ストーリー

第7回(2008年6月3日放送)

 ある日、江崎(内博貴)味噌蔵でナゾの甕を発見した。それは「塩麹」。江崎はおせん(蒼井優)に、これを使って一升庵の看板料理を開発しましょうと提案。日々、料理人として無邪気に成長するかのように見える江崎に、留吉(向井理)はあせっていた。

 留吉は、1人酒を呑みに出かけた店で、一升庵の板前ともてはやされ、仕舞いにはお客に料理をふるってしまう。
 この様子をたまたま見ていた珍品堂さん(渡辺いっけい)から話を聞いた清二(杉本哲太)は、留吉を呼び、厳しく自らケジメをつけるよう迫り、さらには板場出入り禁止を言い渡す。おせんは、板場の問題は板長の責任だと言い切る清二のあまりの剣幕に、ただオロオロするばかり。

 まもなく、清二の「けじめをつけろ」という言葉を考えた留吉は、おせんに詫びを入れ、店を辞めさせて欲しい、と願い出た。おせんは、留吉に再考を促すと思いきや、あっさりとこの申し出を了解。留吉自身も、止めてももらえなかったと落胆し一升庵を後にする…。
 その日から、留吉の代わりに江崎が河岸に連れて行かれ、板場での作業も留吉のやっていた仕事を江崎が担当。人数の減った板場は、毎日が戦場でありパニックである。

 一升庵の仲間たちは、冷たくさえみえるおせんに驚き留吉の行く末を案じるが、おせんは塩麹の新しい料理に夢中になっている。留吉が心配でたまらない江崎だったが、シズ(余貴美子)に「あんたに女将の決定に逆らう器量があるのか」と、まずは自分の腕を磨くことを諭される。
 江崎は、何かをふっきったように仕事に没頭し始め、一升庵のメンバーもおせんの塩麹漬けの新しい料理開発に尽力する日々を送るが、なかなか新しい看板料理候補は生まれない…。

 一升庵を辞めた留吉は、チェーンの居酒屋で働き始めていた。ある日、そこにおせんが現れ「相談に乗って欲しい」という。新しい塩麹を使った料理が思いつかないというのだ。留吉は、一升庵のメンバーのことを思い始める。健太(奥村知史)は貝柱が好きだった…。シズさんは豚肉が好きだった…。「豚肉を漬けてみたらどうでしょう?」留吉がおせんに提案すると、おせんはいいですねと笑顔を見せ「では、今度の日曜日に、留さんの豚の麹漬け、みんなに作って食べさせてあげてください」と塩麹の甕を渡し、店を後にする。

 その、日曜日。留吉がその塩麹の甕を持って板場に現れた。
 驚く江崎に「おれはただ、おせんさんに言われたことをやるだけだ。精魂込めてみんなにうまいもの食わせてやるよ」そう言って、料理の準備をはじめる留吉の顔は清々しい…。
 店は休みだが、新しいメニューを食べにきてくれと呼び出されていた清二は、豚肉の塩麹漬け焼きをおせんに食べさせられ目を見張る。
 留吉が「誰かにおいしいものを食べさせたい」という気持ちいっぱいで作った豚の麹漬けの網焼き…。丁寧に丁寧に、油を落としながら焼いた、豚肉料理…。その料理は清二の心を動かした。

 「旨いですよ。次の献立に是非加えましょう」という清二におせんは「それにはひとつ、了解して貰わなければならないことがある」と告げる。この料理を作ったのは留吉だと、清二の前に留吉を出す。確かに他の店で料理をふるった留吉の行為は、食べる人の気持ちを考えずに見栄やいいカッコしたいという気持ちで料理を作ってしまい、一升庵の看板に泥をぬることだった。でも、今の留吉はまっすぐな気持ちをちゃんと持っている。だから、留吉をもう一度一升庵の板場で働かせて欲しい…、と。
 おせんの言葉を聞き、清二の前で思わず涙する留吉。清二は無言で立ち上がり、静かに言った。
 「トメ、明日は河岸だ。遅れるな」
 喜んで、留吉を迎える一升庵のメンバーたち。再び、うるさいほどの笑い声が一升庵の中に響きわたる…。