Q.イッテQ!登山部南極プロジェクト

昨年11月、イモトを招集
そして登山部が挑むのが…南極大陸最高峰、ヴィンソン・マシフ
エベレストを始めとする
セブンサミッツの一角に名を連ねる名峰
七つの山の中でも最も登りきった者が少なく
その頂は神秘のベールに包まれている。
ヴィンソン・マシフへは、
寒冷地使用の特別機で南米チリを出発し、
3000キロ先にある
南極大陸北西部のユニオン氷河へ着陸。
そこからさらに小型機に乗り換え、
ようやく山のベースキャンプにたどり着く。
辺境の地である事はもちろん、
自然環境保全のため、
年間ここに立ち入れるのは、250人に限定されている。

その準備は11月下旬から始まった
まず向かったのは神奈川県相模原市
ここには、あらゆる気象条件が再現できる
人工気象室がある
ここで南極の寒さを知るためのシミュレーション
平均気温マイナス30度の世界を体感してみよう。
今回の目的は、耐寒訓練とともに
使用するカメラ機材のチェックや
身につける装備品の確認。
イモト、あまりの寒さに縮まるが天国じじいはものともしない。
寒さの感じ方は人それぞれ…
装備もそれにより、調整していく必要がある

撮影をしていく中で、トラブル発生!
サムライこと小野寺Dの顔に白い斑点が!
この白い斑点こそ、凍傷の始まり
顔の場合、自覚症状がないケースも…



続いて、風がある状態での実験。
寒さを左右する一番の要素は「風」。
一般的に、風速1m/sで
体感温度が1度下がると言われ、
気温-30度、風速20m/sの場合、
体感温度は、マイナス50度にもなる。
この状況でテントの設営訓練。
一度天候が荒れれば、数日回復しない事も。
その際には、この状況で耐え続けなければならない。
困難に打ち勝つ精神力が求められる。

それから3日後の11月30日
イモトは、スイス・ツェルマットに来ていた。
ここで最終調整を行う
今回お世話になるガイド陣と合流。
隊長は、エベレスト登頂8回の
日本人最多記録をもつ超一流のガイド、倉岡裕之
そして、ヴィンソン・マシフ2度の登頂経験を持つ田村真司
さらに若手クライマーの中島健郎
今回も我が国を代表する
登山界のエキスパート達が完全サポート!!

今回の合宿は、3泊4日の山ごもり。
南極により近い環境下で
実践的なトレーニングを行う。
ロープウェーで、一気に標高3,000mへ
すでに気温はマイナス18度
合宿としては申し分のない環境
そして、南極にはポーターがいないため、自分の荷物はもちろんの事、
チームで使う装備品や食料も、手分けして運ぶ
10kgのソリを引きながら、
5kgのリュックを背負う。
体力が求められる登山となるが
何よりも心配なのは「凍傷」

本格的なトレーニングは明日以降。
寝床となるのは、南極でも使うテント。
そんな中、唯一の楽しみは食事。
南極では、このような生活をおよそ1か月…


12月1日
気温は、マイナス22度。
この日は、ヴィンソン・マシフの難所を越えるための実践練習。
ヴィンソン・マシフの最大の難所。それは…
高低差800m、傾斜角度45度の急峻な氷河が
1kmほど続くルート
斜面に設置されたロープに
ユマールという器具を固定して登るのだが…
防寒手袋で作業がしづらいため、
いちいち外して薄手の手袋にならざるを得ない。
そして、登る時は厚手の手袋を素早く装着、その繰り返し
実際南極では、これを4、5時間続けなければならない。
そして、ユマールを強く握りしめる指先にも注意が必要

続いての訓練は、クレバス滑落対策。
氷河をまとうヴィンソン・マシフ
至る所にクレバスがあり、落下のリスクがつきもの。
イモトとロープを結ぶのは、天国じじい。
天国じじい、落下。
一方が落下した際、もう一方は引きずり込まれないように体勢を整える
天国じじいの体重を支えながら、雪面にアンカーを打ち込み、
ここに繋いでいた命綱を固定。
その身が自由になったら、
引き上げ用の滑車を取り付けて、
チーム全員で引き上げる。

辛い訓練に不満タラタラのイモトだが
この訓練が、すぐに役に立つ事となる。
テント場に戻るその道中。
先行するガイドが、雪に隠されたヒドゥンクレバスを発見!
それをイモトが、飛び越えようとした時。
イモト、クレバスに落下!
前後でロープを繋いでいたカメラマンが
イモトを支え、事なきを得た…

夜は再びテント。
マイナス23度まで下がった。
イモトは、寒いのが大の苦手



12月2日
本日は休息もかねて、イモトの気分転換コーナー
あなたも登山にイッテQ!
まずは、テント生活が楽しくなる最新グッズ
こちら、ランタン、水筒、スピーカーが
三位一体となった最新グッズ
しかしじじい興味なし。

続いては、倉岡ガイドのおすすめグッズ
こちらは、山男やアスリート向けに開発された
高機能パンツ
インナーにつけられたポケットが
究極の履き心地と快適性を実現し、
世界一気持ちいいと話題!
実は天国じじいも、このパンツを愛用

そして天国じじいは、
山ガールに嬉しいトイレ用品をご紹介!
欧米の女性クライマー御用達
その名も、「P-EZ(ピーイージー)」
女性でも立ったまま用を足せるという
これはまさに、イモトの夢を叶えるアイテム

12月3日
いよいよ合宿の総仕上げ
標高4,206m、アルプフーベル。
今日はあれに登る。
ヴィンソン・マシフと状況が似ており、
前哨戦にはうってつけ
この山で、ロープを共にするのはこの男
以前、お世話になった
マッタ―ホルン最速登頂の男・ミハエル
一般的なクライマーで、
往復10時間程かかるルートを
彼はわずか2時間半で踏破した
午前9時、登山開始。
頂上までは、片道4時間の登山。
気温が低く、澄み渡った景色が美しい。

高所順応はもちろんの事、体力強化も重要な課題。
なぜならヴィンソン・マシフにおいて
最も登山隊を苦しめる事になるのは、
超過密スケジュール 
ミハエルのペースは相当早い。
しかし南極では、これにぴったりついて行く
体力と精神力がもとめられる

登山開始から2時間。
ヴィンソン・マシフとよく似た傾斜。
急峻な氷の壁もなんのその。
イモトのペースはさほど落ちない。
南極に向けての準備は整った!
そして歩き始めて4時間…頂上稜線に到達
こうして、標高4206m、アルプフーベルの頂上に到達した
ヴィンソン・マシフ強化合宿は無事終了

12月13日、日本を出発
まずは飛行機を乗り継ぐこと30時間、
イモトは南米チリに降り立った
それでは異例、イモトと天国じじいを探せ!
首都サンティアゴから車で1時間、
サン・アルフォンソ・デル・マール、リゾート
幅1km、深さ最大3m、総水量3億リットル
ここは世界2位の大きさを誇るプール
南米のチリはこの時期、真夏
南極に行く前に最後のバカンス
天国じじいもゾーブ初体験
しかし、天国じじいは
山を降りるとただのじじい

サンディアゴから飛行機で6時間
南北に長いチリ、その最南端の都市へ
南極への渡航者は、この街で準備を整える
ここパタゴニア地方は「風の大地」と言われ、
1年を通して強風が吹き付ける
北にあるアンデス山脈から吹き下ろす風、
西からの偏西風、南極との温度差で生まれる南風、
3つの風が合わさって強風となる
南極へのフライトは、
一週間以上待たされることもざら
とはいえ、いつ出発になっても良いように
すみやかに準備を整える

まずは荷物整理
急な出発に備え、事前に全ての荷物を計量し、
先に空港に送らなければならない
我々の荷物は個人装備、食料、撮影機材を含め総重量1500kg
さらに南極に行く者は、
必ず参加しなければならないオリエンテーション
今回は世界各国から、60名が集まった

南極はどこの国にも属さない
現在53か国の間で結ばれている南極条約により
領土主張の凍結、軍事目的の利用禁止、
資源開発の禁止など、様々な事が決められている。
そのため南極への立ち入りも管理されており、
日本人が行く場合は、
環境省へ届けを出さなければならない
オリエンテーションが終わるといよいよ飛行機のチケットの受取

待たされる事 2日間。
ようやくゴーサインが出た
だが準備を整え出発しようとした、その時
とんでもない情報が飛び込んできた
安室ちゃん、まさかの紅白出場!
録画をしてこなかったイモト、本気で悔やむ

午前8時 空港に到着
通常どおり空港でセキュリティーチェックを受け、
ゲートで飛行機を待つ
今回の便で南極へ向かうのは60名。
ペンギン観察へ行く者、南極点を目指す者
そしてわざわざ苦難をしょい込み、山に登る者
冒険者を南極へと運ぶ機体・イリューシン76
元々極地での使用を想定し設計し
4つのジェットエンジンが誇るパワーと、
頑丈な作りで、南極フライトに採用された
いよいよ南極へ向け、飛び立つ

プンタアレナスから南極へは、およそ3000km
4時間半のフライト
窓がない為、モニターに外の景色が映し出される。
他に見るものもない為、みんなモニターに釘付け
すると…モニターにまさかの草刈さん登場!
ノリノリの草刈さんだが欧米人達なんのこっちゃ

ひたすら南へ向かう事4時間半
ついに南極大陸が見えてきた!
この地に人類が初めて降り立ったのは、わずか200年前
総面積1388万平方キロメートル
それはアメリカがすっぽり収まるほどの大きさ
大陸のほとんどを分厚い氷が覆い尽くし、
その厚さは平均で2000m、最大で4700m
富士山より分厚い氷が張りついている
もし南極の氷が全て解けたとしたら、
世界の海面が、60mも上昇すると推測されている
圧倒的なスケールで広がる、神秘の大陸
そこにはどんな冒険が待っているのか。
ついにイリューシンは世界の果て、
凍てつく氷の大地へと降り立った

いよいよイモト、南極への第1歩を踏み出す
冷たく澄み切った空気が、肌を刺す
今立っているここも、およそ2000mもの厚さがある氷の上。
低く見える山々も、実際は3000m級
その一角だけが見えている
これから3週間
過酷すぎる自然を相手に戦いが始まる

いまイモトがいるのは
ヴィンソン・マシフを擁するエルスワース山脈にある
ユニオングレーシャー氷河
南極に降り立った人は皆
ここから雪上車でベースキャンプに移動する
ここが南極の旅の拠点となる
ユニオングレーシャーキャンプ
アメリカのツアー会社により11月から1月の、夏期のみ設営されている

言うなれば、氷の大地のオアシス
ここに来るほとんどの人が
ペンギン観察などの観光ツアーの参加者
ごく一部の物好きが、過酷な試練にその身を投じる
一般の観光客が多いので、その設備はとても充実
まずは常設テント
もちろん温水のシャワーを完備
続いてダイニングテント
ばっちり暖房が効いており電気も使える
そしてシェフも常駐
ご飯は食べ放題のビュッフェスタイル
ここで天候を見ながらヴィンソン行きの飛行機を待つ

その間に、南極リポート!
まずは、お約束のあの実験!
お湯をばらまくと一瞬で氷になる
極めてシンプルな実験だが、
調べてみると、この現象が起こるメカニズムは、とても難しい。
例によって、我々にはよくわからなかったので、
知りたい人は、各自で調べて下さい。

そして南極の氷で流しそうめん!
この流しそうめん、南極にある世界各国の基地で楽しまれている。
元々、昭和基地、越冬隊の恒例行事だったが、
それを見た各国の隊員が面白がり、
娯楽の少ないこの地で楽しまれている

そして今回のプロジェクトには、
ヴィンソン・マシフ登山の他に、もうひとつ野望があった!
それは南極点のリポート
イッテQ!いよいよ地球最南端の地へと足を踏み入れる
南極点までは、こちらのスキーを装着した特別機で移動!
ユニオン氷河から南極点までは、
距離にして1200キロ、およそ4時間のフライト
内陸に向かうため、気温は一層下がる
そして雪と氷の滑走路に着陸。
この地の氷の厚さはおよそ2700m
年間平均気温、マイナス49度というまさに地球の極地
イモト、ついに南極点に立つ!

とここで宮川から差し入れが
それはかき氷機!
南極点の氷で頂く贅沢さ!
世間はかき氷ブームだが、これ以上の氷はなかなかないはず!
シロップは、天国じじいが大好きな、いちご味
果たして、そのお味は…雑味がない透き通った味!
普通、雪や氷はほこりっぽい雑味があるが、
ここでは一切それがない。

南極点と言ってもただポールが立っているだけ
あとは何もすることがない…が、
せっかく南極点にきたのだから
もうすこし爪痕を残したい!
という事で、南極点、サウスポール大喜利、開催!
倉岡ガイド、カメラチーム、そしてイモト、石崎。
どんどんおもしろくなくなっていく大喜利、
もはやこれ以上の滞在は、色んな意味で危ない。

12月19日、ついに登山隊の戦いが始まる
天候が安定しているため、急いで準備!
いつ天気が急変するかわからない
1トン以上の荷物を急いで積み込む
ヴィンソン・マシフのベースキャンプまでは
短い滑走路でも離着陸できるツインオッターで移動
恵まれた環境とはこれでおさらば
標高もあがるため、気温は一段と低くなる
不安と期待をのせ、ツインオッターテイクオフ
高度が上がるに従い 南極大陸
その途方もないスケールが見えてきた
彼方まで続く白銀の大陸
実に、地球にある氷の9割を擁している
降った雪は溶けることなく、また積もる
それを繰り返すこと3000万年
雪は圧縮されやがて厚さ数キロにもなる氷の大地となった
足跡はおろか、生命の痕跡が一切ない静寂の世界
滅多に見ることができない 地球、最果ての地
その絶景を、まぶたに焼き付ける
出発して40分
南極半島の付け根にあるエルスワース山脈が見えてきた

ついに姿をみせた 南極大陸最高峰ヴィンソン・マシフ
人類が初めて登頂したのは1966年
それは、セブンサミッツの中で最も遅く
登頂した人数も最も少ない神秘の頂き
その麓 比較的平坦な雪上にツインオッター着陸
ここが登山の出発拠点となる
ベースキャンプ 標高は2140m
チェコ隊やインド隊など世界各国から4つの隊が集結
広さはサッカー場ほど
周囲には赤い旗が立てられている。
その外にはクレバスがある為で
一人で出歩くことは決して許されない
ここからはっきりと見てとれる その頂

それでは登山行程を説明しよう
標高4892mの頂上までは片道およそ27キロ
往復で50キロ以上というタフな道のり
途中、ローキャンプとハイキャンプ
二つを経由し頂上を目指す
天候に恵まれれば、1週間ほどで登りきれるはずだがひとたび崩れれば、1週間以上閉じ込められる事も珍しくない

まずはこのベースキャンプで2日間過ごし高所に体を慣らす
白夜のため、明るいが、時刻はすでに夜8時
スタッフ全員分10個のテントを設営
今回使用するのは、強風に強いトンネル型のテント
とはいえテント内もマイナイス10度まで冷える
ここを2人で使用
カメラ他機材の充電はソーラーパネル
飲料水は、雪を溶かして作らなければならない
山において水はなによりも貴重
そのため欠かせないのが食器類の管理
食器に名前を書いて各々責任をもって管理する
食事は、ロシア人ガイド・ウラジミールが担当
素早く体が温まる・スープが主食となる

そして体内時計が狂いやすいヴィンソン生活で
草刈さんの目覚まし時計の差し入れ!





12月20日
テント内でも冷凍庫状態
この日の天気は快晴、気温はマイナス15度
暖かさとは無縁のテント暮らし
一切暖をとることができないのが精神的に辛いところ
そんな中、明日からの試練に向け隊の結束を強める、決起集会!
その名もヴィンソンライブ
それぞれが、好きな芸人さんのネタをアレンジして披露
トップバッターは天国じじい貫田さん
「サンシャイン貫田」

続いては音声・廣瀬のエド・はるみ






ガイドチームから技術チームまで
懸命に考えたネタで勝負
ドクター本池は小梅太夫





最後は、ディレクター石崎
「石崎100%」






休息日とはいえ遊んでばかりはいられない
大量に荷物があるため、選抜されたガイド陣が、
9キロ先にある次のキャンプへと荷揚げに向かう
ソリを使ってひとり70キロもの荷物を運搬
そして最新の天気予報を日本に確認
アタックまでの作戦を立てる
25日に登頂を設定した場合
明日、次のキャンプへ移動
22日は高所順応として適度な上り下りを行い
23日は休息
24日にハイキャンプに入り
25日最終アタック
そして登頂後、一気に麓のベースキャンプまで下山する作戦
余裕をもった理想的なスケジュールだが
果たしてこの通りにいくかどうか?

だが、早くも想定外の事態が起こる
肝心のイモトが風邪で体調を崩してしまった
イモトは進むというが
その症状は思いのほか深刻
これまでの遠征では点滴で回復をはかってきたが
南極では、一晩ともたずに凍ってしまう
一度凍結した点滴は、そのあと溶かしても
成分が変わってしまう事もあるため持ち込んでない
今頼れるのは薬だけ
この先、風邪の症状は悪くなる事はあっても完治することはない
南極最高峰を相手に、イモトは大きな枷を背負わされてしまった

そして、午後11時
お昼に出発した荷揚げチームがローキャンプから戻ってきた
その姿から行く道の過酷さが伝わってくる
強靭なプロ達でさえキツイというルート
体調を崩したままでいけるのか?
不安が一層大きくなる
早くも狂いだした歯車
マイナス10度の寝床で、イモトは眠りについた

12月21日
天気は曇り 太陽が遮られ 気温はマイナス18度
鼻づまりと悪寒は残るが
最も心配だった熱は下がった
この状態で登るべきか否か?判断が難しい
結果、体調よりも天候を優先する判断
午後2時20分 
いよいよヴィンソン・マシフに一歩を踏み出す
今日の目的地は、標高2780m ローキャンプ
高低差は600mほどだが、とにかく距離が長い。
9キロを7時間で登る
ここから先、寝袋やピッケルなど個人装備は全て自分で運ぶ
リュックとソリを合わせて、総重量は20キロにもなった

体調が万全ではないイモト
しかし、どんなに辛くても
前へ進む理由がイモトにはある
おそらくは最初で最後、
人生で一度きりであろう南極の冒険
そこに悔いは残したくはない
だが、気持ちは浮き沈みを頻繁に繰り返す
まだ、序盤の序盤にもかかわらず、山に呑まれ始める
ロープが長いため
他の隊員とコミュニケーションがとれない 孤独な戦い
2時間、歩いて初めての休憩

雲が晴れば、気持ちも変わる
ようやく太陽が顔を出してくれた
これまで見えなかった、行く道が浮かびあがる
さらに、太陽がもたらす心配がもうひとつ
そこで、手越からの差し入れ
絶対に日焼けしないマスク
その時の感情にあわせセレクトできる
これで日焼けの心配はなくなった
だが致命的な欠陥が…前が見えず息ができない

出発から6時間
ほぼ歩き通し、次第に体が悲鳴を上げ始める
さらに、めまぐるしく変わる天候
体温調整も難しい
そして、レンズ雲と呼ばれるものが現れた。
この雲は上空の風が強いときに発生。
登山界では、強風に襲われる予兆とされる不吉な雲
この時は噂程度に受け流したが
のちに我々は、その恐ろしさを思い知ることになる
そして、ヴィンソン・マシフ最大の難所が姿を現した
それは1キロ続く急斜面
平坦な場所は一つもなく
滑落防止のため、常にロープがはられている
東京タワー三つ分をユマールという器具を使って
一気に登らなければならない

ベースを出発して実に7時間半
標高2780m ローキャンプ到着
依然、鼻水と喉の痛みが残るイモト
体調には不安があるものの、幸いなのは、天候
スケジュールに変更はなし
明日、雪は降るが、風は弱いため
予定通り適度な上り下りで高所に順応
さらにガイドチームは次のキャンプへ荷揚げを行う

試練に備え、皆が眠りにつき始めた時
突如、自然の猛威が牙を剥く
予報にはなかった強風が吹き出した
テントを支える杭が次々と吹き飛ばされる
皆、寝袋から飛び出し 急いでテントを補強
雪を掘り起こしブロックで壁を作る
風速は推定で秒速33メートル
大型台風レベル
この後 弱まるのか?
もっと強くなるのか?南極の風は予想ができない
テントが吹き飛ばされたら終わり
もはや体感温度はマイナス50度以下
必死に作業するが、立っているのがやっと

翌日も風は止まない
本来、荷揚げと高所順応にあてるはずが
それどころではない
30メートル先のトイレに行く事もできない


12月23日
ようやく風がおさまり快晴
だが、テントを出るとそこには惨状が広がっていた
ぺちゃんこになったテントに
崩れ落ちたスノーブロック
10個あったテントのうち、
実に8つが崩壊してしまった
カーボン製のポールは折れ曲りアルミの杭もグニャグニャ
テントを直さなければ、先へは進めない
折れた部分はその部分だけスペアのポールに差し替え
曲がった部分は、強引にまっすぐに曲げなおす
山男たち総出で修理にあたり 6時間後、なんとか修復終了
とはいえこの日も、修理に1日を費やし
当初のスケジュールは完全に崩壊
2日という貴重な時間を風により奪われた登山隊は
ここで一転 追い込まれた

唯一の手段は、かつてない強攻策
つまり、高所順応及び荷揚げを削り
明日、皆で大量の荷物を背負いハイキャンプへあがる
そこで仮眠をとり、25日に山頂アタック
そこから、一気にベースキャンプまで下山する作戦
不安要素は尽きないが、
これが山頂に立つ唯一の方法


想像すらできない地獄の2日間
隊に漂う緊張と不安 そこで!みんなが笑顔になるクリスマスプレゼント
それは「ロシアンぬーれっと」
ヘルメットの上に水を入れ
ロシアンルーレットの要領で棒を順番に引き抜いていく
ハズレを引くと頭がびちょびちょに
これを南極でやれば盛り上がること間違いなし!
風邪気味のイモトが気になるが…
本人は絶対に当たらないと豪語
じゃんけんで順番を決める
イモトは一番を選択
後ろの人が順番に抜いていく
果たして!?
イモト、まさかの1発アウト

ロシアンぬーれっと2回戦
気温はマイナス15度
だからこそ異様に盛り上がる
さぁ残りはあと4人
ここで石崎がアウト!
隊の雰囲気は一変、皆に笑顔が戻った

12月24日
地獄の2日間がいよいよ始まる
天気予報は的中
無風3日間の足止めで、イモトの風邪は回復
テントや個人装備を撤収
ここから先、急斜面があるためソリは使えない
全てリュックに詰め込む
荷揚げを削ったため 食料や燃料は皆で分担快晴 気温マイナス14度
60リットルのリュックはパンパン
15キロにもなってしまった
今日の目的地は、3780mのハイキャンプ
高低差は1000m 8時間の行程
午後4時 ローキャンプからついに前進
待ち構えるのはヴィンソン・マシフ最大の難所 1キロ続く急斜面
いよいよ心臓破りの坂に突入
フィックスロープにユマールを取り付け、登攀開始!
傾斜は平均で40度 座って休める場所などない
幸い気温が高いため、手袋は一枚
ユマールの架け替えはスムーズ
順応できていない体
息を切らさないよう深呼吸しながら進む
はるか眼下に見えるローキャンプ
標高はついに3000mを超えた
15キロのリュックをものともせず快調なペース
わずか2時間で半分ほど登った

ルートから脇に外れ 初めての休憩
ここで、ご機嫌だったイモトが突然怒りだす
イモトが見たのは誰よりも小さいアレックスのリュック
イモト、日本語で怒りをぶつける
そんな心が狭いイモトに対し
眼下には広大な南極の絶景が
登れば登るほど、ここが南極である事を実感させてくれる景色
生命の痕跡が一切ない 巨大な大陸
ここには極限の厳しさと同時に極限の美しさがある

登り始めて4時間
予定よりもはるかに早いペースで
最後のフィックスロープに突入
足元は、両サイドが切れ落ちる ナイフリッジ
しかも傾斜は、これまでで最大45度
スキーのジャンプ台以上の急斜面
アイゼンをしっかりと蹴り込み、一歩一歩確実に
登攀開始から5時間
最大の難所を見事に踏破!

標高は3500m
ここからハイキャンプまで2時間はかかる
緩やかな斜面にもかかわらず
先ほどよりも辛そうなイモト…
南極にあるヴィンソン・マシフは、
高緯度にあるため気圧が低い
加えて高所順応できていない登山隊
頭痛や吐き気など症状はそれぞれだが
風邪をひいているイモトは、
倦怠感と脱力感に苦しめられる
追い打ちをかけるように 太陽が山陰に隠れてしまった
15キロのリュックを背負って1000m登ってきた
予想していたよりはるかに大きなダメージ

しかし、心が折れる寸前でなんとか辿り着く
標高3780m、ヴィンソン・マシフの最終拠点 ハイキャンプ
ついに南極大陸最高峰、その喉元につけた
明るいが時刻はすでに午前0時
急いで体を休める


順応なしの強攻策 不安要素が山積みの中
登山はいよいよ佳境を迎える
アタックの準備を行い
床についたのは 午前3時
睡眠時が最も高山病になりやすい
山男の小久保さんが一晩イモトにつきそう
12月25日 クリスマスの朝
するとイモトのもとにサンタさんからのプレゼントが
それはある方からのメッセージカード
「イモトさん頑張れ!ナミエより」
「ナミエ」の正体は…石崎Dの母の友達の娘の「ナミエ」。

幸い高山病の症状はない
睡眠も6時間とれた
疲労は残るが、今の所天候は味方してくれている
気温はマイナス22度
それでは最終アタックについて説明しよう
標高4892mの頂上までは高低差1120m
往復14キロ 17時間かかる道のり
難所となるのはただ一つ、頂上稜線
左右が切れ落ちたルートで
足場には雪と氷と岩がランダムに現れる
さらに、明日以降悪天となるため
登頂後ベースキャンプまで一気に下山しなければならない
24時間 陽が沈まぬ白夜の山を相手に
24時間 不眠不休の戦いがついに始まる

午前11時45分
ヴィンソン・マシフ最終アタック開始
頂上稜線までは、ご覧のような緩やかな斜面が延々と続く
天候は下り坂 下山の事を考えると
頂上稜線まではできる限りスピードをだして貯金を作っておきたい
風がなければ汗ばむほど暖かい
しかし、頂上に近づくに連れそうは行かない予報
汗ばんだウェアーがキンキンに冷やされる

出発して1時間半、目指す山頂が姿をみせた
あれこそ歴代の冒険家が憧れた
南極最高峰 その頂き
左側からまわりこみ頂上稜線を登っていく
頂上稜線までは、なだらかで難所となる所はない
だが、このエリアでなぜか不調者が続出
厳しいルートの場合、適度な緊張感で
アドレナリンが分泌されるが
単調で緩い傾斜では、かえって疲労が押し寄せる
それこそが、ヴィンソン・マシフの仕掛けたトラップ
順応していない体に、高山病が忍び寄る

最終アタックとは思えないほど 隊の足取りは重い
24時間耐えなければならないのに
序盤の序盤で危うい空気
全身にのしかかる倦怠感と眠気
口を突いて出るのは、弱音ばかり
出発からわずか4時間
はやくもイモトの心が折れる
この時点でこの精神状態は危うい
なぜならまだ山頂ははるか彼方
声を張り上げ、己を鼓舞して登る

だが、わずかに灯った闘志を
ヴィンソン・マシフはすぐさま奪いにくる
頂上稜線に近づくほど、強さを増していく風
圧倒的な自然の猛威に力なく煽られる
いつものイモトならば、逆風でこそ闘志を燃やし
根性で立ち向かっていくのだが、
一度止まった足がなかなか前に出ない…
マイナス20度の極地
心が浮き沈みを繰り返す
引っ張られるロープにただ身を委ねるだけの行軍で息も絶え絶え
なんとか頂上稜線の根元に到達
ここが休憩できる最後のポイント

頂上稜線は、片側が300m以上切れ落ちたルートを強風の中進む
一歩一歩踏ん張れる体力と、強い気持ちがなければ
すぐさま吹き飛ばされてしまう
ここまで来てもなお、闘争心に火がつかないイモト
その歩みには、全く力がない
ごまかしながらも前に進んできた行軍が遂に止まる

そして、ここで石崎が不調を訴えた
それは明らかな高山病の症状
イモトとロープをほどき
アレックスとマンツーマンで先へと進む石崎
ベースでは、あんなに元気だった石崎だが
今や、それは見る影もない
その後ろ姿に倉岡さんが判断を下す
そして、石崎の下山が決定された
その判断を本人に伝える
だが、石崎のリタイヤがイモトの闘争心に火をつけた

ヴィンソン・マシフ頂上稜線
稜線上は風を遮るものが何もない
凍てつく強風が登山隊を直撃
しかも足場は左右が切れ落ちたナイフリッジ
気温はマイナス27度
まるで台風の中すすむ平均台
一瞬でも油断すれば命はない
頂上まであと300m

頂上まであと200m
目の前の岩を左から迂回してすすむ
出発してすでに8時間
体力も精神力も限界が近い
手足の感覚はみるみる失われていく
それでも止まりはしない
ここまできたら何としてもたどり着く
一生に一度 いつかは行ってみたいと憧れた南極
そこは、想像以上に過酷で、厳しい世界だった
それでも、クリスマス・安室ちゃんの紅白
そして、正月まで返上し挑んだ この戦いに
何としても勝ちたい

頂上まで あと20m
いよいよ南極大陸最高峰
標高4892mの頂へ
あと5m
そこは、広大な南極大陸には似つかわしくない
人ひとり立つのがやっとの小さな頂き

そしてついに、イモトアヤコ
南極大陸最高峰ヴィンソン・マシフ登頂成功




そして今回、頂上からの美しい映像をお届けするため
8Kカメラを頂上まで担いできた
おそらくは世界初となるその映像をご覧ください




頂上にいられたのはわずか15分
天候が悪化する前に急いで下山
登山隊全員が無事ベースキャンプに帰還




そして今回のプロジェクトは
イッテQ!カレンダーの撮影も兼ねていた
というわけでカレンダーはこの一枚に決定
登山部の挑戦はこれからも続く