知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


紅葉 の科学
第1205回 2013年12月1日


 秋に人気、あでやかな赤や黄色に染まった紅葉スポット!
なぜみんな紅葉にひかれるのか?今回は日本の秋を彩る紅葉を科学します。

①なぜひかれる?驚きの紅葉効果とは?

 紅葉スポットで観光客に紅葉のどの色が好きか聞いてみると、様々な色がある中で、特に赤にひかれると答える人が多かったんです。でも紅葉の赤い色に一体どんな秘密があるんでしょうか?色彩心理を研究する専門家に伺ってみると「赤は元々我々人間にとってポジティブな意味を持つ場合がある。例えば果物が赤くなるとおいしいという事を我々に伝えてくれる。そういう意味で赤は好意的に受け入れる傾向がある」とのこと。
 そこで実験!協力してもらったのは、彼女いない歴25年、女性と話すのが苦手な男性。家具のショールームで、落ち着いた色調の部屋と、赤を基調とした2種類の部屋を用意。10人の女性をくじでA、Bの2チームにわけ、先にAチームの女性に落ち着いた色調の部屋で男性と2人で話してもらいます。制限時間の3分間、自由に話してもらい、男性としての印象を100点満点で採点してもらいます。

 まず1人目。蓑輪さんの不慣れな対応に、気まずそうな雰囲気。なかなか会話は盛り上がる事はなくタイムアップ!女性の点数は・・・「40点」。2人目の女性も、やはりなかなか会話が弾まず・・。点数はまさかの「0点」。他の女性でも同様の実験を行った所、蓑輪さんに対する5人の印象は平均で51点でした。
 さて実験はここからが本番!紅葉したもみじと同じ、赤を基調とした部屋で話をすると変化はあるのか?Bチームの5人の女性で実験します。部屋を赤に変えた以外は全て同じ条件。蓑輪さんの話題も出身地を聞くなど同じ質問なのに、さっきよりもなぜか和やかな雰囲気。分後同じように採点してもらうと・・「90点です」。なんといきなり高得点が!!
 続いての女性も・・・「85点」とまたしても高評価!その後も軒並み高得点が続出!赤い部屋に変えただけで平均が30点以上アップしたんです。比較のため男性を代え、先に赤い部屋から実験したところ、赤はやはりいい雰囲気。それぞれ5人の女性で試してみると、やはり赤い部屋の方が女性からの評価が高かったんです。

所さんのポイント
ポイント1
人々が紅葉にひかれるのは、もみじの赤が、人をポジティブにさせるから!男女でもみじ狩りに行くと打ち解けやすくなるのだ!

②もみじはどのように赤く変わっていくのか?

 そもそも、緑の葉はどのようにして赤く色づくんでしょうか?植物研究の専門家によると、条件がそろえば10日〜2週間で赤く紅葉するとのこと。
 そこで標高の違う三カ所で色の変わり方を調べてみることに。まずは標高1500メートル。最も気温が低く紅葉する時期も早い奥日光。そして日光東照宮にほど近い、標高650メートルの日光植物園。3つ目は、東京都内の標高20メートル、この中で最も温かい、小石川植物園。果たしてもみじは、どのように紅葉するのか?定点カメラを設置し2週間観察します。しかし実験開始から7日目・・・奥日光のもみじが、紅葉する前に無残に枯れてしまったんです。これは一体どういう事なんでしょうか?専門家に原因を伺うと、「−2℃よりひくくなると細胞が死んでしまう。急に気温が下がると枯れてしまい紅葉しないとのこと。そこで、もみじの横に取り付けた気温計を見てみると、この7日間の最低気温は−5℃を記録しています。−2℃より低くなったため葉の細胞が壊れ、枯れてしまったんです。
 そこで引き続き残りの二つのもみじの観察を2週間続けました。まずは東京のもみじを見てみると、2週間経ったのにまだ緑のまま。ほとんど色が変わっていませんでした。一方、日光のもみじを見てみると、綺麗な赤に紅葉していたんです。
 実際にもみじが赤くなっていく様子を見てみると、観察から7日目、葉っぱにやや赤い色がでてきました。そしてだんだんと色が濃くなり2週間で見事な赤に変化したんです。赤くなったもみじと、ならなかったもみじ、一体何が違うんでしょうか?専門家によると、最低気温が5℃くらいまで下がり紅葉のスイッチが入った、とのこと。そこで日光のこの2週間の最低気温を見てみると、2℃とたしかに5℃以下に下がっていました。一方、東京の最低気温を見てみるとまだ11℃と、5℃を下回っていません。もみじは最低気温が5度以下に下がると、紅葉の準備に入り葉緑素という緑の色素が抜けて行きます。これと同時に酵素が働き、葉の持っている糖分をアントシアニンという赤い色素に変えるんです。なので、およそ10日から2週間で、綺麗な赤いもみじになるんです。美しい赤に紅葉するためには、高すぎても低すぎてもいけない、適切な気温が大事だったのです。

 さらに、もみじが赤く色づくには温度以外にも、もう一つ大切なポイントが!それは、昼間太陽の光に十分当たるという事。そこでユージが、紅葉する前のもみじの葉一枚一枚に、部分的に日光が当たらないように、「目」のシールを貼り、自宅で紅葉させる実験に挑戦。東京の気候ではまだ紅葉しないので、夜は、専用の冷蔵庫に入れ5℃に冷やし、朝は太陽に当てるため、早起きして外に出すという生活を毎日繰り返しました。ユージは一緒に暮らすうちにいつのまにか愛着がわき「めみじちゃん」という名前まで命名するほど大事に育てました。そして2週間後、目がテン特製もみじの「めみじちゃん」がコチラ!シールの下の部分、目の形に黄色くなっています。紅葉は昼間太陽が十分に当たる事で赤い色素を作る酵素が働いて赤くなるが、シールで日光をさえぎった部分は、酵素が働かないため、カロテノイドという葉に元々ある色素が残り、黄色くなってしまったというわけなんです。
 ちなみに、黄色いもみじが全て太陽が当たっていないというワケではなく、もみじの種類によって、太陽が当たることで、黄色い色素を作る酵素が働き、より黄色く紅葉する種類もあるんです。

所さんのポイント
ポイント2
気温−5℃で紅葉スイッチが入り、日光の力で赤い色素を作る酵素が働き出すのだ!

③プロカメラマンが教える「紅葉を美しく見る方法」

 紅葉ってどんな場所から見ると一番綺麗に見えるんでしょうか?紅葉を撮影して20年のプロカメラマン・西村さんによると、紅葉は、同じ場所からでも、時間帯によって印象が変わるとのこと。そこで、時間によって見え方がどう変わるのか、同じ場所で日の出から日没まで、紅葉を撮影してもらいました。
 朝7時、東から照らす太陽で、山の姿が立体的に浮かび上がっています。そして正午、真上にあがった太陽が山全体を明るく照らしています。午後3時、太陽は西へ。このように太陽の差し方で同じ場所でも様々な楽しみ方ができるというわけなんです。
 更に、西村さんによると紅葉を美しく見る方法があるといいます。その写真を見せていただくと、もみじがひかり輝いてとても美しく見えました。実はこの写真は全て逆光でとった写真なんです。そこで、太陽の方向にカメラを向けた逆光と、比較のため太陽を背にして撮影した順光で、どちらの方がきれいに見えるのか比較します。判定するのは紅葉狩りにやってきた観光客の皆さん。まずは赤いもみじから。結果10人中9人がBの逆光を綺麗だと答えたんです。
 続いて黄色のもみじ。こちらもBを選ぶ人が多く10人中8人が逆光のBを選択したんです。どうして逆光だと美しく感じるのか?専門家に伺うと、葉っぱを通ってくる光の通し方を比べて見れば分かるとのこと。そこで赤、黄色、と紅葉前の緑の3色のもみじを用意。それぞれの葉っぱの光の透過率を測定しました。パーセンテージが高いほど光を通しやすいということ。紅葉した赤と黄色は緑に比べ光をより多く通すことが分かったんです。緑の葉は、光合成をするため、太陽の光を多く吸収してしまいます。しかし、紅葉した葉は葉緑素が少ないため光を透過しやすく、逆光で美しく見えたんです。
 ちなみに、記念撮影をする場合、背景のもみじは綺麗に撮影出来るんですが、人の顔は真っ暗に写ってしまいます。そんな時は、フラッシュ!スマートフォンやコンパクトカメラのフラッシュは届く範囲は1Mくらいのものが多いので、顔はフラッシュで明るく撮影できるうえ、紅葉は逆光できれいに見えるというわけなんです。

所さんのポイント
ポイント3
もみじ狩りに行く時は、下から見上げて逆光で見ると、より美しく楽しめるゾ!でも、ファインダーで直接太陽を見ないように注意が必要なのだ!




植物編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧
番組に対する、ご意見、ご感想等ございましたら、番組メールボックスの方にお寄せ下さい。
宛先は、 megaten@ntv.co.jp です。
原則、質問にはお答えできませんが、頂いたメールは、番組スタッフが閲覧し、今後の番組作りの参考にさせていただきます。