ごあいさつ

■主催者より

このたび、日本テレビ開局60年特別美術展として2013年3月から森アーツセンターギャラリー(六本木)、6月から新潟県立万代島美術館、10月から愛媛県美術館、2014年1月から宮城県美術館、4月から北海道道立近代美術館において、「ミュシャ財団秘蔵 ミュシャ展‐パリの夢 モラヴィアの祈り」を開催する運びとなりました。

アルフォンス・ミュシャ(1860‐1939)は、19世紀末を代表する画家であり、アール・ヌーヴォー様式の巨匠のひとりとして日本でも幅広い人気を誇る作家です。

日本で最初の回顧展が開催されたのは1978年のことです。以来、数多くのミュシャ展が開催されてきました。その多くは、世紀末のパリ時代の作品や活動に焦点をおいたもの、または年代を追って構成されたものでした。日本テレビも2004年から2006年にかけてミュシャ展を開催し、ミュシャ本人の作家活動を総覧しました。

本展は、ミュシャ財団の全面協力のもと、これまでの展覧会とは一線を画し、ミュシャの芸術家としての功績を通じて、作品のみならず、作家のコンセプトや芸術理念、さらには思想を考察するという斬新なものです。

これまでより一歩踏み込んだ「ミュシャ財団秘蔵 ミュシャ展‐パリの夢 モラヴィアの祈り」、どうぞ皆様にご紹介頂きますよう、お願い申し上げます。

ミュシャ財団/日本テレビ放送網/森アーツセンター

■ジョン・ミュシャ氏よりメッセージ

この度、2013年3月より、東京・森アーツセンターギャラリーを皮切りに日本全国を巡るミュシャ展について、皆様にご紹介できることを心より光栄に存じます。本展覧会は、祖父ミュシャの慣れ親しまれたポスターをはじめ、絵画、パステル、宝飾品、素描、立体物、そして彼に直接関わりのあるプライベートな品々など、240点余りから構成されています。これらの作品には、チェコ共和国にとって国家の記念碑ともいうべき作品群も含まれている上、多くは、日本で初めて公開されるものです。つまり本展は、その展示作品の幅広さ、内容、メッセージ性からも、過去に類をみない画期的な展覧会といえます。

ミュシャ家と日本の関係は1960年代に遡ることができますが、ミュシャ財団と日本とは、1992年に財団が設立して以来の繋がりがあり、その絆は今や、大変強いものとなりました。

ご存知の通り、私の祖父は、広告のパイオニアの一人でした。その意味で日本のメディアの方々にこのメッセージをお伝えできることを特に嬉しく思っています。世界が直面する複雑な現代にあって、ミュシャの作品を既にご存知であるか否かに関わらず、彼がその作品に込めた、調和、芸術の果たす役割や重要性などといったメッセージが本展覧会で皆様に伝わることと信じています。祖父は、人類のより良き将来を追求するため、自らの作品が共同体や文化の架け橋になるものと確信していました。

本展覧会が、ご来訪いただいた皆様のより良い人生の一端となれば幸いです。

ミュシャ財団理事長 ジョン・ミュシャ