前回の当コラムで、私こう書きました。「くれぐれも『様子を見に行く』ことだけはしないように、そして、避難が長引くとしても『もう大丈夫だろう』と、勝手に見切りをつけないようにしてください」。
しかし、残念ながら「やはり」と言うべきか、まったく危機感の感じられないデータがその後明らかになりました。まずは「海に近づいた者」について。チリでおきた地震で津波警報が発令された先月28日、海に出ていたサーファーや見物人などが、海上保安庁などが確認しただけでも1300人あまりいたそうです。仮に予測通り3mの津波が押し寄せていたら、まずこの人達の命は無いでしょう。問題なのは、自分勝手な人の行動で、多くの警察・消防関係者、自治体職員などのマンパワーが割かれ、彼らの身も危険に晒されることです。
いっぽう避難の状況は。各社の報道を総合すると、避難勧告や避難指示に従って避難した人の割合は、わずか数パーセントにすぎなかったようです。
これらの数字を見るに、日頃我々が全力を傾注している「防災」報道が、どこまで浸透しているのか、本当に残念でなりません。警報の出し方、解除のタイミングをめぐって気象庁は謝罪していましたが、実際1mを超える津波は押し寄せていたのです。つまり、今回はたまたま最悪の被害を免れただけと考えるべき話です。津波の高さについては予測の精度にいくらかのブレはありますが、仮に予想以上の津波が来ていたら、恐らく「警報が甘かったのでは」という批判が巻き起こったに違いありません。
我々も含め、多くの市民は地球規模の災害に、科学的客観的な分析をしようがありません。相応な根拠をもって発令された警報を軽視し「やっぱりそんな津波は来なかったじゃないか」と後刻批判するのは、自然の脅威を忘れたひとりよがりと言わざるを得ない行為です。今後、情報を出す側が精度の高い警報を出したとしても、情報を受ける側が甘く受止めては意味がありません。「今回大丈夫だったから」という思いこみは禁物です。
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