From イングランド

ラグビーワールドカップ取材記

2015年10月4日

サモア代表戦翌日。ジャパンのエディー・ジョーンズヘッドコーチが一夜明け会見に臨みます。

「次のアメリカ代表戦のことばかり考えています。日本で最も大事な試合です。しっかりとした準備が必要です。勝てば任務完了。それ以外のことはコントロール外です。その後に小さなプロジェクト(決勝トーナメント)があればいいですが、そこは、気にしていません」

日本代表は、加盟する予選プールBでの勝ち点を8まで積み上げました。準々決勝へ進める上位2チーム以内に入るには、まずアメリカ代表戦で勝ち点5(勝利により4とボーナスポイントによる1)を獲得し、13まで積み上げなければならない状況です。しかも暫定1位で勝ち点11の南アフリカ代表と暫定2位で勝ち点10のスコットランド代表の試合結果次第では、アメリカ代表から勝ち点5を奪っても目標を果たせないこととなります。

そのあたりの質問をけん制すべく、冒頭の一言で「勝てば任務完了。それ以外のことはコントロール外です」と。

周りからは、こんな質問も飛びます。

――同日、トゥイッケナムスタジアムではオーストラリア代表がイングランド代表を33-13で撃破しました。

そう。あの日、ウェールズ代表に屈したイングランド代表は、そのまま開催国ながら予選プール敗退という憂き目にあったのです。

「昨日はオーストラリア人として誇れる日でした。赤ワインを飲みました。素晴らしい試合だったと思います」

こう笑った指揮官。のちに海外メディアでの単独取材に、1人称コラムの形で「イングランド代表指揮に興味あり」の意向を伝えることとなります。

質疑を通し、こちらはこんな様子でした。以下、簡略化した質疑。

――アメリカ代表戦に向け、日々どんな準備をしますか。

「アメリカ代表戦でどう戦うかの構想は、すでにあります。戦術的にジャパンの微調整を加えるだけで、大きな変更はありません。アメリカ代表は7日に南アフリカ代表と試合をします。そこでレギュラーを出すかはわからない」

――(当方質問)どう戦うかの構想は、頭の中にある、と。

「戦術面のことはいつも聞かれますが、教えません。なぜ、言わなければいけないのですか」

2日ほどではありませんが、まぁ、とがめられました。

もっとも、別の方の問いに答えるなかで優しさを見せていただきます。

「スタッフはただの枠組みを作るだけ。それを理解する選手たち。チームの変化は、そこです。自律、独立しています。(こちらを観て)…先ほどの質問ですが。アメリカ代表は大きくフィジカルなチームです。だから、我々としてはアスレチックコンタクト(単純な力比べ)はしたくない。それがアメリカ代表戦の戦術です」

続いてはプロップの稲垣啓太選手。前日のサモア代表戦では、スクラムでのペナルティートライを奪っています。対面の選手が苦し紛れに稲垣選手を引きずり落とそうとしていたのを、耐え切りました。

当時の心境を、こう明かします。

「いままでだったら、『相手が落としてきてくれた。ペナルティーもらおう』だった。でも、海外に行ったりして(今季、南半球最高峰のスーパーラグビーに挑戦)、スクラムを組む時間帯、陣地とかのことを考えるようになって。『ここでもうちょっと行けたら認定になる…』とか、そういう考えができてきたのかもしれない」

取材後は、オリンピックスタジアムへ移動します。予選プールDのアイルランド代表対イタリア代表。守備合戦。16―9。帰路。オリンピックパークからバーミンガムを経てウォリックへ…と、思ったら。

「No train」

えー。

バーミンガムから、ウォリックより数駅向こう側まで止まる電車ならあるよ、ってことで、そいつに乗り込み(電灯つかず)、終点の駅からタクシーに乗りました。日本円にして約8000円也。明日の練習取材が朝なことを考えると、止むをえません。

著者紹介

向風見也
向風見也

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年よりスポーツライターとなり、主にラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「スポーツナビ」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会も行う。「現場での凝視と取材をもとに、人に嘘を伝えないようにする」を信条とする。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)。

通常の取材リポートは「Yahoo!ニュース個人」の「ラグビーライターのしごと。」
(http://bylines.news.yahoo.co.jp/mukaifumiya/)をご覧ください。

ラグビーワールドカップ取材記
2015年11月1、2日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月31日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月30日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月29日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月28日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月27日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月26日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月25日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月24日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月19~23日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月18日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月17日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月13~16日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月12日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月11日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月10日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月9日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月8日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月7日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月6日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月5日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月4日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月3日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月2日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年10月1日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年9月30日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年9月29日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年9月25日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年9月24日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年9月23日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年9月22日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年9月21日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年9月20日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年9月19日

ラグビーワールドカップ取材記
2015年9月18日


ページトップへ