放送内容

第1689回
2023.08.20
コスタリカの科学④ 夏休み特集 場所・建物 地上の動物

 夏休み海外特集!生物多様性が豊かなコスタリカでいかちゃんとTokyo Bug Boysが生き物観察。これまで、世界一美しい鳥と言われるケツァールの色鮮やかな神秘的な姿やハチドリの貴重な瞬間、光輝くプラチナコガネ。さらに、昆虫たちの驚くべき擬態能力を観察してきました!そして、今回も生き物の貴重な瞬間の撮影に成功。
 今回の目がテンは、夏休み海外特集!生き物の宝庫!コスタリカの科学④です!

農業をする!?ハキリアリの驚きの能力

 いかちゃんが熱帯林で植物の調査をしている間、バグボーイズたちが訪れていたのはコスタリカ中部にあるモンテベルデ。標高およそ1500m。年間を通して雨が多く、湿度の高い高地に広がる山地雲霧林で覆われた場所です。
 前回は、見事に光り輝くプラチナコガネの撮影に成功。そして今回は、ある昆虫の貴重な瞬間を狙います。その生き物は、植物の葉を切って集めるハキリアリ。
 ハキリアリを探していると、ハキリアリが巣に葉を運ぶため、切り開いた道を発見。その道を辿っていくと、ついに、葉を運ぶハキリアリを見つけました!

 ハキリアリは、自分の体重の2.5倍のものを運ぶことができるんです。アリたちが集めている葉は、食べるわけではなく、キノコの菌を植えつけて育てるために使用します。栽培したキノコの菌糸を幼虫や女王アリに食べさせているのです。そのため、ハキリアリは農業をする昆虫とも言われているんです。
 そして、音も録音。ハキリアリは、後腹柄節と呼ばれる部分と腹部をこすり合わせることで音を出しています。

 その音を使って、ハキリアリ同士はコミュニケーションを図っているんです。実際に録音した音を聞くと、「クククク」というハキリアリの発する音が聞こえます。一体、どんなコミュニケーションをとっているのでしょうか?
 ハキリアリについて研究している九州大学の村上貴弘先生に聞いてみると、「ここにいい葉っぱがある」と、他のアリたちに教えているといいます。
 さらに、別の音を聞くと、「クククク」という音の中に、少し高い「ココ、コココ」という音があります。これは、撮影者に対して、警戒して音をだしているのではとのこと。
 コミュニケーションをとりながら農業をする、そんなハキリアリの高度な社会活動を撮影することができました。

夜の生き物観察で貴重な昆虫を発見!

 二手に別れて、コスタリカの環境や昆虫の撮影していた3人。この日は合流し、夜の昆虫撮影を行うことに。狙うのは、ホタルより明るい光を発するという、ヒカリコメツキ。
 ということで、30分ほどしか姿を現さないというヒカリコメツキを探しにいきます。
 すると、夜7時を過ぎた時、ヒカリコメツキを発見!

 暗闇で本が読めるほど、明るい光を発しています。

 そして、いよいよライトトラップへ。ここで、バグボーイズが驚く貴重な昆虫に出会えたんです。そう、銀色に光り輝くプラチナコガネ。さらに、金色のプラチナコガネが。銀色とは違う、まばゆい色のプラチナコガネです。

 すると、コスタリカでもなかなか見ることができない、さらに珍しいプラチナコガネが。バグボーイズも初めてみた昆虫、オーロラプラチナコガネ。現在、滞在している山地雲霧林のモンテベルデ周辺にしか生息していない珍しいプラチナコガネなんです。

 プラチナコガネの色は、色素ではなく、光の反射によって色が変わる構造色によるもの。同じプラチナコガネでも表皮の構造の微細な違いにより、色が違って見えるのです。
 コスタリカの昆虫たちの生きた姿を目に焼き付けた3人でした。

モルフォチョウの決定的瞬間を観察!

 世界一美しい蝶と言われるモルフォチョウ。実は熱帯雨林のピエレラで撮影していたんです。まるで宝石のような青く輝く羽のモルフォチョウ。

 羽をとじると、裏側は、地味な色で、フクロウやヘビの目に似せた擬態をしています。

 実はモルフォチョウの羽の色は、青い色がついているのではなく光の反射によって、色がついたように見える構造色によるもの。飛ぶ姿を見てみると、羽が青い宝石のように輝いているのが、よくわかります。
 コスタリカで最後に狙うのは、このモルフォチョウの構造色がよくわかる場面を捉えた、飛翔シーン。山地雲霧林のモンテベルデで撮影に挑みます。
 実はコスタリカに渡航する前、いかちゃんはかがくの里を訪れ、バグボーイズと一緒にトラップ作りを行っていたんです。光に反射するキラキラした紙を振ることで、モルフォチョウがナワバリにきた他のモルフォチョウと勘違いし、威嚇のために、近寄ってくるというんです。さらに、コスタリカに到着した初日。市場で購入したイースト菌。それと、バナナ、お酒、砂糖で発酵させたバナナトラップも用意。
 この2つのトラップで、モルフォチョウの貴重な瞬間を撮影します。

 バグボーイズが、モルフォチョウを見たという場所にいき、トラップを仕掛けていきます。すると、早速、モルフォチョウに出会えました。草陰に隠れ、モルフォチョウが飛ぶルートを探り、ある程度のルートがわかったところで、いよいよ、反射する紙のトラップで呼び込みます。
 そして、モルフォチョウの構造色がよく分かる、決定的な瞬間の撮影に成功。見事に、青い羽が透けて、裏側の模様が見えています。

 これこそ、反射によって見える構造色の特徴を捉えたシーン。羽の表面に小さな凹凸があり、青い光だけを反射しているため、青く見えているのです。この映像は、その青い光の反射が起こらず、裏から光が当たったことで、模様が透けて見えた裏という、貴重な写真だったんです!
 生物多様性が豊かなコスタリカで、様々な生き物を観察できた、いかちゃんとTokyo Bug Boys。地元の人たちによる環境保全が人々の暮らしを守ることにつながり、さらに、生物多様性につながっていたのです。