知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


第2回 実験グランプリ
第1263回 2015年2月15日


 目がテン!第2回「実験グランプリ」。自慢のおもしろ実験を引っさげて、全国からチャレンジャーたちが実験激突!足立区立弘道小学校5年生の皆さんが審査します。科学の力を駆使したお役立ち実験が満載。

①サイエンスコミュニケーショングループ「SCOUT」の簡単!便利で!おいしい実験

 茨城県の筑波大学。子どもたちに何やら教えているのが学生と大学職員が参加している、筑波大学サイエンスコミュニケーショングループ「SCOUT」のメンバー。子どもたちと一緒に体を動かして実験することで、子どもたちに科学の楽しさを伝えたい!そんな願いを込めて、イベントなどを行っています。
 そんな彼らが、今回見せてくれるのは「簡単!便利で!おいしい実験」。小さいお子さんでもできるその内容は「たったの1分で、美味しいアイスクリームを作る」というもの。用意するものは、牛乳(100ml)、砂糖、バニラエッセンス。こちらを全部混ぜます。次にポリ袋に入った氷に塩を入れて混ぜます(塩の量は、氷の5分の1くらい)。その中に材料の入った袋を入れます。Tシャツのお腹の部分に袋を入れ、裾から首に向かって折りたたみ筒状に。そのTシャツの両端を持ってぐるぐる振り回すこと1分。凍ったアイスができるんです!
 ポイントは、氷に塩を混ぜたこと。氷だけの温度は0℃ですが、ここに塩を混ぜると、どんどん温度が下がりマイナス19℃くらいになります。これは、家庭の冷凍庫とだいたい同じ温度です。普通水は0℃で凍りますが、塩と混ぜると水が氷になる温度が0度よりももっと低い温度になるのです。普通冷凍庫で凍らせるには、4〜5時間くらいかかりますが、それが1分でできたのは、冷たさの伝わり方にもポイントがあります。暑さや冷たさなどの「熱」は、気体よりも固体や液体のほうが伝わりやすいんです。冷たい空気で冷やす冷凍庫よりも、固体の氷で冷やすほうが早く冷たくなったんです。また、ぐるぐる振り回すことで、氷に接して冷えた外側と、まだ温かい内側の液体が入れ替わり、冷たさが全体に伝わりやすいんです。さらに、冷凍庫で作るとそのまま固まるのでカチコチですが、ぐるぐる回して作ると空気が入るので、口当たりふわふわのアイスになります。

所さんのポイント
ポイント1
この方法を使えば、早くできる上に美味しいアイスができるのだ!

②「麻布Fショップ」のシリカゲルの力と意外な使い方

 東京港区麻布十番に店を構えるシリカゲル専門店。シリカゲルは、クッキーやおせんべいなど、食品の乾燥剤として知られています。ショップには、いろいろな種類のシリカゲルが、おしゃれな雑貨屋さんのごとくディスプレイされています。専門店だけに、食品以外にも、クローゼットの中、タンスなどの収納棚、さらには、靴に使うものなど、様々なシリカゲルがいっぱい。このシリカゲル専門店の店長・石井美枝さんは「シリカゲルの力と、意外な使い方を実験でお見せします!」とのこと。
 例えば、シリカゲルが入った容器。シリカゲルを取り除いてみると、中から花が。これはドライフラワー!普通は、吊るすなどして自然乾燥させますが、空気に触れていると色が退色してしまいます。シリカゲルなら、密閉しながら素早く乾燥させることで、元の花の色とあまり変わらない美しい色のドライフラワーを作ることができるんです。
 シリカゲルを形成している成分は、土の中に含まれるケイ素。二酸化ケイ素の結晶で、自然界に豊富にある「珪砂」という砂が原料となっています。これをソーダ灰と混ぜて溶かし「カレット」というガラス質のものに加工します。ここに加熱や乾燥など様々な工程を経てゲル状に加工して完成します。シリカゲルの表面は、たくさんの穴が開いており、ここに水分や匂いが吸着します。水を垂らしてみると、そのたくさんの穴からどんどん水分を吸い上げていきます。さらに、シリカゲルは、研磨剤として歯磨き粉や、お菓子、粉末スープなどの食品添加物としても使われているんです。
 このシリカゲルの吸水力を活用して、いろいろなものをシリカゲルに入れて乾燥させてみると、椎茸や渋柿は、4日程で乾燥シイタケと干し柿になりました。ちなみに、これを利用してすでに魚の干物が作られているんです。海でとれた新鮮な魚を開きにして生のままシリカゲルのシートで包みます。これが送り先に届く頃には、魚の干物ができているというわけです。魚も新鮮ですし、干す手間もなく衛生的です。

所さんのポイント
ポイント2
乾燥剤のシリカゲルは食べ物を加工するのにも便利に使えるのだ!

③富山大学工学部「科学マジックプロジェクト」の「テレパシーマジック」

 富山県富の国立富山大学工学部で活動している科学マジックプロジェクトの皆さん。科学の原理と工学の技術を利用して、摩訶不思議なマジックを生み出しています。ヨウ素が主成分のうがい薬に実験用の試薬(市販のビタミンC剤でも代用可)を混ぜて透明にするマジックなど、多くのオリジナルマジックを地域のイベントなどで披露。子どもたちに小さいうちから工学や理学の面白さを感じてもらえるよう活動するプロジェクトチームなんです。
 今回実験を披露してくれるのは工学部3年生リケジョの鏑木さんと新谷さん。チームを代表して見せてくれる科学マジックはテレパシーマジック!所さんが送るメッセージを見たり聞いたりせずに受け取る、というマジックです。
 まず、所さんに1から100までの中で、好きな数字を一つホワイトボードに書いてもらいます。続いて、スタジオの小学生はアイマスクを付けホワイトボードを見ないで数字を当ててもらいます。鏑木さんが小学生の頭に手を置きテレパシーを送ると…数字を当てることができました! 実はこれは「骨伝導」を使った科学マジック。パソコンを持った同じチームの田林さんが、所さんが書いた文字をパソコンに打ち込み、その音データを無線で鏑木さんのポケットに仕込んであった受信機に送ります。その音データを振動に変換されて、彼女の手に仕込んだイヤホンを頭に当てることで、頭蓋骨を通した「骨伝導」で言葉が伝わったというわけです。通常、音を認識するときは耳から入ってきた音が空気を伝い鼓膜を振動させて内耳の聴覚器官「蝸牛」に振動を送り、そこから脳へ伝達されます。しかし、骨伝導の場合は、今回のように頭に当てた振動が頭蓋骨から、鼓膜を通さず、直接蝸牛に届き、脳へと伝達されます。なので、外の空気から伝わらずに言葉を認識することができたんです。この骨伝導は、骨に直接響いて体の内側に伝達するので、周りがざわざわとしていてもクリアに音が聞こえます。携帯電話や音楽を聞くイヤホン、補聴器などにも利用されているんです。

所さんのポイント
ポイント3
音の振動は頭の骨から伝わっても聞こえるのだ!

 今日は3組のチャレンジャーの実験の中から、小学生審査員たちにグランプリを選んでもらいました。結果は…テレパシーマジックを披露してくれた富山大学工学部「科学マジックプロジェクト」でした。



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