

押井作品がなければ、あの『マトリックス』は生まれなかった―。
それほど決定的で、革新的な影響力を、世界に向かって放ち続けてきた日本アニメーション界きっての天才・押井守。『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『イノセンス』をはじめとする押井作品は、つねに時代の半歩先をとらえ、国内の熱狂のみならず、世界中の賞賛を集めてきた。
そして、その押井監督が「今、若い人たちに伝えたいことがある。」という思いのもとに、あえてこれまでの演出手法を封印し、あらゆる才能とのコラボレーションを実現させて作り上げたエンターテイメント作品である。
原作は著作総発行部数1000万部突破のベストセラー作家・森博嗣の人気シリーズ『スカイ・クロラ』。脚本は『世界の中心で、愛をさけぶ』『クローズド・ノート』の新鋭・伊藤ちひろ。時代の空気感をまとった≪キルドレ≫の繊細な“気分”をすくい取るため、若い世代のリアルな心情をつむぎ出した。
音楽は『デスノート』『デスノート the Last name』『リング』などの大ヒット作で知られる川井憲次。
アニメーション制作を手がけるのは、世界屈指のアニメーション制作スタジオ「プロダクション I.G」。主人公たちがさまざまな思いに揺れる地上シーンは、繊細かつ微妙な感情を手描きのセルアニメーションで表現。彼らが命を懸けて戦う空では、最新技術を投入した3DCGによる、圧倒的な戦闘シーンが繰り広げられる。
ボイスキャストには、『バベル』で世界を唸らせた菊地凛子と『それでもボクはやってない』『硫黄島からの手紙』の加瀬亮をはじめ、栗山千明、谷原章介がキルドレたちを熱演。押井作品史上初の、大胆にして豪華なキャスティングは、それぞれがピタリと役柄にはまり、永遠の子供たちにリアルな時代の息吹を吹き込んだ。
ヴェネチア映画祭正式コンペティション部門出品、シッチェス・カタロニア国際映画祭での三冠受賞(批評家連盟賞、ヤング審査員賞、最優秀映画音楽賞(川井憲次))、さらにアカデミー賞アニメーション部門エントリーが決定!全世界70カ国で順次公開が決定している。
映画を読み解く“公式手引書”が封入されたDVD、最高級スペックによる映像とサウンドがオーサリングされたブルーレイ、押井監督自らがカラーデザイン指定を施した“散香”フィギュアや、4時間半を越えるウルトラ・レア映像満載の特典DVD集を同梱したゴールド・ボックス“コレクターズ・エディション”も堂々のスタンバイ。

「最初は誰も知らなかった。知っていても、信じなかった。でも、だんだん噂が広がっていく。戦死しないかぎり死なない人間がいるって」
物語の舞台は、いくつかの大戦を経て、つかの間の平和を手に入れた、今とよく似た時代。かりそめの平和を実感する為に、人々は「ショーとしての戦争」を求めた。現代を生きる私たちが、テレビを通して戦争を「観戦」するように。戦闘機のパイロットとして戦うのは、《キルドレ》と呼ばれる子供たち。彼らは年をとらない。思春期の姿のまま、永遠に生き続ける―空で死なないかぎりは。
物語は、主人公カンナミ・ユーイチ(声・加瀬亮)が、欧州の前線基地「兎離洲」ウリスに配属されてくるところから始まる。ユーイチには、その基地に赴任する以前の記憶がない。同僚たちは彼を見て意味ありげな表情を浮かべるが、それ以上、何も語ろうとしない。ユーイチが知っているのは、自分が《キルドレ》であるということと、戦闘機の操縦の仕方だけ。初めて乗るはずの機体は体になじみ、その優れた戦闘能力は、すぐにユーイチをエースパイロットの座へと押し上げた。
そんなユーイチを、熱いまなざしで見つめるひとりの女性がいた。基地の司令官であるクサナギ・スイト(声・菊地凛子)。彼女もかつてはエースとして戦ったキルドレのひとり。まるでずっと、彼を待ち続けていたかのようなスイトの視線に戸惑いながらも、ユーイチはスイトに惹かれてゆく。