。



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