知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


アイドル の科学・第3弾
第1260回 2015年1月25日


 科学のチカラで、普通の女の子でも人気アイドルになれるのか?そんな疑問を解明するべく、目がテン女性スタッフにより結成された理系アイドルグループ「リトマース」。マーケティングや心理学など専門家の理論を活動に盛り込み、初の単独ライブでは、普通なら1年かかるという「100人の集客」を、わずか2週間で達成!
 そして次なる一手は…幅広い世代から愛される"楽曲作り"!リトマース・人気アイドルへの道 第3弾は…目指せ!ファン層拡大!科学のチカラで心に響く楽曲作りに挑戦しま〜す! 

①名曲・ヒット曲に隠された"ある共通点"

 リトマースの新曲を"人々の心に響くもの"にするべく、往年の名曲やヒット曲を調べると、驚くべき事実を発見しました!
 たとえば、1970年代の名曲「青春の影」。そして、毎年冬になると必ず耳にする定番曲「クリスマス・イブ」など。専門家によると、これらのヒット曲・名曲には"ある共通点"があるというんです!
 昭和音楽大学専任講師・森篤史先生によると、「どの曲も"カノン進行"でできている」と言うんです!カノン進行とは、『カノンとジーグ ニ長調』で使われた和音の組み合わせのこと。
 そして「カノンとジーグ ニ長調」は、パッヘルベルという17世紀の作曲家が作った曲。その曲の一部分が「パッヘルベルのカノン」と呼ばれています。
 ランララ・ランララ♪というメロディではなく、伴奏が「カノン進行」なんです。300年以上経った今も、あらゆる楽曲に使われています。"カノン進行"とは、和音が一定の順番で進むことを言います。
 和音とは、「ド」「ミ」「ソ」や「シ」「レ」「ソ」など、3つ同時に弾くことが多い、ハーモニーの音。分かりやすくする為、和音の一部を取り出して指1本で弾くと、音はだんだん下がっていき、最後に上がる。そしてまた同じように下がっていき、再び上がる。
 この繰り返しが『カノン進行』の特徴です。そして先ほど紹介した名曲にも、すべて"カノン進行"が使われています。伴奏を左手の指1本で弾くと、『パッヘルベルのカノン』『青春の影』『クリスマス・イブ』どの曲も、左手は同じ動きになりました。ちなみにこのカノン進行、日本だけでなく海外でも使われており、その代表曲がビートルズの「レットイットビー」。

所さんのポイント
ポイント1
国内外の名曲の多くには、"カノン進行"が使われているのだ!

②最新科学・ビッグデータで分析!"ヒット曲に多い歌詞"

 曲作りに科学の要素を発見したところで…リトマースの新曲にもこの要素を盛り込みたい!と楽曲作りをお願いしたのは、音楽制作集団スクランブルズ!スクランブルズは、リトマースのステージデビュー曲「恋の火曜日5時間目」の楽曲制作チーム。今回、お願いしたポイントは「カノン進行を入れること」と、「セカンダリー・ドミナントを入れること」。そして、「幅広い世代の心に響かせたい」。一方、楽曲作りと共に、歌詞づくりも始めなければいけません。人々の心に響く歌詞はどうやったら作れるのでしょうか?そこで、立教大学経営学部・佐々木宏教授に伺うと、「ビッグデータを使って分析をすれば、可能になる」とのこと。
 ビッグデータとは、スーパーやコンビニでの商品購入履歴やICカードによる乗車履歴、そして高速道路の渋滞情報など、世の中に溢れる「ありとあらゆるデジタルデータ」のこと。インターネットに書き込まれた口コミや情報などもたくさんあるので、いま人々がどんなことを考えているのか、どんな気持ちでいるのかを分析できるツールとして注目されています。でもそのビッグデータで本当に、心に響く歌詞を作れるのでしょうか?佐々木先生によると、「ヒット曲を分析すればできると思っています。そこには、おそらくヒットする理由もありますし、最近で言うと震災以降に人の気持ちというのは大きく社会的に変わっているかもしれません。例えば2011年以降の歌詞を全部取り出して分析することによって、そこに世の中のトレンドとか人の心に響く言葉とか、そういうものを取り出すことができるんじゃないか」との見解が!そこで、佐々木教授ご協力の元、歌詞のビッグデータ分析を開始!2011年以降の、月間売り上げトップ10の歌詞を全てピックアップし・・・それを「名詞」「動詞」「形容詞と副詞」に分類。使われている回数順に並べると・・・例えば名詞は「今」「心」「いつ」。動詞は「いる」「見る」「信じる」。
 形容詞と副詞は「もう」「そう」「きっと」。さらに、単語の組み合わせでは、「手」「伸ばす」「そば」「いる」「手」「つなぐ」などが多かったんです。
 さらに佐々木教授は、「つながりとか人に関する言葉がすべての歌詞の名詞の13%を占めている、と。そうすると一番身近な家族だとか、両親、弟、、妹とか、そういう人と人との「つながり」についての歌詞が上手くできれば人々の共感を得ることができると思います」。
 ヒット曲の歌詞から浮かび上がった、「つながり」というキーワード。そこで今回の新曲のテーマは「家族への感謝」に決定!
 このテーマと、ビッグデータから浮かび上がったフレーズをつなぎあわせ、歌詞を完成させるのは…目がテンの構成作家・竹越くん!リトマースのステージデビュー曲、「恋の火曜日5時間目」の作詞も、彼が担当しました。

 早速、楽曲の作詞作業に励みます。と、竹越くん、なにかを懸命に読んでいます。実は、今回の歌詞にメンバーの想いを反映させようと、全員に"両親への感謝の手紙"を書いてもらっていたんです。その中身は、普段は言いづらい、手紙だからこそ伝えられる素直な想いが・・・。そんな中、先日、スクランブルズに依頼した楽曲が完成。そして作詞の製作にも強力な助っ人が!文学研究の傍ら、詩人としても活動している茨城大学・教育学部の橋浦教授です!去年放送した「マンガの科学」でもご協力頂き、漫画家志望の皆川くんと共にストーリーを練り上げてもらいました。見事、雑誌編集長から高評価を受ける結果へ導いた立役者です!早速、竹越くんへの講義がスタート!
 今回、我々の目標である「人の心に響く歌詞」を作るため、教授が選んだ教材は中原中也の叙情詩。実は、歌詞とは、人の感情や思いを表現する叙情詩の1つなんです。
 注目したのは、タイトルにもなっている文章。橋浦先生は、「汚れっちまった悲しみにっていうのが、各連に2行ずつ出てくるわけです。つまりこれは『反復』」と解説。「汚れっちまった悲しみに」という文章が規則的に繰り返される『反復』によって、詩全体にリズムを生み出しているというんです。さらに橋浦先生は、「反復する要素と展開する要素。この2つでだいたい叙情詩はできている」と解説。反復だけでは同じ事の繰り返しで前に進まない。けれど展開ばかりでもストーリーが理解しづらい。この「反復」と「展開」のバランスが大切なんだとか。
 講義をふまえ、歌詞を見直すと、さっそく「反復と展開」を生かす場面が!先生が提案したのは1番のサビ。「あの日から変わらない」を「いつもいつも変わらない」に変更。そして2番のサビも「いつもいつも懐かしい」に変更し、「反復と展開」に当てはめました。詩人・中原中也の要素も盛り込んだ作詞会議は、スタートから6時間後にようやく終了!こうして、文学の専門家ご協力の元、「ビッグデータから浮かび上がった歌詞」と「ヒット曲に共通するカノン進行」を組み合わせ目がテン流「心に響く楽曲」が完成!果たして、どんな曲が出来上がったのでしょうか!?


③科学の力を駆使した新曲「遠いけど、ただいま。」完成!

 楽曲・歌詞が完成し、いよいよレコーディングがスタート!
 慣れない作業に緊張する様子もありましたが、メンバー全員、無事にレコーディング終了。メンバーのみすみは、「すごく良い曲なんでできれば多くの人に届いてほしいと思った」と楽曲への自信を語りました。
 そして、新曲のタイトルは「遠いけど、ただいま。」に決定。
 果たして、科学の力を結集させた楽曲は幅広い世代の心に響くのでしょうか?今後の活動にますます目が離せません!



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