第3章: Le Style Mucha & Art Nouveau ミュシャ様式とアール・ヌーヴォー

ミュシャが『ジスモンダ』のポスターでパリのアート・シーンの注目を集め始めた1895年、アール・ヌーヴォー様式の発信源の一つとなるジークフリード・ビングの画廊、メゾン・ド・ラール・ヌーヴォーがオープンします。ビングの店に展示される画家やデザイナーたちは、従来のアカデミックな形式にとらわれない新しい芸術(アール・ヌーヴォー)表現を目指しました。彼らに共通する花や植物などのモチーフや流麗な曲線の組み合わせを特徴とする有機的な装飾様式は、世紀末のヨーロッパに広がり、「アール・ヌーヴォー」として知られる国際美術運動となります。この動きと並行して、ポスターという新たなジャンルで頭角を現したのがミュシャでした。優美な女性のイメージにエキゾティックな花の装飾モチーフをあしらった、印象に残る彼のデザインは「ミュシャ様式」というニックネームで大衆に親しまれ、やがて「アール・ヌーヴォー」と同義語になります。
このセクションでは、主にミュシャの広告ポスターやパッケージなど商業デザインを見ながら、その背景となるベルエポックという時代、特に消費文化とマスメディアとの関わりを検討します。

  • 『装飾資料集』 図54
  • ジョブ
  • ムーズ川のビール

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