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田舎暮らし の科学
第1294回 2015年9月27日


 自然をテーマに研究してきた科学者たちが田舎暮らしを実践!科学の力で誰もがやってみたくなる田舎暮らしを目指す長期実験企画!農業の専門家、自然エネルギーの専門家、野生動物の専門家が全員登場スペシャル!

①赤飯の材料「ササゲ」と「もち米」

 昨年11月。初めて訪れた時、荒れ放題だったこの場所は真夏を迎え、緑豊かな光景に変わりました。その中の一つ、普段あまり耳にしないササゲは、日本に9世紀ごろ伝わったと言われる古式ゆかしいマメ科の作物。これは秋の収穫でお赤飯を作るために植えたもの。お赤飯といえば小豆というイメージがありますが関東圏ではササゲを使います。小豆はササゲと比べ皮が薄いため調理するとぱっくり割れてしまいます。これが、切腹を連想させるとされ武家中心の社会だった関東圏では、今でもお赤飯には皮が割れにくいササゲ豆なのです。今回収穫したのは、だるまに似た形をしていることから、だるまササゲと名づけられた品種。スタッフも手伝い、完熟したササゲをもいでいくとバケツ2杯分も収穫できました。これを風通しの良い「たも」に入れ、収穫祭の頃まで物置で保存します。気になるのは、もう一つのお赤飯のキモ「もち米」も松村先生の肩ほどまでに成長。もみの中で徐々に大きくなるお米によって稲穂がおじぎを始める10月上旬に稲刈りを行う予定です。

所さんのポイント
ポイント1
もち米は、もみの中でお米が育つ「登熟」と言われる時期の真っ最中!もう少ししたら稲穂の頭が垂れて収穫の時期を迎えるのだ!


②ひみつ道具「ソーラーパワーポンプ」登場

 連日、記録的な猛暑が続いた2015年の夏。田舎暮らしの土地では、雨がほとんど降らなかったため、畑がカラカラになり作物に水をやらないといけませんでした。水田の脇に作った池から、ジョーロとバケツで水を汲む作業。陽の光がギラギラと降り注ぐ中、畑と池を何往復もするのは、なかなか大変で体力を使います。すると、松村先生は「根本先生、ポンプ作ってくれないかな…なんかいいの考えてよって言っておいてください」とのこと。これには、連日水汲みのお手伝いをしていたスタッフも大賛成!すぐに自然エネルギーの専門家・根本先生に依頼しました。そして後日、根本先生が持ってきたのが「ソーラーポンプ」。ポンプはお風呂のお湯をくみ上げるのに使う市販の製品。通常はコンセントをさし、電源から電気が供給されて動きますが、これをソーラーパネルにつなぎ太陽エネルギーから作られた電気で動くようにしてあるんです。さっそく池でセッティング。そして待つこと数分。太陽エネルギーをソーラーパネルで電気に変え、太陽電池の電気でポンプが動き出し、ホースから水を流すことができました。この日は試しにくみ上げただけなので、ホースは畑まで届いていませんが、長いホースさえ取り付ければ、池の水を畑に簡単にまけるようになります。
 すると先生たちは、この池で魚を養殖できないものかと相談し始めました。でも、穴を掘って水を貯めてあるだけの池で魚を飼うことができるのでしょうか?そこでスタッフは魚に詳しい専門家を捜索。すると、田舎暮らしの土地で魚を飼う計画に興味を持ってくれる科学者が見つかりました!

所さんのポイント
ポイント2
田舎暮らしの池でどんな魚を養殖できるのか楽しみなのだ!


③イノシシ調査プロジェクト本格始動

 8月下旬。田舎暮らしの土地に久しぶりにやってきた野生動物の専門家・山本先生。実は、収穫が盛んなこの時期は美味しく実った作物を狙って里に下りてくるイノシシの被害が増える時期。今年も全国各地でその被害が相次いでいます。中には農作物だけではなく、人に危害を加えるケースまで。田舎暮らしの土地では、山本先生のアドバイスで5月に電気柵を設置しました。まず先生は、電気柵がちゃんと機能しているかチェックすることに。すると、電気柵の手前にイノシシの形跡を発見。しかも1か所だけではありませんでした。もし電気柵を設置していなければ、ササゲもイネも今頃は見るも無残な状況だったはず。電気柵のおかげです!
 さらに今年5月から山本先生が取り組んでいたのは田舎暮らしの土地の裏山でのイノシシ調査。地元猟友会の協力のもと、罠を張りイノシシを生け捕りにします。そのイノシシに電波を出す発信器を取り付け山へ返し、電波を受信機で拾い行動範囲を調査しようというもの。その調査の話を聞き、市役所に勤める梶山さんがやってきました。実は常陸太田市では、地元猟友会に委託し農地を荒らすイノシシの駆除を行っています。その捕獲頭数は増えているにも関わらず農地での被害金額は増加の一方なんだそう。つまり、駆除よりもイノシシの増加の方が優っているのです。市役所の梶山さんは「イノシシの行動範囲、行動時間など、今回の実験を参考にしたい」とのこと。山本先生が始めたイノシシの行動調査。これは、ここ常陸太田市の農地にとっても有益な情報になるのです。
 罠は2か所、田舎暮らしの土地の裏山に設置してあります。罠のそばの木に、匂いの強いコールタールを塗りました。匂いの強いものを体にこすり付けるイノシシの習性を利用し、おびき寄せ、落ち葉でカモフラージュした罠にイノシシの足が入ると捕獲できるという仕組み。監視カメラを設置して6月のある日、ついに、巨大イノシシが罠にかかる様子がカメラに映ったのです!翌日、地元猟友会と共に現場へ。この日、山本先生は来られませんでしたが研究仲間である野生動物の専門家チームが麻酔銃を持って同行。畑仕事を中断し、松村先生も見学に来ました。猟友会の方が指さしたその先にいたのは体重およそ70kgの巨大なイノシシ。この大きさに襲われたら、人間はひとたまりもありません。まず、専門家チームが麻酔銃を撃ち、イノシシが眠りについたのを確認してからイノシシの足についていた罠を外し、耳に電波発信機を取り付けます。
 それから体重測定や、蹄のサイズ計測。そして口を開け、歯の状態から年齢を推察。このイノシシは、68kgで4才以上だとわかりました。最後に麻酔を覚ます薬を投与し、動き出したイノシシは森の茂みに消えました。そして8月。イノシシの行動調査を開始します。今回、山本先生の教え子も調査に協力。さっそくイノシシに取り付けた発信機の電波を探すと、いきなり電波をキャッチ!受信する範囲は受信機からおよそ600m。つまり、この先600mの範囲にあのイノシシがいるということ。今度は、少し離れた位置へ移動。再び受信させます。別の場所から受信できれば、その交差するあたりにイノシシがいることがわかるのです。しかしこの調査、一日行っただけでは意味がありません。今後、1年間通じて行えば、ようやく利用できる行動データになるのです。今、その第一歩を歩み始めました!

所さんのポイント
ポイント3
罠は半径2m程度まで動けるようワイヤーに余裕が持たせてあるから、山で罠にかかったイノシシを見ても絶対に近づいてはいけないのだ!




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