知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


第3回 実験グランプリ [後編]
第1290回 2015年8月30日


 全国から実験自慢が集結!第3回「実験グランプリ」!
 今回は、家でもできちゃうオモシロ実験満載!
 夏休みの宿題に困っている良い子のみんな、自由研究の参考にもなりますよ!今回は後編をお送りします!

①水が一瞬で氷に!冷凍庫でできる過冷却実験

 4組目は、愛知県名古屋市で色々なセラミックスを作る日本ガイシ株式会社。
 この会社では、社名にもなっている「がいし」と呼ばれる、電線と鉄塔の間にある電力を安全確実に送るために、役立っているセラミックスを作っているんです。そのほか、セラミックスの技術を活かした、外からは見えにくいけれど、環境に役立つ製品を作っています。
 そして、ものづくりに携わる会社として、科学の楽しさを広く伝えたい!と科学雑誌やホームページに家でも真似できる、おもしろ実験を掲載。
 専門家監修のもと、実に200種類以上の実験を紹介してきました。
 今回、皆さんが今日見せてくれる実験は…暑い夏に、ヒヤッとおいしい実験!まずは、冷凍庫の中からキンキンに冷やしたお皿とペットボトルの水を取りだします。お水は、冷凍庫から出したにもかかわらず、凍っていません。そしてその水のフタを開け、容器に注ぐと・・・なんとお皿の上で氷になりました!実はこれ、「過冷却」という状態が生み出す現象なんです。「過冷却」とは、水が0度より低くなっても液体のままで凍らない現象のことを言います。そもそも、液体の水は、「水分子が自由に動きまわっている状態」。それを冷やしていくと、水分子の動きが鈍くなっていき、「結晶になって動かない状態」になります。これが凍るということです。
 通常、冷凍庫などでは、冷やされて、一部が凍り始めると、それがきっかけとなり、周りも一気に凍ります。ところが、水がゆっくりゆっくり均一に冷やされると氷点下になっても水の分子が動いたままで凍らない、「過冷却」になることがあります。この過冷却の状態に、衝撃などの凍るきっかけがあると、一気に結晶化して凍るんです。その他、ジュースで試すと、自宅でフローズンドリンクができちゃうんです!
 冷凍用のペットボトルを使い、8分目くらいまでジュースを入れたら、梱包用の緩衝材で2重に巻きます。これは、ボトル全体が均一に冷やされるようにするため。
 機種にもよりますが、冷凍庫の温度設定を「弱」、およそマイナス7度前後に設定。3時間15分冷やし、そ〜っと取り出します。見た目は液体のままですが、ペットボトルを振ると…きっかけが出来て、一気に凍りました!こうして暑い夏にヒヤッとおいしいフローズンドリンクの出来上がり!色々なジュースで試せますが、果肉が入ったジュースは、果肉が凍るきっかけになってしまって過冷却になりにくいので、果肉などが入っていないものを選びましょう。
 続いて、「過冷却」を利用して、幻想的な実験にも挑戦!用意されたのは、大きな冷凍庫と、梱包用の緩衝材。今、冷凍庫の中はマイナス30度くらいです。そして、スタジオの照明を落とし、冷凍庫の中に息を吹きかけると…寒い冬の息と同じように白くなります。ここに、梱包用の緩衝材を潰すと…ダイヤモンドダストが出来たんです!
 冷凍庫の中に息を吹きかけた時、本来は目に見えない水蒸気が、冷やされて細かい水の粒になり、雲などと同じように白く見えています。これは、マイナス30度の中でも凍らない「過冷却」の状態です。そこに、緩衝剤を潰すと、その部分の気圧が急激に変化します。この気圧の変化がきっかけとなり、水の粒が一気に凍って、氷の結晶になったんです。これがダイヤモンドダストです。自然界では、気温や環境の条件が揃わないとめったに見られない貴重な現象を人工的に再現した実験でした!


②謎の仮面男が実演!すぐマネできる風船実験

 5組目は、なんとなくユージさんに似ている、アメリカから来た?謎の男「ミスターU」さん!披露する実験は…石より速く風船を落とす術。
 まずは、風船と石を同じ高さから落としました。結果は当然・・・石が先に落下。続いて、この風船を「石と同じスピードで落下させる」と予告。小学生に手伝ってもらい、同じ高さから石と風船を落とします。するとミスターUさん、本の上に風船を載せました。すると・・・風船が石と同じスピードで落ちました!手を離すタイミングをぴったり揃えて見てみると…確かに、同じスピードで落下しました!
 では、一体なぜ風船がゆっくり落ちるのかというと・・・空気抵抗があるからなんです。空気が風船の下にもあるため、軽い風船は速いスピードでは落ちません。一方、本は重いので、空気抵抗の影響をあまり受けず、速く落下します。本にぴったり付いているとき、風船は、下からの空気抵抗を直接受けないため、本と同じスピードで落下したというわけなんです。


③真空砲でピンポン球発射!空気の威力で空き缶が…

 6組目は、埼玉県南埼玉郡にある、日本工業大学。大学構内には、現場で役立つ学問「実工学」を学ぶための施設が整っていて、学生たちが、高いスキルを身に着けられるんです。本日スタジオに参戦するのは、大学で教鞭をとる服部邦彦教授。服部先生は、プラズマ物理学の専門家。気体、液体、固体に加え、物質の第4の状態と言われるプラズマは、電気を帯びた粒子の集まり。
 そんな先生の実験テーマは、私たちにとって、もっとも身近な「空気」の威力を見せてくれるそう!まず用意したのは、プラスチックの下敷き。これを机の上に置き、机から真上に持ち上げると・・・全力で引っ張ってもはがせません。実は、下敷きの上には、目には見えませんが実は空気が乗っているんです。1平方センチ辺り1kgの空気圧がかかるので、25cm×20cmのこの下敷きには、500kgの空気が乗っていることになるんです。つまり、人間ひとりの力では持ち上げることはできないというわけなんです。でも、服部先生によると、下敷きの下にも空気があるため、続いて、さらなる空気の威力を見るのに、準備されたのは、長い筒。空気の力で、この軽〜いピンポン球が、とんでもない威力を発揮します!
 そのシステムがこちら!透明の塩ビの筒が固定されていて先端には、アルミテープで蓋がしてあります。その反対側にピンポン球を入れて蓋をし、真空ポンプで筒の中の空気を抜きます。筒の中は真空なので、蓋を開けた方から空気が入ってきて、空気の力でピンポン球が反対側に押し出されます。では、一体どのくらいの勢いで出てくるのか、出口にアルミの空き缶を置き、蓋を開けると・・・なんと目には見えない速さでピンポン球が空き缶を突き破りました!そのスピードを、スーパースローで見てみると…ピンポン球がぶつかる前に、缶が凹んでいます。これは、ピンポン玉に押された空気が缶を押しているからなんです。そしてピンポン玉が時速約900キロ、ジェット機並みのスピードで飛んできます。このパワーが缶を貫いたんです。


前編・後編に渡って紹介してきた実験グランプリ。
小学生審査員たちが選んだ、栄えある第3回のグランプリは・・・日本工業大学服部教授の「真空砲実験」に決定!おめでとうございます!



物・その他編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧
番組に対する、ご意見、ご感想等ございましたら、番組メールボックスの方にお寄せ下さい。
宛先は、 megaten@ntv.co.jp です。
原則、質問にはお答えできませんが、頂いたメールは、番組スタッフが閲覧し、今後の番組作りの参考にさせていただきます。