#337 仕分け
November 30, 2009

091124shiwake1.jpgいわゆる「事業仕分け」が終わりました。9日間の仕分け作業、日本テレビの集計では事業の「廃止」が74、「来年度予算計上見送り」が20にのぼりました。結果、予算執行停止を提言された総額は2583億円あまりに。国庫に返還するよう求められた基金などのいわゆる「埋蔵金」は9109億円を上回りました。次世代スーパーコンピュータの研究開発費など、科学技術関連予算の扱いなどについては批判もあがりました。仕分け人の人選や、提言のもつ拘束力が不明な点など、問題点もありますが、仕分け人が9日間に洗い出した「無駄」の総額は1兆6207億円!1兆6207億円ですよ。

091125shiwake3.jpg国のレベルでの「仕分け」というと、こんなに大きくなるのでびっくりですが、実は我々も、日々小さな「仕分け」を積み重ねて暮らしているわけです。ちょっと考えてみましょう。朝。新聞が届くとやりますよね、チラシ広告をふむふむ…と吟味して捨てるものと残すものの選別。私はテレビ雑誌を買うたびに、赤ペンを持って「録画する番組」を仕分けて印を付けます。そういえば、「バンキシャ!」の一員だったころは、スタッフの使ったお金の精算処理業務もやっていたので、放送後に積み上げられた大量の伝票の仕分けが日常でした。

 …とまぁ、人は仕分けながら暮らしている。「きょうやるべきことをリストアップ」したり、「上司に報告するときに、どこまで話してどこまで黙っているか」考えたり。
 091128tree.jpgあすから師走。年末のこの時季は仕分けの連続です。忘年会の幹事さんだったら、会場の選定、参加を呼びかけるメンバーの範囲を決めるのだってそう。年賀状の用意はしましたか?年賀欠礼の方のぶんを選り分けないといけません。家計簿だって再度チェック。来年からやめようかな、という項目があるかもしれないですからね。仕分けても「1兆円」なんてことには絶対ならないのが空しいですけれど。
 小さいことではクリスマスツリーの飾り付け。この週末にやりました。一つ一つ手に取ると、枝にひっかけるための糸がちぎれていたりして、ダメになっているのが出てきます。ちまちまと仕分けして、ひとつひとつ取り付けます。ふぅ。

列挙してみると、「仕分け」は本来地味な作業ですね。耳目を集めないところで、世のため人のため、静かに「仕分け」を仕事にしている方も多いのでしょう。どんな職場にもそういう人がいて初めて、社会は大過なく回っていくもの。仕分けを傍聴していた方の多く(現場で見る限り、何の色もついていない善意の市民ばかりでした)も、きっとそういう立場から、自分の目で大きな作業のゆくえを見守ったのではないでしょうか。

#336 アイロン
November 23, 2009

091121h.jpg特技「アイロンかけ」の近野です。アイロンをかけるというのは、やっているとだんだん我を忘れるものでして(一種のハイになる)、テレビをつけるよりも音楽をかけているほうが捗るものです。写真はこの週末にアイロンをかけたハンカチたち。洗濯して干すたびに籠の中に入れていたものが溜まり、いっぽうでもともと入っていた引き出しのストックが底をつきそうになるわけです。

で、だいたいひと月に一度ぐらいにまとめて一気にアイロンをかけることになるわけですね。一枚、二枚とかけ始めて、だんだん興に乗ってきます。最初のうちは、比較的しわが伸びやすい素材(すみません布の種類がいまひとつ分かっていませんので)、徐々にしわを伸ばしにくい素材や、一度ついたくせを除去しづらい素材に移行するわけです。「ああ、これは○▽さんから頂戴したもの」「これは出張先で買ったような…」とつらつら思いだしながら台の上を滑らせます。
で、最後の一枚を仕上げたところで数えてみました。その数は33枚。なるほど、たしかに月に1回、というペースに合致していますね。これらを引き出しに納めて、これで年末近くまではいけそうです。


091024kaki.jpg早いものでことしももう間もなく師走。秋になったと思いきや、「クリスマス」「忘年会」といった言葉がちらほら聞かれる時期になりました。秋の味、いろいろ堪能しましたのできょうはその一枚もおまけ「食べもノート」として。こちらのシャーベット。オレンジ色をしていますが、その味は「柿」です。わが地元、新潟の柿を使った冷んやり味。もとの甘みが十分なので、さっぱりとしながらもしっかり旨い。柿そのものは苦手だという人も少なくない果物ですが、これなら万人に受けるでしょう。

#335 停滞
November 11, 2009

20年前のちょうど今頃、東西ドイツを分断していたベルリンの壁が崩壊しました。東ドイツではホーネッカーが退陣し、新政権が国民の旅行の自由化を決めたという情報が出回り、市民が歓喜して壁の向こう側へ向かいました。そして11月9日から10日にかけて、煌々と照らされた壁。永遠に消え去ることはないと思われていた壁の上で市民がツルハシを振り下ろす、印象的なシーンに繋がります。西ドイツの指導部を中心に、「最悪の事態となれば、第3次世界大戦か…」との危惧もあったものの、世界中にこのツルハシの刻んだ音は福音として受け止められました。

何度も書いたり話したりしていますが、当時高校生だった私は、単純にも「これで世界は変わる」と信じて、いわく形容しがたい気持ちを抱きました。争いや失望の時代から、民族や宗教を超えた明るい希望の時代に変わるのでは、という高揚感と期待とでも言うのか、そんな心持ちです。この89年という年はバブル経済に世情が狂乱し、年末に日経平均株価が3万8915円という、空前の(しかも絶後の)終値をつけた年。つまり国際政治も経済も、これからとどまりのないふくらみを持っていく、かのように新潟の高校生にも思えたわけであります。夢のような新しい世紀が待ちかまえていると。

しかしその希望のキャンバスが、非常に短い期間で落胆のインクに染められて行ったのはご存知の通りです。逆行のうねりは、解消されるかに思えたものをむしろ固着させてしまいました。その日本における最たる例が、沖縄の基地問題です。
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写真は普天間第二小学校。手前が小学校のグランド。その先、金網のフェンス一枚の向こうに広大な普天間基地が広がります。ここに限らず、初めて沖縄に取材に行った14年前と今と。基地に纏わる諸問題は本質的にはまったく変わっていません。一言でいえば、「停滞」です。この間、すでに100回以上沖縄に足を運んできましたが、結局のところ、県民にとって本質的な変化はないと言い切れます。現に今回の滞在中にも、死亡ひき逃げ事件が発生、アメリカ兵が警察に事情を聞かれています。日米地位協定により、兵士の身柄は日本側には直ちには引き渡されません。

「基地が少しでも減れば…」という思いから、沖縄では夏の総選挙で普天間基地の県外移設を訴えた候補が当選しました。しかし沖縄で今回取材すると「期待を裏切られた」という声がすでに横溢しはじめていたのです。複雑な数式を同時に解くようなことは困難という情勢からか、今週来日するオバマ大統領との日米首脳会談では、普天間基地の問題は主要な議題とされないもよう。もとより外交・安全保障の考え方を大きく変えるには尋常ならざるエネルギーを要します。しかし戦中戦後と苦しい思いを続けてきた沖縄にとって、一刻も早く「停滞」を終わらせるのは死活的に重要なこと。日米の新政権はどんなかたちで、固着した基地問題に希望のツルハシを打ち込むのか。好機と捉えて進めて欲しいと願うばかりです。

#334 税収
November 2, 2009

暦は11月。霜月です。週末は夏日になるほど暖かい地域があったようですが、週明けの朝は冬型。東京もぐっと秋が進んだ感じがします。駅までの道で、ホームで、コートを着た人の姿が急に増えました。いまもどんよりとした曇り空。パラパラと雨も落ちてきています。きょうはこのままヒンヤリした一日になりそうです。

091024%20sunset2.jpg「ヒンヤリ冷え込み」といえば、日本国の懐事情も同様です。連日のようにお伝えしていますが、来年度の税収はずいぶんと落ち込みそうです。今年度の一般会計の税収は40兆円を下回る見通し。当初の見込みは46兆円でしたから、6兆円以上の落ち込みとなるようです(10月16日の日テレ報道)。さらに。きょうの日経新聞朝刊によれば、法人税の税収は5兆円~6兆円にとどまるそうで。これ、1970年代並み。所得税も前年の実績を下回っていて、一般会計の税収は40兆円を割る恐れもあるということで、冷え込みは夕暮れ感が横溢。季節の移り変わり以上に早くやってきています。

 体が肌寒さを感じたときには、手持ちのコートを羽織ればいいのですが、財政事情の寒さは如何ともしがたいものがあります。時間はかかるけれども基礎体力を鍛えて薄着のまましのぐのか、借金をしてまでコートを買うのがいいのか。もし買うならそのコートの暑さはどれぐらいが適当なのか。分厚いコートが重すぎて、立っていられなくなっては元も子もありません。

 政府はとりあえず、タバコ増税をほのめかしています。ガソリン税などの暫定税率の廃止を一部先送り検討、という報道も出ています。何しろ大型の予算を組む必要があるマニフェストですから、確実な歳入は必須。その手当てが付かないときにどうするか、国民の受け止めかたを意識しながら重大な判断を迫られます。で、その国民はというと、けさの東京新聞の世論調査。「赤字国債抑制のため、公約の先送りや一部修正」を「してもよい」とする人が68%だそうです。莫大な国の借金については、相当の危機感が共有されているということでしょうか。

これから木枯らし、霜の時季です。冬将軍が過ぎ去った先に光明が差してくるのか。新政権の施策から目が離せません。