知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


怪談 の科学
第1240回 2014年8月17日


 夏真っ盛り!そんな暑い季節の風物詩といえば・・・そう!身も心も凍りつく、怖〜い怪談!夏は怪談BARや専門誌など、怪談を求める人が続出!でも、話を聞くだけなのに、なぜそんなに恐怖を感じるの〜?実は!怪談には、恐怖を演出する様々なテクニックが秘められていたんです!今回の目がテン!は、怪談に隠された"魅力とナゾを"科学の力で解明します!

①「擬音ありvs擬音なし」イメージの伝わり方は変わる?

 怪談のテクニックを探るべく伺ったのは、毎年、数多くの怪談ライブを行う稲川淳二さんの怪談ナイト。独特の語り口で、観客を恐怖の世界へ引きこんでいきますが…一体、この「語り」のどこに、"恐怖を感じさせるテクニック"が隠されているのか?今回、怪談ライブ終わりの稲川さんに、怪談の恐怖を感じさせるテクニックについてそのヒミツを聞くと…「一番大事なのは、イメージが湧かないと困るから私頭の中でいつも画を描いてる」そうです。稲川さん曰く、怪談で重要なのは、語り手と聞き手の"イメージの共有"。そこで使われるテクニックとは…「擬音て口でやるでしょ?割と感性を刺激するんです。」との事です。

擬音が、聞いている人の感性を刺激しイメージを湧かせる?
でも擬音を使うことでイメージの伝わり方がどう変わるのか?

 そこで目がテン!大実験!!用意したのは、3つの和室。いずれも、一見同じような和室ですが、それぞれ、部屋の広さや、花瓶などのインテリアがわずかに違います。部屋でおばあさんが飲む"お茶の器"もそれぞれ違っています。この3つの内、今回の実験ではCの和室を「擬音アリ」と「擬音ナシ」で説明。イメージの伝わり方の違いを観察します。
 説明してくれるのは…稲川淳二さんのモノマネで知られるお笑い芸人「BBゴロー」さん!まずは"擬音あり"で4人に和室の特徴を説明します。その後4人には、Aの部屋から順番に見て行ってもらい、どの部屋か当ててもらうと…なんと全員、同じ部屋のイメージを描いていました。
 続いて、今度は"擬音を使わず"説明してみます。すると・・・みなさんAやCなど、"擬音アリ"とは対照的に、答えはバラバラ。たしかに、擬音には聞いている人にイメージを共有させる効果があるようです。一体なぜなのか?心理学に詳しい専門家に聞いてみると…「擬音は言葉で理解するのではなく、感覚的に受け入れることになるのでとてもリアルに感じるようになります。擬音を多用されることによってとても具体的にイメージが出来上がることになります」との事です。

所さんのポイント
ポイント1
怪談が怖い理由①:擬音を多用されることで、話をより"リアル"に想像し、まるで"怪談の世界の当事者"になったような錯覚を受けるのだ!

②「早口vsゆっくり」緊迫感はどう変わる?

 怪談で使われているテクニックにはほかにどんなものがあるのか?稲川さんに聞くと…「昔はね、怪談てスローに話したんですよ。ただ、私の怪談の場合にはそれはあまり使わないですよね。自分の緊迫感ていうのかな?焦っている時に人間ゆっくり話しませんよ。早口でやった方がなんとなくこっちが怖がっているから、みんなもそうなんだなと思えるじゃないですか。緊迫感なんですよ。あの早さって」との事です。

 でも、本当に早口だと緊迫感は高まるのでしょうか?そこで実験!協力してくれるのは、プロの怪談師「村上ロック」さん。村上さんが「もっとも怖い」という怪談「カラオケボックス」を事前に収録し、一方は「早口」。もう一方は「ゆっくり」で語ってもらいます。まずは"ゆっくり"語る怪談を3人に聞いてもらい、心拍数を計測して緊迫感の高まりを見ます。開始から、集中して怪談を聞き続ける3人。そして、クライマックスに差し掛かると…心拍数は下がっています。その後、話を終えた後も、3人の心拍数はわずかに下がっていました。そして休憩をはさんだ後、今度は早口で、同じ怪談を聞いてもらいます。
 早口とはいえ、同じ怪談話ですが…果たして、心拍数はどのように変わるのでしょうか?結果は…なんと、3人とも心拍数が大きく上がっていました!さらに、他の3人で、今度は早口を先、ゆっくりを後にして同じ実験を行いましたが、やはり、早口の方が心拍数が上がっていたんです。
 たしかに、早口の怪談では緊迫感を感じるようですが、一体なぜなのでしょうか?専門家に聞くと…「早口で話されると私たちは注意深く聞こうと一生懸命前のめりに聞こうという積極的な態度が生まれてきます。またどうしても、早口の相手の興奮状態に同期するように、自分たちも同じ様に興奮していってしまうものなんです。語り手の世界にどんどんと自分から引き込まれるようになっていきますので非常に恐怖を感じやすい状態に自ら作っていってしまう」そうです。

所さんのポイント
ポイント2
怪談が怖い理由②:早口によって語り手の"緊迫感"が聞き手に伝わりやすくなり、結果、"恐怖を感じやすい状態"になるのだ!

③「1人vs大勢」聞き方で恐怖度は変わる?

 連日、各地で催される「怪談ライブ」。身の毛もよだつ「怖い話」聞きたさに、客席は超満員!でも、怖い話は"1人で聞く"からこそ、より怖さを感じられるのでは・・・?怪談ライブに訪れるお客さんに聞いてみると、みなさん大勢で聞いた方が怖いというんです。一体どういうことなのか?
稲川さんに聞いてみると…「怪談ていうのはジェットコースターと同じ人がいて悲鳴上げたり怖がったりするからおもしろいんですよ」との事です。1人より大勢の方が怖い?

 そこで目がテン!大実験。怪談を1人で聞いた場合と大勢で聞いた場合、どちらが、より怖く感じるのか?検証します。怪談を披露してくれるのはプロ怪談師の「城谷渉」さん。
 まずは女性に、ひとりで怪談を聞いてもらいます。彼女には、発汗で精神的な動揺を測る機器を装着してもらいます。平常時の数値を基準として、それより上回れば、「恐怖」を感じているということです。それでは実験スタート。序盤。基準値から徐々にグラフが上がり、さっそく恐怖を感じ始めました。中盤になると、グラフはさらに上昇。表情もかなり引きつっている様子。しかし…クライマックスに差し掛かると、なぜかグラフは下がり始めてしまいました。前半は恐怖を感じていましたが、後半に入ると、基準値を下回り落ち着いてしまったようです。もう1人の女性も同様に、1人で怪談を聞いてもらいましたが、やはりクライマックスが過ぎると冷静になってしまいました。

 では、大勢で聞くと、より恐怖を感じるのでしょうか?今度は、番組で用意した5人の男女と共に、女性に怪談を聞いてもらいます。それでは、実験スタート!序盤は、1人で聞いたとき同様、徐々にグラフが上がって行きます。中盤に差し掛かると、グラフはグングン上昇。1人のときは下がり始めたクライマックスしかし、今度はまったく落ちる気配はありません。結果、なんと!大勢で怪談を聞いた女性は、一度も基準値より下がらず上がり幅も大きかったんです。つまり、1人で聞いた人たちよりも、より強く、恐怖を感じていたんです。さらに、もうひとりの女性にも大勢で聞いてもらったところ、同様に、上がり幅が大きかったんです。でも一体、なぜ大勢で聞いた方が怪談をより怖く感じたのでしょうか?専門家に聞くと…「私たち人間というのは1人単独に比べて大人数でいた場合に"覚醒水準"が上がります。要するに興奮しやすい状態になるためにちょっとした引き金で行動に出やすくなる。大人数で怪談を聞いた場合には怖がっている方が周りにいるのでたちまち興奮しやすくなって怖がってしまう」との事です。

所さんのポイント
ポイント3
怪談が怖い理由③:"怖がっている人が周りにいる"と、ひとりで聞く時より興奮度が増し、より恐怖を感じやすくなるのだ!




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