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定番土産 の科学
第1314回 2016年2月21日


 間もなく春の旅行シーズン。旅行先でついつい買っちゃうのが定番土産!
 中でも不動の人気を誇るのが、浜名湖名物・うなぎパイ!さらに!北海道の定番土産といえば「マリモ」!マリモはなぜ丸いのか?そもそもマリモって何なのか?その知られざる神秘の世界を探ります!今回の目がテン!は、有名なのに謎がいっぱい、「定番土産の科学」です!

①旅先でなぜ欲しくなる?定番土産を買っちゃう理由

 東京駅構内にあるお土産専門店。店内には1000種類以上の東京土産が並んでいます。気軽に食べられるお菓子は、お土産の定番。その他、グッズをお土産に買う人も。そんな数あるお土産グッズの中で売り上げナンバーワンは…定番のキーホルダー!しかも、東京タワーや東京駅などわかりやすい名所を象ったものが特に人気なんだとか。でもキーホルダーって、そんなにあっても付ける場所に困りますよね?さらに、東京以外のお土産でも、やはり、あまり実用的でないものがあがりました。なぜ旅行に行くとそのような実用的ではないお土産を買っちゃうんでしょうか?
 観光行動に詳しい、東洋大学・国際観光学科の古屋秀樹教授に聞いてみると…「お土産は、自分自身が新たな場所に行ったという自己達成の証になるという効果と、もうひとつは、他の人に、行ってきたという報告、顕示を示す。新たなところに行ったということを自分で、目に見える形で証拠として残しておきたい。そういう意味で形とか文字が入っているということが極めて重要」と分析。

所さんのポイント
ポイント1
旅先で買うお土産は、実用的ではなくとも、一目でどこへ行ったかが分かることが重要。手に入れることで、より旅の達成感が得られるものだったのだ!


②特別天然記念物がなぜお土産に?「お土産マリモ」のヒミツ

 観光スポットとして大人気の北海道!お土産もたくさんありますが、中でも昔から変わらぬ定番土産といえば…マリモ!このマリモ、今も根強い人気を誇る北海道の定番土産!でも、マリモってその正体は何なのでしょうか?
 ヒミツを探るため、向かったのは、釧路空港から、さらに車で1時間半の…マリモの生息地「阿寒湖」。冬のこの時期、湖は氷でカッチカチ!スノーモービルやアイススケートなど冬のレジャーを楽しむ人がいっぱいでマリモの気配は一切なし。そこで向かったのは、阿寒湖畔にある、世界で唯一のマリモ専門研究室。迎えてくれたのは、"マリモ博士"こと若菜勇さん!謎だらけのマリモを25年間研究し続けているスペシャリストなんです。まず見せてくれたのは…水槽に入ったマリモ!
 そもそもマリモは、光合成で生きる植物。さらにその正体がわかるものがあるといいます。見せてもらったのは、以前採取したマリモを乾燥させたもの。大きなマリモの中は空洞になっていて、その周りには、1本1本細い糸状の藻が!実はこれが、マリモの始まり。小さな藻が絡み合って固まりとなり光合成で成長し、大きくなっていきます。さらに、一本一本が枝分かれしていくので横にも広がりながら成長します。同じ種類の藻は、世界各地で見られますが、大きな丸になるのは、世界中でも阿寒湖だけなんです!なぜ阿寒湖だけでそんな現象が起こるのでしょうか?およそ2年前、その決定的瞬間をとらえることに成功しました。若菜さんたち研究者も初めて見たという世界初の映像!ゆらゆらと波に揺られているように見えるマリモ。しかし、早送りしてみると…なんと、マリモがクルクルと回転!転がるのではなく、その場にとどまりながら回っていたのです。
 一本一本が光合成で大きくなり、さらにその場で回転することでまんべんなく光が当たり、形も整ってまん丸のマリモが誕生するのです。でも、一体なぜ阿寒湖のマリモは回転するのでしょうか?阿寒湖の中でも、丸くて大きなマリモが群生しているのは、2つの湾だけ。ここに、夏の時期、太平洋側から風速7m程の強い風が吹きます。この風が起こす波により、水の中で丸い円を作りながら動く、円運動が起こります。この円運動が湖底のマリモに伝わり、マリモがその場でクルクルと回転する、というわけなんです。阿寒湖はこの現象が起きるのに、最適の大きさなのだといいます。奇跡のような現象で生まれた阿寒湖のマリモは、国の特別天然記念物に指定されています。でも、そんな貴重なものをお土産で売っちゃっていいのでしょうか? 実は、売っているマリモはすべて養殖しているものだと言うんです。そこで札幌郊外にある会社へ。中にお邪魔させてもらうと…そこにはキレイに丸まったマリモがいっぱい!
 作り方は企業ヒミツとのことですが、こちらでは、阿寒湖以外で取れた藻を独自に養殖。それを職人さんが一つ一つ手作りで丸くしているんです。人の手で作るので、大きさも自由自在。

所さんのポイント
ポイント2
おみやげのマリモは、職人の技で作られていたんです!


③なぜ"夜のお菓子"?不動の定番土産「うなぎパイ」

 1961年に誕生した、浜名湖の定番土産「うなぎパイ」。なぜ夜のお菓子なのか?工場にお邪魔すると…1日20万本のうなぎパイを製造しているそうです。作るのはうなぎパイ職人と呼ばれる従業員たち。
 1日20万本のうなぎパイを製造しているそうです。まずは材料を拝見。うなぎの骨や頭で取った出汁を粉末にした「うなぎ粉」。そこに、うなぎパイ用に特注したバターを投入。機械で軽く混ぜたら、うなぎパイ職人の出番。生地の弾力などを確かめながらこねるため手作業が欠かせないんだとか。そして今度は機械で生地を伸ばします。これをタオルのように折り畳み…さらに麺棒で伸ばしてまた折りたたむ。これをひたすら繰り返し、何層にも折り重ねていきます。この状態で一日寝かし、今度は仕上げの部屋へ…ここでも「うなぎパイ職人」さんたちが大活躍!生地にグラニュー糖をまぶし、再び伸ばして折リたたむの作業を繰り返して、ようやく生地が完成。機械でカットされる生地。この断面に9000近くもの生地の層があるんです。これが焼き上がりのポイントになります。最後に長さ12メートルの窯で、10分程焼きますが、この時の焼けるパイの様子を見せてもらうと…9000近く重ねた層を、沸騰するグラニュー糖が広げていき、パイが膨らんでいくんです。そして仕上げに塗るのは、"秘伝のタレ"。実は、隠し味にニンニクが入っているそうです。こうしてうなぎパイの完成!でも、そのキャッチフレーズが「夜のお菓子」って、どういう意味!?
 夜のお菓子の本来の意味は、うなぎパイを作った二代目社長が、お土産を買って帰って、その日の夜、家族皆で食べてほしいという、夕食後の一家だんらんを願ってつけたキャッチコピーだったんです。

所さんのポイント
ポイント3
夜のお菓子には、一家だんらんを願った心温まる思いが込められていたのだ!


④パイにすればおいしくなる?世界一臭い缶詰で実験!

 いま、全国47都道府県すべてにご当地の名物を使ったパイが存在!まさに日本は「お土産パイ列島」と言っても過言ではありません!中には、「ふなずしパイ」などニオイが独特なお菓子も。実はパイにすれば、ニオイが強い食材も臭みが取れて美味しくなると言うんです!
 ならば、試してみましょう!お茶の水女子大学の調理科学専門・露久保美夏先生に協力してもらい、こんな実験!お土産の王道、まんじゅう、クッキー、パイをベースに、ある食材をお菓子にしてみます。その食材とは…世界一臭い缶詰「シュールストレミング」。汁が飛び散らないよう、袋の中で缶をオープン!どのくらいクサいのか、腐敗、発酵臭の原因となるガスの量を計るセンサーで計測。ちなみに、納豆は120、キムチは157でした。ではシュールストレミングは…なんと!計測不可能な1000越え!強烈な匂いを放つシュールストレミングは、果たして美味しいお菓子になれるのか?それぞれの材料に同じ量を混ぜてお菓子作り開始。できあがったのは…シュールストレミングまんじゅうにシュールストレミングクッキー!そして、本命、シュールストレミングパイ!これをスタジオで所さんが判定!すると、まんじゅうとクッキーは強いニオイを放ちましたが…なんとパイだけはほとんど匂わず食べられました!
 その理由は、最も高温で焼き上げたこと、さらに、パイの層が1枚1枚薄いため、水分が飛びやすく、ニオイも飛んだ。と考えられるそうです。




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