Q.アイガー登頂プロジェクト

アルプス屈指の名峰「アイガー」
ルートは、まさに刃のごときナイフリッジ。
これを攻略せずして、登頂はない。
いよいよ2週間に渡る過酷な挑戦の幕が上がる!

第1章 楽しい夏山合宿
その舞台は、富山県・剱岳 標高2999m
剱のように鋭い山並みが連なる岩と雪の殿堂。
最近のイモトは女優業にうつつをぬかし
あの北川景子さんとご飯を食べるなど調子に乗っている
山に向けて、ひきしめが必要だ 

今日からご飯を食べる相手はジジイばかり。
合宿の隊長は、日本山岳界の重鎮 山本かずお





副隊長は、内村の冬富士を引っ張った山本篤。





さらに、奥田まさかずと中村としたか。
今回も我が国を代表する
登山界のエキスパートたちが完全サポート。
1年ぶりの登山となるイモト
さらに、本格的な岩登りは
マッターホルン以来実に4年ぶりとなる。
合宿最大の目的は、心と体を山モードに戻す事。

内村からの差し入れは熊本の小玉スイカ。
みんなでスイカ割り!
スイカを貪るじじいたち
おかえり、イモト。
明日は、日本有数のナイフリッジ
北方稜線を踏破し頂上に立つ。

本日の宿。
標高2750m 剱御前小舎
夕方になるとご覧のような美しい雲海が望め
ここをゴールに登る人も多い。
就寝前に、森三中から美容グッズの差し入れ。
日焼けした顔に栄養を補給。
おかえり、イモト。

合宿2日目
早朝4時出発
アイガーに向けた実践練習をしながら山頂を目指す。
昨日とは一転、今日はスパルタ方式。
とにかくペースが早い。
体力が想像以上に落ちている
そんな自分にイラつくイモト。

あさこから話し相手の差し入れ「おしゃべりミーちゃん」
言葉を理解して会話ができるお人形。
ミーちゃんと共に挑むのは
今回の合宿のメイン 北方稜線。
かつてマッターホルンで得た技術を取り戻していく。

こうして剣岳合宿は無事終了。
スイスに向け出発は3日後
目指す頂は遥か彼方
この先どんな試練が待っているのか?
日本中がオリンピックに湧いていた8月16日
イモトはスイスへ入った。
アイガーの麓にある町・グリンデルワルト
美しい山々に囲まれた スイス屈指の観光都市。
今回も行けるところまで行く。


プロジェクトのすべてを統括するのは天国じじい。
そして貫田さんの秘蔵っ子、日本山岳会のホープ中島健郎。




エベレスト登頂4回、スイス在住の山岳ガイド 田村真司





さらに、ヒマラヤ遠征でもお世話になった
山岳ドクター 武藤ふみたか。




そしてイモトとロープを繋ぐチーフガイドは
アイガーを知り尽くした男ヨハン・カウフマン。
実に、登頂成功50回以上という大ベテラン。




アイガー北壁
マッターホルン、グランドジョラスと並び
アルプス三大北壁と呼ばれる世界最大級の壁。
ほぼ垂直に切り立つ岩、その高さは、なんと1800m
登山界では世界最難関ルートの一つに数えられ
1936年ベルリンオリンピックの年には
アイガー北壁を登攀した者に金メダルの授与が約束されたほど
その制覇は偉業とされた。
また、北壁をめぐる挑戦と悲劇は
様々な映画や小説の題材にもなっており
プロのクライマーにとって特別な壁として君臨している。
ただ、今回登るルートは北壁ではない。
今回、選んだルートは
日本人によって初登頂された東山稜ルート。
今から95年前
槇有恒(まきゆうこう)によって初登攀が成し遂げられた東山稜ルート
今現在、最も登頂率が高く、登る人も多い栄光の道。
しかし、簡単じゃない。
登り下りを繰り返しながら
左右が切れ落ちたナイフリッジを進んでいく。
ひろい場所もあるが、

道幅はおよそ30センチほど。
最も細い所だと足の幅ギリギリだ
恐ろしい高度感に加え、
場所によってはアイゼンも装着しなければならない。
だがまずは、イモトたちの実力を別の山でテスト。
アイガーではガイドと登山者が互いにロープを結び合う
一方の登山技術が未熟すぎると
不意に滑落した場合、ともに命を落とすことになる。
それ故、登山技術のテストはシビアに行われる。
テストの山はアイガーよりも高いぞ。
その山とは、
アイガーとともに世界遺産に登録されている
ユングフラウ3山の一角 メンヒ 標高は4107m。

8月17日
テストを前に、宮川から元気が出る差し入れ!
麓の村で無理やり集めたチアガール!!



それではテストの舞台へと向かおう!
標高は4千mを超えるが
3400mまではこちらのユングフラウ鉄道を使う。
アルプスの少女ハイジに出てくるような
美しい風景が広がる。
山をくり貫いて作ったトンネルを進み50分。
ここはヨーロッパで最も高い場所にある駅
ユングフラウヨッホ。
ここから1時間ほど歩き 山小屋を目指す。

天候はあいにくだが、傾斜はほとんど無い。
足元は、アルプス山脈最大のアレッチ氷河。
行く先には、テストの相手メンヒが見えてきた。
そびえ立つ岩肌を前に余裕さえ見せるイモト
だが、その自信は やがて打ち砕かれるのだった。

標高3658m メンヒスヨッホ小屋
今日はここに一泊し、高所に体を慣らす






すると天候が突如悪化。
メンヒはアイガーと比べればハイキングのようなもの。
この程度の雪なら問題ないとのこと。
就寝前に登山部恒例の暇つぶしコーナー
なぞかけのお題は「山」


第2章 試練の山メンヒ。
8月18日 いよいよテスト本番!
雪は止んだがコンディションは決して良くない。
今日は最初から最後までアイゼンを履いて登る。
テストされるのは
基本的な身体能力とクライミング技術。
それに加え、重要なのが精神力。
高所でもパニックにならないかどうか。
テストを受けるのはイモトだけではない
登山部全員、カメラマンも含め
実力がチェックされる。

曇っていて先は見えないが、行く道は決して簡単ではない。
こちらが標高4107mメンヒの全貌。
ルートは岩と雪と氷。
高低差はおよそ440m。
これを5時間で登れるかが合格の目安。
岩のわずかな突起に、
アイゼンのつま先を置いて登る。
岩に雪が張り付き、突起が見えにくい
しかし、止まることなく足を出し続け
なんとか乗り越える。

標高はすでに富士山とほぼ同じ
にもかかわらず、とにかくペースが早い。
実は、テストでもっとも重視されるのがスピード
素早く登り素早く降りる。
それが、不測の事故を防ぐ最大の防御。
それでもイモト、食らいつく。
休憩なしで1時間半、3分の1ほど登った。
技術もスピードも問題ない。
この調子ならアイガーに行ける。

岩肌を見極めるクライミング能力、
急な斜面をテンポよく登る体力、
さらに足場の悪いトラバースでも
バランスを崩さないアイゼンワーク。
ここまで全ての項目で合格点をもらった。
さぁ問題は恐怖に耐える精神力。
アイガーはこんなもんじゃない。
もっと切れてるしもっと長い。
もしイモトが踏み外しても
ヨハンが逆飛び込みで対応する。
逆飛び込みとは、相手が足を踏み外した瞬間
逆の斜面に飛び込み、落下を防ぐ方法。

雲っていてよく分からないが
行先はご覧の道のり。
まさにナイフの上を渡るがごとき、
左右がすっぱり切れおちたルート。
一歩一歩 慎重かつ冷静に進まなければならない。
ここまで順調だったイモトだが
急激にペースが落ちる。
高さ1mなら たやすく渡れる平均台。
1800mである事など忘れなければならない。
よく言われるセリフだが、
まさにそういう精神力がもとめられる。

突風に体が煽られる。
ナイフリッジで序盤の貯金を使い果たし、
タイムリミットギリギリの5時間でなんとか登頂。
なんとなく行けそうな気がする。
淡い自信は粉々に砕け散った。
ここまで心が折られるのは初めての事だが、
見事合格!アイガーに挑戦することが決まった。
カメラマンも問題ない。
でも石崎はテスト開始4分で不合格となっていた。
と言うわけで、今回も番組関係者抜きでのアタックが決まった。

アイガー挑戦には、まだ重大な問題がある。
それは天候。
今日の雪が完全に溶けるまで
アイガーには入れない。
荒れた天候でも 登頂できたメンヒとは異なり
アイガーのアタック条件は、かなり厳しい
晴れていても、積雪が多かったり
風が強い日には、閉山となる
実際2年前は年間を通して閉山されつづけた。
明日から快晴が続いたとしても
雪が解けるのに2、3日はかかる。
とりあえずは、待つしかない。

8月19日
今日は、休息も兼ねて、イモトの気分転換コーナー
「あなたもスイスにイッテQ!」
それは、チーズ好きにはたまらない一品
白ワインを浸したパンの上に
スイス名物ラクレットチーズをてんこ盛り!!
これをオーブンで、焼き上がれば完成。
硬くなったパンを美味しく食べるために考えられた!
スイス伝統の家庭料理「ケーゼシュニッテ」

さらに、スイスといえばチーズフォンデュが有名だが
今、若い女性を中心に人気爆発中なのが。
エクストラバージンオイルで
肉や野菜を素揚げにしていただく。
普通の油よりもヘルシーで美肌効果もあるという。



続いては今、天国ジジイが一番ハマっているものをご紹介!
ハリウッドセレブやアスリートの間で
すでに話題となっているというバターコーヒー
ただし、コーヒーにただバターを入れればいいわけではない。


それは、牧草のみを食べて育った
牛のミルクから作られる無塩バター。
コーヒー1杯に対し、10gのグラスフェッドバターを入れ
ココナッツオイルを入れるとより効果が高まるという。
天国ジジイおすすめのバターコーヒー


手越からとっておきの差し入れは催眠術。
催眠術師 ガブリエルさん。
イモトは英語が分からないので
通訳をかいして催眠を行う。
合図をするとリラックスに包まれどんどん眠くなる。
するとここで、英語がわかる天国じじいに異変が・・・
目がとろけ今にも寝てしまいそう。
もはや高所への恐怖は己で克服するしかなさそうだ。

そして8月23日
待機期間が終わりを告げる。
天気予報によれば、明日明後日ともに無風晴天。
明日アイガーに入り、明後日25日にアタックする。
ついに迎える チャレンジの時
最後の夕食は、イモトのリクエスト「醤油鍋」
8日間に及んだ共同生活を締めくくる
最後のミニコーナー「Dr.ムトー人生相談室」

それではアイガー登山行程を説明しよう!
アイガーは一泊二日の短期決戦
まずは、グリンデルワルトから高山列車で
アイガーの南側にある アイスメーヤ駅へ
そこから3時間ほど歩き
最終アタックの拠点となるミッテルレギ小屋で一泊
早朝6時にアタック 高低差615mの岩登り。
いよいよ 死の崖との決着をつける時
果たしてイモト その頂きに辿り着けるのか。

第3章 アイガー挑戦 極限の2日間
8月24日
いよいよアイガーに足を踏み入れる。
午前7時、高山列車で
標高3158mにあるアイスメーヤ駅へ。
近づくほどに
相手は、圧倒的なスケールで威圧してくる。
これから先、どれほどの苦難が待っているのか。

午前8時30分
アイガー登山のスタート地点 アイスメーヤ。
今日の目的地は
最終アタックの拠点となるミッテルレギ小屋。
ここで石崎を連れて行くのは難しいと判断され、
ここで断念。
石崎も想定外。
小屋までは2キロほどだが、
危険なエリアがいくつも待ち構えている。
ここはアイガーで最も落石と落氷が多い所。
最初の30分は、できる限り速く進む。
死の崖アイガー。
いよいよ その懐に足を踏み入れる。

あたりには落ちてきたばかりの
巨大な氷がゴロゴロある。
今日は気温が高いため、氷の崩落が活発。
リスクを減らす唯一の術は、
できる限りのスピードを出し。
ノンストップで危険地帯から脱出すること。

ようやく落石地帯を超えた。
しかし本当にきついのはこれから。
全速力で歩いた先には この大岩壁。
足場が少なく難易度はかなり高い。
そう、アイガーは上級クライマーのみが立ち入れる特別な山。
反り返るほどに感じる急斜面だが、
臆することなく登っていく。
表情は冷静、判断も適切。
もちろん、こんな所で泣きを言うようでは
話にもならない。

ここから小屋までは急斜面を斜めに登る
高さにして150m。
40階建ての高層ビル、その階段を登るようなもの。
麓から見ていた姿とは全く別物 それは巨大にして険しい。
登山開始から1時間半 今日の目的地が見えてきた。

ここがアタックの拠点となる ミッテルレギ小屋
崖のギリギリに建てられており、いるだけでも足がすくむ。
2000m下にあるグリンデルワルトの街がはっきり見える。
明日は常に、この高度感と戦いながら登っていくことになる。
上を見上げればアルプス最大スケールのナイフリッジが、
遥か彼方まで続いている。
頂上は見えない。

小屋から頂上までの高低差は615m。
東京スカイツリーとほぼ同じ。
行く道は常に両サイドが切れおち、
登ってはおりてを繰り返す難関ルート。
体力はもちろん様々な登山技術を駆使しなければならない。
収容人数はわずか40人、熟練クライマーのみが訪れる山小屋。
今シーズン最高のコンディションとあって
各国の登山隊が大集結。
この状況にガイドのヨハンが、ある決定を下す。
他の隊の邪魔にならないよう我々は一番最後に出る。
撮影しながらのクライミングは時間が倍かかる。
よって、安全を最優先して 下山はヘリを使う。

露骨に表情が明るくなるイモト。
だが、ありったけの力で登っても、可能性は五分と五分。
出発は朝6時 軽い夕食をとり
試練に備え、早めに体を休めようとするが…
緊張と興奮の中、沈む夕日
再び太陽が昇る時は試練のさなか。
それでは最終アタックについて説明しよう。

午前6時 ミッテルレギ小屋を出発
南壁と北壁があわさる稜線に沿って
高さ615m 距離にしておよそ2キロ登る
予定通り行けば、6時間のクライミング
難所はいくつもあるが、
最難関とされるのが、頂上の手前で待ち構える
高さ200mの岩壁
これまで何人ものクライマーを返り討ちにしてきたことから
衛兵という意味であるジャンダルムと名付けられた

ジャンダルムには、
疲労がピークの状態で突入することになる。
そこまで、体力をどれだけ温存できるかが
ポイントになる。
午前5時 天気は快晴。
睡眠時間は8時間とれた クルー全員万全の状態。
ルートのコンディションは非常にいい。
漆黒の闇から浮かび上がる 鋭く尖ったシルエット
いよいよ、戦いの時!
午前6時 アイガー最終アタック開始。

小屋を出ると、いきなり足場の悪いナイフリッジ。
暗いし体も温まっていない。
一歩ずつ集中していく。
これから先、平坦な場所などどこにもない。
無数に出てくる登りとくだり ランダムに現れる岩と雪。
体力を温存していきたい序盤。
注意が必要なのは、足を置くと崩れ落ちる岩のトラップ。
出発してわずか15分
体が温まる間も与えず、一つ目の岩峰が立ちはだかる。
傾斜がきつい場所では
ガイドが先行、ロープを固定し安全を確保してから登る。
幸いまだ薄暗く高度感は少ない。
目の前の岩だけに集中 これをどこまで続けられるか?
アイガー登山はゴジラの背中を登る様なもの。
最大の難所ジャンダルムまでに
大小さまざまな岩峰が10個以上も待ち構えている。

午前6時30分 空撮ヘリ出動
上空から見ると、そのスケールがよく分かる。
さらにこれまで見えなかった景色が鮮明になり、
高度感が襲いかかる。
その風景は、まさに天空と下界
高層ビルどころではない。
さらに足場はどんどん細くなっていく。
岩峰を超えるには、登った分おりる。
苦労して稼いだ高度があっという間になくなり、
体力的にも精神的にもきつい。

降りるやいなや
目の前に、またしても岩峰が立ちはだかる。
先ほどの倍以上の大きさがあり足の力だけでは登れないため
フィックスロープが設置されている。
フィックスロープはマッターホルン以来4年ぶり
足場を怖がって、ロープにしがみつけば
腕はすぐにパンパンになってしまう。

高度感に耐え切れず
わかっていても、腕で登ってしまう。
はやくも苦戦を強いられるイモトだが、
ジャンダルムはこんな岩峰とは比べ物にならない。
麓のカメラで見れば その規模は圧倒的。
朝日が当たっている部分がジャンダルム。
傾斜と高さに加え、足元には雪と氷が張り付いている

午前6時40分 アイガーの南壁が真っ赤に染まり始める
待望のご来光!
1本目のフィックスロープを登りきると同時に
その光は登山隊に届いた

雲ひとつない快晴。
ここから気温が一気に上がる。
岩登りをするには絶好のコンディションだが、
頂上付近にある雪のナイフリッジでは
不安要素にもなってしまう。
だが、先の心配をしている余裕などない。
ジャンダルムに行くまでに、
フィックスロープはまだ4箇所ある
そこで感覚をつかむ。
そう、ここまだ、序盤の序盤
行く道は長く、途方もなく険しい。
だが、足を出し続ければ、必ずたどり着ける。
強い闘志で前へと進むイモトだが、その体に突如異変が…

画面左手の岩峰、その陰で事は行われている
ヨハンによれば、こんな所でウンコをした人間は
北壁を踏破した者より少ないという
それはある意味「偉業」

出発から1時間 現在地はココ
3本目のフィックスロープに突入
コツをつかんだのか?
トイレを済ませたからか?
最初のポイントと比べかなり
スピードが出せるようになってきた。
振り返らず前だけを見る。
とにかくこの作戦を続ける。
アタック開始から2時間 ここで初めての休憩。

標高は3500m。
ルートには次第に、雪が増え始めた。
凍っていて滑りやすい、ゆっくり慎重に行く。
雪と岩場がランダムに出てくるため
まだアイゼンは履かない。

まさにクライミングの1000本ノック
だが、イモトは集中の極み 的確に岩を捉え
息切れもしなければ、リアクションもしない
無表情で静かに登る。

4本目のフィックスロープ
高さはさほどでもないが
「かぶり」と呼ばれる反り返えった岩壁。
ところで、イモトが苦戦している最中、天国ジジイは
歯磨きジジイに。


かたや命がけで登る者。
かたや虫歯が心配な者。
山は、自由だ。

イモトは、4本目のフィックスロープをなんとか乗りこえた。
地獄の平均台。
そこから仰ぎ見れば、立ちはだかる巨大な岩。
アタック開始から2時間半が経った。
これまで登ってはくだり、登ってはくだり
乗り越えてきた岩峰は、実に9つ
この10個目を乗り越えた先に
アイガー最大の難所はある。

気合を入れ登攀開始 高さはおよそ30m
イモトの足取りはしっかりしている
30mの岩壁をわずか4分でクリア。
ついに、アイガー登山最大の難所。
ジャンダルムの喉元につけた。
目の前に立ちはだかる圧倒的なスケールの岩壁、
そのロープは、およそ180m。
40階建ての高層ビルよりも高い所まで伸びている。
距離だけでなく、傾斜もキツく、
足場には岩と氷がランダムに現れる。

世界各地の山において、頂上を遮る難所は
ジャンダルムと呼ばれるが、
その起源こそ今、目の前にあるこの壁。
これまで数々のクライマーを返り討ちにしてきた
死の崖アイガー最強の番人。
イモト、じっと見据え、覚悟を決める。

9時13分 ジャンダルム登攀開始!
今まさに その見せ場
険しいからこそ燃え上がる闘志
山もかっこいいが、それにも増して伝わってくる
人間という者のたくましさ。

ちなみにこれは催眠術師から教えてもらった
心を落ちるかせる自己催眠法
おそらく効かないが
今はなんにだってすがりたい
順調すぎるペースで50メートルほど登ってきた
だが、日陰に入ると状況は一変
ところどころに張り付いた雪が凍り、足元はツルツル
さらに傾斜は鋭さを増していく。
アイガーに入って初めてのスリップ
激しく乱れる鼓動。
そして、わずかに揺らいだ闘志を
ジャンダルムは見逃さなかった。

足元のすぐ隣にある「死」
その現実に引き戻される。
忘れていた高さへの恐怖が一気に押し寄せ
イモトの心を埋め尽くしていく。
震える足、腰が引けて足場が全く見えていない。
クライミングのスタンスも崩れ、
体力はたちまち消耗されていく。

100m程登ったところで
イモトの足が完全に止まった。
このまま心が折れれば、登頂はおろか山を下る事すらできない
気持ちを立て直せるか、ギリギリのところ。
足を出すんだ! お前なら登れる!
そう励まされたその時だった。
先行しているガイドが踏み砕いた氷
それがイモトを直撃!
その瞬間 恐怖が怒りへと変わった。

例によって怒ったイモトは、めちゃくちゃ強い!
こうして怒りに任せて、登り続ける事1時間半。
ついにアイガー登山最大の難所 そのゴールが見えた。

午前10時12分
イモト ジャンダルムを乗り越える。
アタック開始から4時間半。
最難関は超えたが、まだ油断できない
目指す頂上までは、1時間半の道のり
足元は岩と雪のミックス。
不測の事態が起こるとすればここから先
一層高い集中力が要求される。

竿カメラをつかって
撮影しているのはこれまですべての山で
イモトをフォローしてきた中島健郎。
チーフガイドのヨハン、イモト。
65歳の天国じじいもここまで
息を切らす事もなく付いてきている。
全員一丸となって
アルプスの名峰、その頂を目指す。


やがて、かの有名なアイガー北壁 その上に出た
世界のトップクライマーたちが
北壁を登る時には麓からこの場所を目指してルートをとる。




話には聞いていたが、それを超える切れ具体。
通って大丈夫な場所は
トレースと呼ばれる足跡の所だけ。
まだ岩場も出てくる
雪の上では歩きやすいアイゼンだが
岩の上では滑りやすく心もとない。
ここまで来ても
登る者を拒むかの様に試練を与えるアイガー。

気合を入れ直すイモトだが、クルー全員疲労困ぱい。
全力を尽くす戦いを5時間以上続けてきた。
危険な場所とわかっていても足に力が入らずふらつく。
最大の試練は乗り越えたはず そう思うが故 余計つらい。
ここまできて、ようやく捉えたアイガーの頂上。

アタックから5時間40分
ついに、アイガーの頂上稜線を進む。
北壁側は1800m
南壁側は600m切れ落ちた
アルプス最大スケールのナイフリッジ。
強風によって雪がせり出した雪庇。
ステッチの様な足跡の外を踏むと雪は崩れ落ちる。
頂上まで伸びる一筋の足跡 その終点まであと30m。
北壁と南壁、さらに西壁。

3つの壁が合わさるその場所こそが
アルプスの名峰 アイガーの頂点。

2016年 夏 イモトが挑んだ第7の山
そこで、試されたのは「心」
襲いかかる恐怖に、一度は完全に心を折られた。
それでも投げ出さなかった理由は、ただひとつ、
たとえ逃げ出したとして、誰が責めるものか。
何度もそう思う自分がいた。

己の弱さを露わにさせようとする死の崖。
イモトは その戦いに勝った。
午後0時5分
イモトアヤコ アイガー登頂成功!
ロープで命を繋ぎあった仲間たちと、喜びを分かち合う。
絆が一層深まった隊の元にアイツがやってきた。
すごいのは山頂にピンポイントでつけるパイロット
こうしてイッテQ!登山隊全員をヘリで回収
そして今回のプロジェクトは
イッテQ!カレンダーの撮影も兼ねていた。

と言うわけでカレンダーは、この一枚に決定!
登山部の挑戦は、これからも続く。。。