
交差点の真ん中で車が水没、コンビニの店内でぷかぷかと漂う商品…。郊外や山間部ではありません、名古屋市の中心部を豪雨が襲い、このような状況となってしまったのです。私が取材に向かったのは、一夜明けた愛知県岡崎市。増水した川の水は隣にある水田へと流れ込み、水田はまるで大きな湖のようにその姿を変えていました。住宅街では、住民の方々が水に浸かってしまった家財道具の片付けに追われています。また別の場所では、家屋の土台部分が水にえぐり取られ完全に流されてしまい、行方がわからなくなった一人暮らしの女性の捜索が懸命に続けられています。流れの速さが緩やかになったとはいえ、川に体半分浸かっての捜索活動は、困難を極めていました。東海地方を襲った未曾有の集中豪雨。今年6月に起きた岩手宮城内陸地震の時と同様、天災の脅威を改めて痛感させられます。最近各地で多発している、今までにない天災。地球が悲鳴を上げ始めているように思えてなりません…。

本来、住民を救うはずの警察と消防。もしSOSを出した時に、それが届かなかったら…。関東北部を襲った集中豪雨で、高架下に水が溜まって軽自動車が水没し、女性が亡くなっていたことがわかりました。遺族に話を聞くと、亡くなる直前に女性から電話がかかってきて、悲鳴と共に「さようなら」と残したそうです。哀しみに暮れながらも懸命に経緯を語った遺族からは、目撃者や本人から通報があったにも関わらず、場所を勘違いし出動しなかった警察と消防に対する怒りと憤りがひしひしと伝わってきます。しかし何より気になったのが、遺族に対する市長の対応でした。市長は遺族の元を訪れると、謝罪もなしに慶弔金として5万円を遺族に渡そうとし、さらには領収書を求めてきたというのです。あまりにも非常識すぎて、俄には信じられませんでした。しかしそれがもし事実だとしたら…。市のトップたる者の行動として、何より“人”として、疑問を感じざるを得ません。

普段は事件や事故などを取材している私、しかし今日ばかりは違いました。北京オリンピックで、水泳の北島康介選手が、世界新記録を叩き出した100mに続き、200mでも見事金メダルを獲ったのです!こういうニュースを取材する時は、やはりホッとした気分になります。それにしても北島選手、まさに有言実行の男。前回のアテネでも金を獲り、日本中の期待を一身に背負い、間違いなく相当なプレッシャーとも戦っていたはず。多大な重圧をはね除けて期待に応える、その精神力にはいつも圧倒されます。私が取材に行ったのは、「子供に夢を持って欲しい』と、去年北島選手が“一日教師”として訪問した小学校。夏休み中にも関わらず教室には20人以上の子供たちが集まり、汗を流しながら大きな声で北島選手を応援しています。「北島先生、頑張れ~!」…子供たちが口にしているのは、北島“選手”ではなく、北島“先生”。その言葉から、子供たちにとってどれだけその存在が大きく、どれだけ励みになっているかが容易に伺えます。200mでも金を獲った北島“先生”、子供たちが歓喜に沸いたのは言うまでもありません。

前日から激しい雷雨に見舞われていた関東甲信地方。別の取材で神奈川県にいた私に「豊島区で、地下マンホールの工事中に人が流された」との連絡が来たのは、午後1時頃でした。急遽取材を中断し、現場へと急行することに。都心に近付くにつれ徐々に強くなる、車のフロントガラスを叩く雨の音に不安を覚えながら現場に到着すると、そこは一軒家と商店が密集した住宅街で、迷路のような路地の至る所に立ち入り規制が敷かれていました。現場となったマンホールでは、作業をしていた方々がどこに流されたのか確認する作業が懸命に行われています。しかし雨は次第に滝のような勢いになっていき、危険なため作業が中断されることも。それでも土砂降りの豪雨の中、なんとか作業を続けていく消防隊からは、“命を救う”その気迫が痛いほどに伝わってきます。マンホールの中を水が一気に流れた時、それはどれほどの勢いになるのか。翌日、長崎県佐世保市の実験施設で実際に体験すると、事故当時の秒速3mの半分、秒速1.5mでも、足全体に大きな固いものがぶつかったような衝撃を感じ、二本の足で立っていられず流されそうになります。日常的に触れ合っている“水”が一度牙をむくと、どれだけ危険なものへと変わるのか、改めて痛感させられました。

車、車、車…その日取材に向かった私たちの車は、何十台と続く渋滞の中で身動きが取れない状態でした。都心と埼玉方面を繋ぐ、首都高速道路5号線。前日の午前6時頃、大型タンクローリーが横転・炎上したのは、その下り線でした。立ち入りが許され現場に入ってみると、丸一日以上たっているにもかかわらず、鼻を突くような何とも言えない焦げ臭い臭いが立ちこめ、高速道路に隣接するマンションの壁には焦げた跡が。発生当初、凄まじい炎が上っていたことがわかります。タンクローリーは、ほぼ直角のカーブにさしかかった際に曲がりきれず横転したとみられていますが、現場に残されたタイヤの跡を見ると、
それが事実であることが容易に伺えます。この事故のため5号線は完全に通行止めとなり、その影響は下の一般道にまで広がっていました。過失ではすまされない大事故。これだけの事故で人的被害がなかったことが、何よりの救いでした。


