知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


餃子 の科学
第1182回 2013年6月16日


 もうすぐ夏!暑さに打ち勝つスタミナ食といえば「餃子」!餃子人気は年々高まりをみせ、多くの関連本が出版し、大手中華チェーンでは店舗数がここ5年で30%以上増えています。
 そこで本日の目がテンは、科学を使って、普段食べている餃子がより美味しくなる方法をご紹介します。

 ①なぜ餃子に“ひだ”はあるの?
 ②餃子通が知る「両面焼き」その美味しさの秘密とは?
 ③初体験の人で実験!“酢だけ”で食べる餃子

①街頭調査!ひだ無し餃子VS普通の餃子

 餃子の特徴ともいえる“ひだ”。多くの人が、「焼いた時に皮が開かないようにするためひだがある」と言いますが、果たしてそれは本当なのか?
 そこで、実際に主婦の方に「ひだ無し餃子」を作ってもらい、普段やっているように餃子を焼いてもらったところ・・・ 結果、ひだ無し餃子は1個も皮が開くことなく焼けました。

 さらに、肝心の味を比較するべく、商店街で通行人の方に「ひだ有り」「ひだ無し」それぞれの餃子を食べてもらい、どちらが美味しいか判定してもらいました。すると、30人に伺った結果、なんと20対10と倍の票数で「ひだ無し餃子」に軍配が上がりました!では、餃子のプロはどのような判定を下すのか!?

 そこで向かったのは、宇都宮。老舗餃子店の主人を直撃し、ひだ無し餃子を作ってもらい、主人自ら試食。すると!「薄い分、一口餃子みたいな食感になっちゃうけど、味も焼いてる感じも良い。平らになってる分だけ、早く焼ける感じがする」と高評価!なんと、餃子はひだが無くてもちゃんと焼けて、しかも美味しかったのです!

 では、なぜ餃子には“ひだ”が付くようになったのか?中華料理の歴史に詳しい専門家に伺うと「餃子の形は色々ありますが、一番代表的なのが三日月形。中国の昔のお金の馬蹄銀というお金に似せて作られたと言われている」という。つまり、古来中国では「食べると財産が増えるように」と餃子を馬蹄銀という古い貨幣を真似て作っており、その貨幣の形に整えるため“ひだ”が付けられ、今の餃子のひだはその名残と考えられているのです。

所さんのポイント
ポイント1
中国で餃子は、お金の形に似せるなど“縁起がよい食べ物”とされていたのだ!

②餃子通が知る「両面焼き」その美味しさの秘密とは?

 餃子の有名チェーン店「王将」。実は、この店では、餃子通の間でよく知られる頼み方があるというんです。それは、通常片面だけ焼く餃子を、両面とも焼く裏メニュー「両面焼き」。

 では、この両面焼き、どれくらい美味しいのでしょうか?
 そこで!商店街で「普通の餃子」と「両面焼き」を食べ比べてもらったところ・・・結果は、「両面焼きの方が美味しい」という方が30人中17人と、片面焼きを上回りました。さらに、「両面焼きの方が香りが良かった」というのです。一体何故なのか?専門家に伺うと・・・「餃子の皮に焼き色が付く際、小麦粉やお肉の中に含まれる糖やアミノ酸が反応し、メイラード反応が起こって褐色物質が生成されたり、その時に香ばしい匂いを発する。両面を焼くと、その香りの量が倍増するため、その分美味しく感じる」という。餃子の両面を焼く事でパリパリの食感を出し、モチモチとした食感も残す。更に香りもアップするのが、この両面焼きなんです!

 しかし、家庭でやると両面焼きはひっくり返すのが意外と難しいんです。
 そこで!両面を焼かなくても家庭で簡単にパリパリの食感と香りの良さを出す方法をご紹介。そのヒントとなるのが、焼き面に薄皮が付いている、ご存知「羽根つき餃子」。

 伸びた薄皮によってパリパリ感が増え、また片面しか焼いていないのでモチモチ感もそのまま楽しめます。一見難しそうな羽根つき餃子、実は家でも簡単に作れるものなんです!
 そこで用意するのは、水と小麦粉。まず、水に小麦粉を混ぜます。目安は、水100mlにつき小さじ1(5g)の割合です。

【羽根き餃子作り方】
 1.フライパンに油をしき餃子を強めの中火にかける
 2.約1分後、水に溶いた小麦粉を入れ、このまま餃子を蒸し焼きにする
 3.水気が飛んできたら油を足し、フライパンにくっつかないよう加熱
 4.一気にお皿に移し、完成

所さんのポイント
ポイント2
両面焼きの美味しさの秘密は、「パリパリの食感」と「香ばしい匂い」にあったのだ!

③初体験の人で実験!“酢だけ”で食べる餃子

 餃子のタレといえば、「醤油・お酢・ラー油」が一般的ですよね。しかし今回、その常識を覆す食べ方を、餃子王国・宇都宮で発見!
 地元で人気の餃子専門店を訪ね、地元のお客さんの様子をウォッチングしてみると、ある発見が!なんと、30分観察した結果、お客さん12人中9人が“お酢だけ”で餃子を食べていたんです。この宇都宮スタイル、果たして本当に美味しいのでしょうか?

 そこで実験!東京のお店に協力して頂き、6人の男女にこの店の名物ということで、餃子を試食してもらいます。しかし!お店はテーブルから醤油とラー油をどけて、お酢しかない状況。これまでお酢だけで餃子を食べた経験がない6人の反応を見てみると・・・

 実験の結果、なんと6人中4人が「餃子はお酢だけでも美味しい」と答えたのです!この結果について、料理研究家に聞いてみると、「お酢は油の粒子を細かくしてくれる効果がある。口の中に脂っこいものと一緒に食べるとさっぱりと美味しく頂ける」という。お酢の成分である酢酸には、油の粒子を包み込んだ後、細かくする性質があります。

 試しに、お酢に油を入れ、軽くかき混ぜて5分間待つと、分離した部分に細かい泡のようなものがたくさん出来ました。これは、お酢によって油が細かく分離した状態。実は、これはお酢だけの効果で、醤油に油を混ぜてみても、完全に分離し油が細かくなることはないのです。

 元々油は、舌の味覚細胞を覆い、味を感じにくくする傾向があります。酢によって油の粒子が細かくなると、味覚細胞を覆うことはなく、その分、餃子本来の餡の肉や野菜の味がはっきり分かるようになるのです。

所さんのポイント
ポイント3
酢だけで餃子を食べる人は、ご飯は頼まず、“餃子だけ”を味わっていたのだ!




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