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田舎暮らし の科学
第1298回 2015年10月25日


 科学の力で、誰もがやってみたくなる田舎暮らしを目指す長期実験企画。今回は、お月見を最高に満喫するためのプロジェクトに挑みます!

①秋に季節外れのヒマワリが満開?

 9月中旬。真夏が終わり、秋の風が吹き始めた田舎暮らしの土地に、なぜか季節外れのヒマワリが満開。このヒマワリは、ジャガイモの収穫が終わった場所に種を蒔いたもの。ジャガイモの収穫が7月初めだったため、9月中旬の今、見ごろを迎えていたのです。どうしてヒマワリを植えたのかというとワケがあります。ジャガイモを育てるために与えた肥料の成分は全てが吸収されず、ある程度は土の中に残ってしまいます。しかし、残った肥料の成分を放っておくと雨で地下に染みこみ河川に流れ込みます。そうすると植物プランクトンが急激に増殖してその結果、酸素不足になり魚が住めない川になってしまうのです。そこでヒマワリを植えれば、残っている肥料を吸収してくれるのです。ヒマワリは花が枯れ種ができる前に、すべて粉砕し、土の中に混ぜ込んで肥料にします。こういうヒマワリのような植物を「緑肥」と言い土の中に混ぜた後は、ゆっくりと分解されるので肥料の成分が地下水へ流れ込みにくいのです。使った肥料で余った分をヒマワリに吸収させ再利用するのです。このような循環型の農業こそ松村先生の専門なのです。

所さんのポイント
ポイント1
ヒマワリは土壌成分の吸い上げの力がスゴいから、粉々にして畑に戻すと来年も肥料として利用できるのだ!


②お月見に向けて露天風呂を作ろう!

 9月22日。露天風呂計画のため、田舎暮らしの土地を初めて訪れたユージ。事前にどんな露天風呂を作るか完成予想図を作りました。とはいえ、1人で露天風呂を作るのはあまりに大変なので協力をお願いしたのは、地元工務所の根本さん。まずは、お風呂を設置する場所。田畑の全景が楽しめる、この高台に露天の岩風呂を作ることに!続いては岩風呂のベースとなる、肝心の岩!実は、田舎暮らしの土地には、巨大な岩がゴロゴロ埋まっていました。さっそく岩を、重機を使って運びだし岩風呂作りスタート!まずは穴を掘り、お風呂のベースとなる、水漏れしない金属の箱を埋め、箱の周りに、掘り出した大岩を置いていきます。岩と岩の間にできてしまった隙間を埋めるための石として、ユージが目をつけていたのが土地を開墾する際、大量に出てきた石。今まで、他に使い道がなかったこの石を岩風呂として利用します。小さいとはいえ、一つ3,40キロはある石。これを手押し車に2、3個積み、一気に坂を駆け上がります。若さと体力が勝負のこの作業。繰り返す事およそ3時間。これだけの数があった石を全て運び終えました。その頃、辺りはすでに夕暮れ。この日の作業はここまでです。
 翌日、お月見まであと4日。この日、ユージさんから作業を引き継いだのは、もう一人の実験プレゼンター酒井。この日は、昨日、風呂の周りに並べた大岩の隙間にユージが運んだ石を詰めて、セメントで固めていく作業。セメントを使うのは初めてという酒井は最初はおぼつかない手つきでしたが、3時間も経つと大分手馴れてきました。そして、ユージと酒井が協力して作り上げた露天風呂が完成!浴槽は、ぜいたくにひのき張り!岩積みも風情ある仕上がり!お風呂の奥には、酒井さんが作った脱衣所。下にすのこを敷き、すだれで目隠しをするという酒井さんらしい工夫が。お風呂に入った人が、田畑を一望できる立地も抜群です!

所さんのポイント
ポイント2
先生たちも想像以上の完成度に喜んでくれたのだ!


③湯沸し器も作ろう!

 迎えた9月27日、中秋の名月。根本先生のお湯作り開始!この岩風呂のために、先生が用意したのはロケットストーブ。ロケットストーブは、煙突の下で薪を燃やすと、上昇気流が起き、薪が完全燃焼するため、煙突の上から効率よく熱を取りだせる装置。以前から、これでそばを作ったり、ジャガイモをふかしたり田舎暮らし生活で活躍して来ました。
 根本先生はこのロケットストーブをお風呂のお湯が沸かせるように改良してくれました。ポイントは、中に差し込んである、グルグルに巻いた銅で作られた管。管の片方にポンプを取り付けお風呂に張った水を循環させます。ロケットストーブ内部で熱せられた管の中をお風呂の水が通ることで温められ、お湯になって出てくるという仕組みなのです。これは、ガス湯沸かし器や昔の薪で沸かすようなお風呂と基本的には原理は一緒。ただ、ロケットストーブと組み合わせて携帯型なのでアウトドアのところに持ち運べるのです、その名もロケットボイラー。そして、このロケットボイラーにはさらにすごいポイントが!お湯を回すポンプは発電鍋を使うのです。鍋には熱電変換素子という熱が加わると電気に変換するという素子が入っており、これをロケットボイラーの上に乗せ発電した電気でこのポンプを回すのです。つまりこれは、電気もガスも使わず、さらに簡単に持ち運びも可能な温水器なのです!
 根本先生のお湯作りの間、松村先生はお月見の準備。飾り用に畑の横に生えていたススキを刈り取り、紅色が美しいベニマサリを収穫!続いて里芋も収穫!里芋は、植えた種イモの真上に親イモと呼ばれるイモができます。その親イモから子イモ、子イモから孫イモと種イモの周りに次々とイモができるのです。収穫したばかりのサツマイモと里芋。そしてススキをお供えしたころには辺りはもう真っ暗。根本先生が付きっ切りで、ロケットボイラーに薪をくべ続け、ついにお風呂にも湯気が立ち上り始めました!酒井も合流して宴会開始。圧力なべでふかした採れたての里芋は、お醤油をほんの少しだけつけて頂きます。特に孫イモは一番の美味。そうこうしていると見事なお月様が雲の間から姿を現しました!お風呂を作った酒井が一番風呂!湯加減は上々に保たれています。3人でふかしたサツマイモを食べながら湯につかり、ほぼ真ん丸の十五夜お月様を眺めました。

所さんのポイント
ポイント3
都会では味わえない、とっても贅沢な一夜になったのだ!




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