第4章: The Message of Beauty 美の探求

ヨーロッパの美術史から俯瞰すると、ミュシャが活躍した時期はめまぐるしくスタイルが変化する「イズム」の時代でした。しかし彼が求めていたものは、「芸術のための芸術」を追求することではなく、普遍的な美を表現することでした。そしてその「美」とは「善」であり、それは内面的な世界(精神)と目に見える外面的な世界の調和にあると考えました。ミュシャにとって芸術家の使命とは、その「美」で大衆を啓蒙し、インスピレーションを与えることによって、彼らの生活の質をより豊かにすることでした。その理想を実現する一つの手段となったのが、観賞用のポスターとしてデザインされた装飾パネル画です。一点物の高価な美術品は貴族や富裕階級のものでしたが、大量生産されたミュシャのパネル画は買い求めやすく、一般家庭の居間にも「美」をもたらすことができました。
このセクションでは、装飾パネル画や油彩、素描などを見ながら、ミュシャ様式のメッセージ性とデザイン的な特色、さらにミュシャ様式の軸となる女性のイメージの変遷を考察します。また、ミュシャが意識的に取り入れた「スラヴ的要素」とその意味も考えます。

  • 夢想
  • 四季
  • ダンス絵画詩音楽

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