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むくみ の科学
第1198回 2013年10月13日


 日本の女性のおよそ半数が抱えている悩みといえば・・・むくみ。実はこの「むくみ」、見た目が悪いだけではなく疲労や肥満にもつながってしまうんです。さらに、むくむのは女性だけではなく男性も・・・。そこで本日の目がテンは、「むくみ」を解消する方法を科学の力で徹底解明!

①むくみは誰にでも起こる!?2時間でどれだけむくむのか?

 朝から仕事で机に座りっぱなし。夕方には足がパンパンにむくむっていう人、多いのでは?では実際、どのくらいの人がむくんでいるのでしょうか?そこで!1日の仕事でどれだけ足がむくんでいるのか、東京のオフィス街新橋で仕事帰りのサラリーマンやOLをチェック!

 チェックに使うのは、マッサージ用のシリコンの棒。これで、足のすねを強く押した後、皮膚にできたくぼみが5秒経っても元に戻らなかったらむくんでいる証拠。これは、お医者さんも行うむくみの判定法なんです。
 長時間のデスクワークでむくみを感じるという女性、早速チェックしてみると・・・5秒経ってもくぼみが。その後もチェックを続けると、むくんでいる人が続出!女性は10人中7人が“むくみあり”という結果に。
 ならば、男性はどうでしょう?くぼみが分かるよう、すねの部分の毛を剃り、つるっとした所でチェック。すると・・・普段むくんでいる実感のない男性もむくんでいる人ばかり。10人に調査した結果、なんと8人もの男性がむくんでいるという結果に!

 では、いったいどうしてむくんでいたのか?むくみの権威・信州大学医学部の大橋俊夫教授に伺うと、「足がむくむというのは、男女関係なく必然的に起こる現象で、約2時間ほどじっとしていると、足の毛細血管から出た水が戻って来なくなってしまう」という。それは本当なのか、4人の男女で実験開始!水の入った箱に足を入れて立ち、あふれた水の量を測定します。この溢れた水の量が「足の体積」です。まずは、通常の足の体積を測定。実験は簡単。椅子に座ってじっとしているだけ。その間、足を動かすのは厳禁!そのまま2時間後・・・女性の体積を測定してみると、実験前は1061mlでしたが、2時間座った後は1244mlに!なんと2時間で、183mlも増えていたんです。一方、男性も2時間で106mlも増加。結果、4人全員がわずか2時間座っているだけで、足の体積が増え、むくむということが分かったんです!

 では、そもそもなぜ人はむくむのでしょうか?血液は、心臓をポンプにして動脈に押し出され、全身に送られます。健康な場合、血管から水分の一部が染み出し、細胞の隙間に流れ込んで疲労物質を回収して静脈とリンパ管に戻っていきます。この時、水を戻すポンプの役割を果たすのが、足の周りの筋肉です。しかし、先ほどの実験のように長時間、座ったままでいると、ポンプとなる足の筋肉が動かないため、血管と細胞の間に水分がたまった状態のままになり、むくんでしまうんです。

所さんのポイント
ポイント1
むくみは“十分な睡眠”を取れば解消するが、もしも朝にむくんでいたら、病気のサインの可能性があるため要注意なのだ!

②疲労・肥満につながる“むくみ”3つの解消法を徹底検証!

【むくみと密接に関係する“リンパ管の働き”】
 リンパ液は足の方から流れていき、ソケイ部のリンパ節を通ってお腹の中に入り、胸の管を通って鎖骨近くのリンパ節に流れていきます。そして、鎖骨近くのリンパ節から静脈に戻っていくんです。

 今回は、大橋教授が“むくみを解消する3つの方法”をご紹介!
 ①足の筋肉を動かす ②腹式呼吸をする ③心臓より上に足を置く

 では、この3つの方法がどれだけ効果があるのか実際に実験!まず、「①足の筋肉を動かす」挑戦者は、タップダンスに通う男性。そして、「②腹式呼吸」に挑戦するのは、声楽歴37年の女性。さらに「③心臓より上に足を置く」といえば逆立ち!ということで、こちらは体操教室に通う男性が挑戦。
 まず、実験場所に移動するため飛行機に乗ってもらいます!しかも向かう先は、九州の南、宮崎県!2時間後、宮崎空港に到着し、ここから実験開始!実は、わざわざ2時間飛行機に乗って宮崎に来たのは、3人にしっかりむくんでもらうため。飛行機の中は、気圧が0、8気圧と地上より低く、皮膚が緩みます。さらに、長時間座ったままなので、誰でも、最大限むくんでしまう場所のひとつなんです。歩いてしまうと、むくみがとれる恐れがあるため、3人を背負って運び出します。その後、3人を測定すると・・・

  タップダンス 逆立ち
搭乗前 558ml 950ml 712ml
搭乗後 643ml 1180ml 730ml
結 果 +85ml +230ml +18ml

 いずれも搭乗前に比べ、増えていました。そして実験はここからが本番!このむくみは、それぞれの方法でどれだけ解消するのか?制限時間は5分。足の筋肉を動かす「タップダンス」に、腹式呼吸の「声楽」、そして心臓より上に足を置く「逆立ち」を行うと・・・

【タップダンス】
搭乗前 950ml
搭乗後 1180ml
タップ後 907ml
結 果 −273ml
【歌】
搭乗前 558ml
搭乗後 643ml
タップ後 567ml
結 果 −76ml
【逆立ち】
搭乗前 712ml
搭乗後 730ml
タップ後 580ml
結 果 −150ml

 実験の結果、3つの方法はすべてむくみ解消に効果があったんです!でも、歌を歌うこと、つまり「腹式呼吸」がなぜ、むくみ解消に効果があったのでしょうか?実は、お腹には太い静脈やリンパ管が通っており、腹式呼吸で息を吸うと肺を大きく膨らませるため、横隔膜が下がります。その時、お腹の筋肉が収縮し、静脈やリンパ管が押されます。そして反対に息を吐くと、圧力が弱まり、静脈やリンパ管に血液やリンパ液が勢い良く流れます。それにより、足の水分が引っ張り上げられ、むくみが解消したんです。

所さんのポイント
ポイント2
日常生活でも、休憩時間に階段を上り下りするなどして足の筋肉を動かすことで、むくみ解消につながるのだ!

③むくみ・疲れがとれる!簡単リンパマッサージ

 むくみを解消するもうひとつの方法、それは「リンパマッサージ」。実はこのリンパマッサージ、むくみを解消するだけでなく、さらに重要な役割があるんです。

 細胞の間にたまった水分の中には、老廃物や細菌などの有害な物質がたくさん含まれています。この有害な物質を「アルブミン」というタンパク質成分が吸着して、体を綺麗にしてくれるんです。しかし、有害な物質を吸着して大きくなったアルブミンは、静脈の壁を通過できません。
 そこで、リンパ管を通って回収されます。そのためリンパ管の流れが悪くなると、細胞に老廃物がたまってしまい、足がだるくなったり疲れやすくなってしまうんです。

【大橋先生おすすめのリンパマッサージ】
①足のソケイ部のリンパ節を、指圧程度の強さで両手で10回程ほぐす
②ヒザの裏のリンパ節も同様にほぐす
③ヒザの方から優しくなでるように、ソケイ部のリンパ節に向かって手をずらして行く
④足首からヒザの方に向かって同様に優しくなでる
⑤足首からソケイ部のリンパ節に向かって一気にリンパ液を流す

所さんのポイント
ポイント3
リンパマッサージは消して強くさすらないこと。リンパ管は皮膚のごくごく表面にあり、力を入れるとつぶれてしまうため優しくさするのだ!




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