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カピバラ の科学
第1223回 2014年4月20日


 動物園の人気者カピバラ!無表情でのんびりしている姿が可愛いと大人気!しかし今回…貴重な野生の映像を入手!そこにはカピバラの本当の姿が!本日の目がテンは、癒しだけじゃない知られざる、珍獣カピバラを科学します。

①カピバラに癒し効果はあるのか!?

 日本全国で、大人から子供まで大人気。癒し系として愛されている珍獣、カピバラ。人気の秘密はどこにあるのか? やって来たのは、カピバラとふれあうことができる「那須どうぶつ王国」。中で、人だかりを発見!そこにいたのは、気持ちよさそうに温泉に入るカピバラです。目を閉じてお湯に浸かる姿は、本当に気持ちよさそう。お客さんの多くは口々に「カピバラを見ると癒される」というんです。キャラクターデザインの研究をしている多摩美術大学の秋山教授によると「かわいいと癒やしの効果のある動物やキャラクターには2つの特徴があります。1つは、頭が大きくて全体的に丸みをおびている。2つめは、目と口が近い。」これが特徴とのこと。
 例えば、癒し系の代表、パンダや子猫は頭が大きく体が丸みを帯びていて、目と口の位置が近く、癒し系の特徴を満たしています。では、カピバラは…頭が大きく丸みをおびているという癒し系の第1の特徴は満たしています。しかし!カピバラは2つ目の特徴にあてはまりません。カピバラの目と口は離れています。パンダや子猫と比較すると、その違いは歴然!どちらかというとウマヅラ。かわいいというより間が抜けた感じです。しかも、鳴き声も御世辞にもかわいいとは言えません。カピバラを見て癒されるというのは、本当なんでしょうか?そこで実験!!

 カピバラで本当に癒されるのか、脳波を調べてみることにし!人はリラックスしている時には、水色、緑、黄色で表されるα波の値が高くなります。逆に、ストレスを感じた時は、赤色で示されるβ波の値が高くなるんです。このα波とβ波の数値を脳波の専門家が分析。先生が"癒され値"と名付けた数値で比較します。脳波を測定させていただくのは、20代から50代の男女8人。8人に見てもらうのは、動物園の人気者で、癒し系代表のパンダ。ペットとして大人気の、子猫。癒し系の新定番カピバラ、そして癒し系とは程遠い、ワニです。この動物たちで癒し王選手権を開催!ウマヅラのカピバラは、ライバル達に勝つことができるのでしょうか?
 まず、8人に見てもらったのは、パンダの映像。"癒され値"の平均は、ご覧の通り。続いては、子猫の映像。結果、8人の癒され値の平均は、パンダを越えました!続いては、ダークホースのワニは…全く伸びず!パンダや子猫の半分以下の数値です。やはりワニは癒し系ではありませんでした!最後はカピバラ!ウマヅラで、癒し系の条件を満たしていないカピバラはどこまで、パンダや子猫に迫れるのか?!結果は・・・、子猫には勝てませんでしたが、パンダに迫る高い数値が出たんです!目と口が離れていて、癒し系の特徴にあてはまらないカピバラに、なぜ癒し効果があるんでしょうか?専門家によると、実は人間と同じような行動、「お風呂に入る」姿こそが、カピバラの人気の大きなポイントだったんです。およそ30年前に、静岡県の伊豆シャボテン公園が温泉に入るカピバラを公開したのをきっかけに、一気に「温泉カピバラ」の人気に火が付き、今では、カピバラの入浴を観ることができる動物園は全国に20か所以上もあるんです!

所さんのポイント
ポイント1
カピバラの癒しの秘密は、人間のようにふるまう行動に、私たちが共感することにあるのだ!

②癒やしだけじゃないカピバラの意外な能力!

 温泉でのんびりしているイメージのカピバラ。野生ではどんな暮らしをしているのでしょうか?南アメリカの東部、アマゾン川流域に生息しているカピバラはネズミの仲間。地球上で最も大きなネズミと言われていて、体長はおよそ1メートル。体重は大きいもので70キロ以上にもなるんです。日本の広い範囲に生息しているハツカネズミと比べると、体重で、なんと2800倍以上!
 動物園で見るカピバラはいつものんびりしていますが、野生では、そんなイメージと違う一面があるというのです。こちらの写真はメスを取り合ってケンカをしている様子。確かにイメージと違います。専門家によると、カピバラは非常に臆病。いざ追いかけられると、湿地帯でも時速50キロで走るといいます。その貴重なシーンがこちら。
 天敵ジャガーがカピバラに狙いを定めた次の瞬間、カピバラ猛ダッシュ!至近距離でジャガーのダッシュを逃げ切ったカピバラ。もの凄い瞬発力です。実は、カピバラはネズミの仲間ですが、水辺で暮らす動物。なので、よく見ると、足の指の間に水かきがついているんです。これで上手に泳ぐことができるのです。また、野生のカピバラは、5分間も潜水できるといわれています。さらに、カピバラの特徴的な顔も水中に適した形になっていたんです。カピバラの顔を真横から見てみると、確かに耳、目、鼻が一直線に並んでいます。この特徴を生かし、体は水の中でも、耳、目、鼻だけを水面から出し、天敵を警戒しながら泳ぐことができるのです。目と口が離れていて、癒しの特徴にはあてはまらないウマヅラな顔は、実は水中に適した構造になっていたのです。

所さんのポイント
ポイント2
のんびりしているイメージのあるカピバラは、実は時速50キロで走るスゴい能力を持っていたのだ!

③一緒に生活することで見えてきたカピバラの秘密

 2頭のカピバラ、生後6か月。人間の年齢にすると、およそ7歳です。このカピバラと後藤アナが一緒に生活!何か困った事があれば、近くにいる飼育員の方が、手助けしてくれることになっています。早速、撫でて見ると、見た目はモコモコしているけど、触ってみると実は体毛が硬いんです。人の髪の毛と比べてみてもおよそ3倍の太さ。すごく弾力もあるんです!専門家によると、「水から出た時に体を振ることによって、水が早く切れる。そういう理由のために毛が非常に硬くできている」とのこと。ちなみに、こちらの2頭はメス。その見分け方は…オスだけにある、鼻の上の突起物『モリージョ』。これがメスにはありません。オスは交尾期になるとモリージョから分泌物を出して、メスをひきつけるんだそうです。2頭は、人間でいえば小学校に上がったばかりの女の子。仲良くなるためにスタッフが用意した遊び道具を使ってみます。子猫が大好きな「猫じゃらし。」しかし、鼻をピクピクするだけです。さらに、こちらも子猫が好きな毛糸玉。やはりノーリアクション。どうすれば仲良くなれるんでしょうか?飼育員の方に聞くと、撫でると仲良くなれるという、"喜びのツボ"を教えてくれました。慣れている人が「喜びのツボ」を撫でるとお腹を見せてゴロンと横に!後藤アナもこの姿を目指します!早速、喜びのツボだというお尻や首筋を撫でてみますが…一切喜ばず!残念!続いては、エサやり。カピバラが好きそうな食材を用意。
 この中から、後藤アナがエサを選びました。ネズミが食べるイメージがあるチーズ。しかし、ノーリアクション。同じくねずみの仲間のハムスターが大好きなヒマワリの種にも無反応。続いて、ネズミが食べるイメージがないバナナ。  しかも皮ごとですが…勢いよく皮ごと食べ始めました。さらに、リンゴやニンジンもモグモグ。専門家によると、ネズミの仲間の多くは、雑食ですが、草などが豊富な水辺に生息するカピバラは草食動物とのこと。動物園などで飼育されているカピバラは、野菜や果物を1日に3キロも食べる食いしん坊なんです。
 最後にカピバラが大好きな、お風呂をプレゼント!すると、今まで無反応だったカピバラが自ら足をのばし、タライの中へ。ホントに好きなんですね。そして、記念写真を撮っていると…お風呂でウンチしちゃいました!!専門家によると、ふんは自分を狙っている動物にとって標的になる。そういう目印を残さないように、水の中でふんするとのこと。

所さんのポイント
ポイント3
水中でフンをするのは、水辺で生息するカピバラにとって、天敵から身を守り、生きるための手段なのだ!




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