「第8話」

 灯油を買うお金すらなく、閉鎖寸前に追い込まれた有働の事務所に、また美智子(浅野ゆう子)から“国選”の依頼が入った。今回の裁判の被告は、殺人の容疑で起訴された中野俊人(村田充)という男。被害者・岸谷千穂は、日本法曹界の名門・山縣法律事務所の所長で次期弁護士会会長ともいわれる山縣修一のお気に入りの秘書。つまり、普通の弁護士にはまず引き受けてもらえない案件なのだ。依頼を断りきれない有働は、これが最後の裁判になることを覚悟の上で調査に臨んだ。

 事件が発生した場所は、千穂の自宅マンション内。千穂は鈍器で頭部を殴られて死亡していた。警察は、死体の上にあった毛髪から、以前、千穂に対するストーカー行為で逮捕され罰金刑を受けた中野を特定。中野にアリバイがなかったことから、逮捕、起訴に踏み切っていた。だが、有働が面会した中野は容疑を完全否認した。2年前のストーカー事件の際に千穂の弁護士だった山縣に警告された中野は、それ以降、会うどころか電話もしていないというのだ。

 そんな中、周辺調査をした有働らが聞きつけたのは、千穂が山縣の愛人だったという噂。そして、問題の山縣に会った有働は、その口から出た驚愕の言葉に思わず自分の耳を疑った。「彼女は、私が殺した。しかし、自首するつもりはない」――なんと山縣は、自分が千穂殺しの犯人だと明かし、自分の罪は中野に着てもらうと言い切ったのだ。自分には鉄壁のアリバイがあり、そのアリバイには特別の魔法が掛けられている、とうそぶく山縣。有働は、この大物の挑戦を必ず打ち破ってやろうと決意を新にした。

 貞淑そうな妻・静香(田島令子)と暮らしている山縣のアリバイというのは、事件発生当時、区民ホールで講演会をしていたという事実であった。証人は、会場に詰め掛けた多数の聴衆。関係者の話を総合すると、会場にいた山縣が抜け出して千穂を殺すことは、完全に不可能だった。

 やがて始まった公判で、証人席に立った山縣は、千穂が中野のストーカー行為に苦しんでいた事実などを証言し始めた。そして、講演会直前に携帯に千穂から連絡が入った、とさりげなく自分のアリバイを強化する。このまま判決になれば、弁護側にまず勝ち目はない状況であった。

 アリバイの謎さえ解ければ、山縣のクロを立証できるのだが、そのヒントさえ見つからない。そんな中、花岡(大滝秀治)がやった手品を見ていた有働は、山縣が魔法の粉を振り掛けるように自分らを惑わせたある陽動作戦に気付いて――。

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