ストーリー

第8回(2008年6月10日放送)

 毎年恒例の祭りの時期がやってきた。お神輿の担ぎ手や近所の人たち200人分の仕出し料理をふるまうことが一升庵の一大イベント。そのメイン料理はテル子(鈴木蘭々)がワラで炊くお米で握った「お結び」。
 町内会は、祭りを盛り上げるために「喧嘩神輿」と言われる威勢のいい男衆を、神輿の担ぎ手として招待していた。西田(やべ きょうすけ)を中心としたその男たちは、おせん(蒼井優)に対し「自分たちの担ぐ神輿に乗れ」と強要する。おせんは「神様の乗り物に乗るなんて滅相もない」と断りをいれるが、男たちは聞き入れない。

 そんなある日、テル子が同窓会で再会した藤木(六角精児)という男が一升庵を訪れる。藤木はグルメ雑誌の編集者。テル子の話すワラ炊きご飯を食べてみたいとやってきたのだ。
 実は同窓会でテル子は、一升庵に勤め、ワラでごはんを炊く話をみんなにしたところ「飯炊き女?時代劇みたい」と笑われたと言うのだ。同級生は東京に来てみんな変わってしまった、自分は取り残されていると感じるテル子だったが、その時、藤木だけは笑わなかったとおせんに話す。

 テル子のワラ炊きご飯に満足して帰った藤木は、雑誌には載せないと約束したのだが、その日以来ごはんだけを求める客が殺到。実はブログで、一升庵の「ワラ炊きごはん」のことを書いていたことがわかる。それを見て、ごはんを頼む客が異常に増えていたのだ。
 さらに、おせんに神輿に乗れという喧嘩神輿の男衆が一升庵を訪れ、ごはんを食べる食べる・・・。ついに備蓄していたワラはなくなり、一升庵は営業できなくなるばかりかお祭りの仕出しも難しくなった・・・。

 おせんはお米を仕入れている米屋にワラの追加を頼みに行くが、店主の息子(平野靖幸)に断られてしまう。一升庵のみんなが困っているところに現れた珍品堂さん(渡辺いっけい)がトラックで健太(奥村知史)と新潟にあるテル子の実家まで、ワラを取りに行ってくれる事になったが、途中で車が故障し戻って来られない・・・。テル子は藤木にも、車を出してくれと頼むが「明日が締切で忙しい」と取り合ってくれない。
 そんな状況に、今回だけは薪で炊いたらどうだという皆の声を頑固にきかないおせんは、テル子にまで「時代遅れ」だと言われ、姿を消してしまう・・・。

 一晩中探してもみつからないおせん。翌朝、再び探しに行こうとしたところに、おせんが戻ってきた。珍品堂さんと健太を迎えに行っていたという。喧嘩神輿の西田たちがトラックの運転手であることを思い出し、頼みこんで、大型トラックを出してもらったのだ。さらに、藤木も仕事の後ワラを探してくれており、テル子のもとに届けに来る。
 「ワラがないと、鈴木はあの旨いご飯が炊けないんだろ?」と・・・。
 「時代遅れなんて言ってしまって・・・」と謝るテル子におせんは「テルさんは、取り残されたんじゃなくて、変らないだけですよ。変わらないテル子さんはとても素敵です」と微笑む。

 いざ、祭りの仕出し用にテル子がワラで炊いた米で、おせんを中心に皆でお結びを握る。おせんは「おむすびは神結びと言われて、お米の神様に感謝して、食べる人が喜んで下さるように、両手にいっぱい気持ちを込めてぎゅっと結ぶんです」とお結びを握りながら微笑む。お結び1個1個に「おいしくなあれ、おいしくなあれ」とおまじないをかけながら。

 神輿がやってきた。西田たちは、おせんに神輿に乗ることを条件にワラを運ぶトラックを動かしてくれていたことを江崎(内博貴)たちは知る。
 いよいよ神輿に乗れと迫る西田だったが、「まあその前に一杯飲もうか」とおせんを誘う。しかし、流れから飲み比べのようになっていく・・・。おせんの余りにもの飲みっぷりに、西田は負けてしまい、酒でフラフラに・・・。神輿を担ぐ気力もなくなってしまった西田は「参りました・・・」と一升庵を後にする。

 無事に祭りも終わり、おせんはテル子にお使いを頼む。米店の店主(高木ブー)にお結びを届けてもらったのだ。身体を悪くして、祭りには出られなかった店主は、美味しいと喜んでくれる。来年もずっとこのお結びが食べたいな・・・という店主に、テル子は微笑み、このワラで炊くご飯で、毎年お結びを作り続けると約束するのだった。

 その夜、おせんは鰹節と山葵のお茶漬けを作っていた。テル子の炊いたご飯で。おせんはテル子に「これからも、ずっとおいしいご飯を炊いてくださいね」と笑顔でニッコリ微笑むのだった・・・。