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疲れ の科学
第1218回 2014年3月16日


 日本人のおよそ85%が、悩まされている・・・疲れ。
 疲れやストレスが原因で起こる"過労死"という日本語は、今や世界共通の言葉に。そんな状況に国家が予算30億円を投入し、疲労の研究がスタート!そして2008年、ついに疲れの原因物質を突き止めました!そこで本日の目がテンは、最新研究でわかった疲れの謎を目がテン流にわかりやすくご紹介します!

①新たにわかった疲れの新事実とは!?

 新たに解明された疲れのメカニズムを知る為、訪れたのは大阪市立大学。この大学の疲労医学講座では長年、疲労のナゾを解明するための研究が続けられています。研究を行う梶本教授に話を聞いてみると、「これまで疲れの原因は"乳酸"と言われてきたが、実は乳酸というのは疲れたときに、筋肉の細胞を保護してくれたり、あるいは脳の栄養源になったりする非常にいい物質であることがわかった」。そう!実は、乳酸は、運動をし、グリコーゲンやブドウ糖という物質が分解されエネルギーになる過程で生まれます。そのため今までは、この乳酸が疲労の原因物質と考えられていました。しかし最新の研究では、乳酸には運動で筋肉が傷ついた時それを保護する役割があることがわかってきたんです。
 では、この物質は一体なんなんでしょうか?梶本教授に聞くと「ファティーグ・ファクター、FFという物質」だというんです。実は2008年、東京慈恵会医科大学の近藤一博教授によって疲労の原因物質として発表されたのが「ファティーグ・ファクター。FF」。近藤教授が、マウスを使い行ったFFの実験というのが、まず、通常時のマウスが回し車をどのくらい回転させたのかを計測。翌日、同じマウスにFFを投与したところ、実際は疲れていないはずなのに、回転させた数が、なんと7分の1になったんです!

所さんのポイント
ポイント1
細胞の"錆び"によって体に出てくるファティーグ・ファクター、通称「FF」が、疲労の発生に大きくかかわっていたのだ!

②精神的な疲労でもFFは出るのか実験!!

 精神的な疲労を感じた時でもFFは出るのか?そこで実験!精神的な疲れを与えるため番組が用意したのが、「卓球の技術指導ビデオ」。指導者が専門的な内容を、ひたすらしゃべり続けるだけというちょっと退屈な映像なんです!まずは実験初日の朝、全く疲れていない状態のFF値を測定。この日は比較の為、何もせず1時間過ごしてもらい、再度採血。
 そして翌日朝。ここからが本番。この日は映像を1時間観てもらいます。しかし、実はこの映像、1分間で終わってしまいます。つまり、被験者にとってなんの価値もない映像を60回見続けなければならないという実験なんです。そして映像を繰り返し観ること30回…完全に飽きてしまった様子。実験後、精神的に疲れることでFF値に変化はあったのか?結果を見てみると…何もしていない時は、ほとんど変化はなかったが、映像を1時間見た後は約1.5増加したんです!
 実は、精神的な疲労は脳を使っていたことになりますが、この疲れもやはり"細胞の錆び"がおおもとの原因で起こるんです。また、もう一つの原因として挙げられるのが「眼精疲労」。単純にモニターをずっと見ていると、疲れてしまうんです。今回は被験者にとっては興味のない映像でしたが、自分の大好きなドラマなどでもFFは上がるんです。

所さんのポイント
ポイント2
観ている映像が、自分に興味がある・なしに関わらず、モニターをずっと見ているだけでFFは上がるのだ!

③人気の疲労解消法を比較!!何が一番疲れを癒やす!?

 文部科学省の、3000人を対象にした調査によると、入浴、マッサージ、睡眠が、疲れの解消法として多く行われていました。それでは、この中でどれが疲れを回復させるのに最も効果的なのでしょうか?そこで実験!検証するため集まってもらったのは男性6名。
 まず彼らには疲れてもらうため、広辞苑に掲載されている言葉を1字1句間違えずにノートに書き写すと言う、地道な作業を行ってもらいます。黙々と文字を書き写すこと1時間が経過。皆さん、疲れてきた様子。そこからさらに1時間続けてもらい…その後、FF値を計測します。
 そしてここからが本番!6人には入浴チーム、マッサージチーム、仮眠チームの3チームに分かれてもらい、同じ時間、これらの行為をした時どれだけFF値が下がったのかを検証します。3チームそれぞれ、20分間疲れを癒してもらい、実験後にFF値を見てみると・・・まずは仮眠チームは2人ともFFが減少し、疲労が回復。続いてマッサージチームは、1人はFFが減少。疲労が回復しています。しかし、もう一人は…なんとFFが増加!マッサージをしたのに疲労の原因物質が増えていたんです!そして入浴チームは…なんと!二人ともFFが増加!!入浴も疲労回復どころか疲労の原因物質が増えると言う結果に!
 では、一体なぜこのような結果になったのか、専門家に聞いてみると、「マッサージや入浴は、血行がよくなり疲れの老廃物が排泄されるため、マッサージの方はFFが減少した。しかし、マッサージをすることで筋肉に負荷もかかるのでFFがそれ以上に出て、FFが増加した。一方、入浴の場合も、お風呂の熱刺激によって体に負荷がかかりFFの増加量が、減少分を上回ってしまった」というんです。

所さんのポイント
ポイント3
本当の意味で疲労を回復させるには・・・睡眠が一番良いのだ!

④鶏のむね肉に疲労回復効果があるのか?実験!

 疲労回復に役立つ食材として挙げられる「鶏の胸肉」。では、本当に効果があるのでしょうか?そこで実験!集まってもらったのは男女4名。彼らには、体育館を走ってもらい、まずは通常時の疲労回復力を見ます。1周86mのバスケットコートを20周、およそ1700m走った時のタイムを計測します。その後、10分間の短い休憩を挟み、再度20周走ってもらい、10分間の休憩の効果を見ます。しかし、先ほどの疲れが回復していないのかその足取りは重いまま…結果、全員2本目の方が、タイムが落ちました。
 そこで4人には、鶏のむね肉を1週間食べ続けてもらいます!もし、鶏のむね肉に疲労回復効果があれば1本目と2本目のタイム差は縮まるはず。1日に100g以上の鶏のむね肉を食べてさえいればどう調理しても自由。被験者は、むね肉の棒棒鶏やハンバーグ、さらにはチキン南蛮など、色々アレンジし楽しんでいました。
 そして、一週間後…再び4人に集まってもらい、同じ実験をしてもらうと、なんと4名全員の成績が良くなったんです!
 では、どうして鶏のむね肉を食べると疲れにくくなったのでしょうか?専門家に伺うと、「実は鶏のむね肉に含まれるイミダゾールジペプチドというアミノ酸が関係してる」という。このイミダゾールジペプチドには、活性酸素の攻撃から細胞を守ってくれる、抗酸化作用があり、このイミダゾールジペプチドを取り入れたことで細胞が錆びにくくなり、疲れが早く回復し、タイム差が縮まったんです。成分の数値で言うと、一日200mg。これを鶏のむね肉に換算すると100gと、唐揚げに例えると4つ分です。実際には、揚げても煮ても焼いてもイミダゾールジペプチドは壊れないため、調理法は自由なんです!

所さんのポイント
ポイント4
調理法は自由!「鶏のむね肉」が疲労回復を手助けしてくれるのだ!




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